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人は、自分のあるべき居場所へ戻る『マウンテンドクター』第7話の見どころ

2024.08.19

人は、自分のあるべき居場所へ戻る『マウンテンドクター』第7話の見どころ
母・聖子(池津祥子)に麻酔科医になっていたことがばれて、引きずられるように信濃総合病院をあとにした典子(岡崎紗絵)。MMT(マウンテン・メディカル・チーム)でも典子が辞める話で騒然となり、典子の山小屋当番は歩(杉野遥亮)が代わりに行くことに。周子(檀れい)に事情を聞かれた歩ですが、典子が親にうそをついていたことは何も知りませんでした。

焼き鳥屋「しんちゃん」の真吾(向井康二)は、典子が悩んでいる様子を知っていたため、もっと突っ込んで聞いてやればよかったと後悔していました。

江森(大森南朋)も、珍しくMMTのことを心配している様子です。周子は江森にMMTへ参加するよう誘うのですが、江森は今まで通り、外から見守っていると言います。歩の誘いも拒否していた江森は、7年前に遭難した婚約者を探し続けていて、まだ過去にとらわれているようです。

周子はそんな江森を山岳医療の未来のために呼び戻そうとしているようでした。「本当の居場所を見失わないで」と優しく語りかけます。江森がMMTに加われば、これほど頼もしいことはありませんよね。

江森(大森南朋)

一方、自宅に戻った典子は聖子に責められます。典子は、麻酔科医となった理由を説明しようとしますが、聖子は「あなたの意見なんて聞いてない」と突き放します。たしか3話で「病院を継がせるために養子に迎えたわけじゃない」と言っていたはずですが……やはり母の本音は、典子を後継ぎにしたかったのですね。典子は自分の気持ちをまったく聞いてくれない聖子に、「やっぱり後継ぎにするために私を引き取ったんですね」と涙を流します。
どうして聖子は典子の思いを聞いてくれないのでしょうか。親の期待に応えなかったから裏切り者と言われるなんてつらすぎます。

典子は悩んだ末、聖子を振り切って山の診療所へ向かいます。引き止める母親から逃れるのを、真吾が手伝ってくれました。親から逃げただけだと落ち込む典子に、真吾は「ここからが出発だよ」と励まします。

診療所で歩にも悩みを打ち明ける典子。親の期待に応えようとしてきたけど、自分の人生とはいったい何なのか。親に人生を捧げないといけないのか。どうして麻酔科医になりたいと思ったのか……。親と本音で話し合ったらと歩は言いますが、話が通じる相手だったら典子も苦労しないですよね。

典子(岡崎紗絵)と聖子(池津祥子)

それでも、診療所で診察にあたる典子の姿からは、少し変化を感じます。親にばれてしまったのだから、あとは向き合っていくしかない。真吾も励ましてくれたように、ここからが出発だと吹っ切れているようにも見えました。

鮎川山荘に、カメラマンの長田拓(谷恭輔)がやってきます。家族の時間よりも山を優先させた拓は、電話で妻とけんかしています。天候が良く絶好の撮影日和だったという拓は、決して家族をないがしろにしているわけではなく、純粋に山が好きなんですね。そんな拓の姿に、歩も共感しています。

しかし、撮影に夢中になっていた拓は、不運にも足を滑らせて転落してしまいます。さらに悪いことに、落下してきた岩に足を挟まれ、身動きが取れない状態に。

現場に駆けつけた歩と救急隊ですが、岩を動かすにはかなりの時間がかかるとのこと。早く助けないと拓の命が救えない……拓の容体が急速に悪化する中、命を救う方法はただひとつ。足を切断して救助するしかありませんでした。

典子(岡崎紗絵)と歩(杉野遥亮)

決断できない歩は江森に電話します。江森は「甘さを捨てろ」と厳しく諭します。山岳救助における足の切断という最悪な状況に、MMTのメンバーたちにも緊張が走ります。江森は必要な機材を歩のもとへ届けることに。これまでMMTに反対してきた江森ですが、患者の命を助けるためにとうとうチームに参加しました!

過酷な状況下で、典子は麻酔科医としての真価を発揮します。拓の不安に寄り添いながら、研修医時代に出会った先輩のように、優しく穏やかな声で語りかけていました。

麻酔科医とは、手術中に麻酔をかけるだけではなく、極限状態にある患者の心に寄り添うことも大切な役割なのですね。研修医時代に麻酔科医の役割の大切さを知ったからこそ、典子は親の期待に背いてでも麻酔科医になりたいと思ったのでした。MMTにとっても典子の役割は大きく、欠かせない存在となっていました。

江森は典子に「お前が患者の心を守った」と褒めます。さらに歩にも「お前が命を救ったんだ」と、山岳医としての成長を認めました。これまでMMTのメンバーに対して厳しい態度を見せてきた江森が、チームの存在意義を認めた瞬間でした。

その後、江森はMMTへの正式参加を決意。典子も自分の居場所がMMTだと確信し、親と向き合うと心に誓います。簡単ではないでしょうが、きっと理解してもらえると信じています。

ラストで気になったのは、江森の体調です。前回「おれには時間がない」と言っていたことから、何か病気を抱えているのかもしれません。次回どのような展開になるのか楽しみです!

典子(岡崎紗絵)、歩(杉野遥亮)、玲(宮澤エマ)

文:馬場 絵美
三重県在住のライター。大手Webメディアの記事執筆やコラム、メルマガ、プレスリリースなどを執筆中。
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