「目の前の患者を救いたい」理想を追い求めた結果、最悪の事態に?『マウンテンドクター』第9話の見どころ
2024.09.02
しかし前回、歩の行動から真吾(向井康二)の息子・圭吾(湯田幸希)をとても危険な目に合わせてしまいました。歩としても苦しい判断で、「自分の判断が間違っていた」とは思えず、悩んでいました。
現場に治療が必要な患者がいれば、助けたい。命を山で失うような事態を避けたい。そう思うのは医師としての使命であり、歩の理想とする医師の姿です。しかし真吾には「お前は圭吾を見捨てた」と責められ、江森(大森南朋)にも「おれたちは山の便利屋じゃない」と忠告され、自分の理想とする山岳医のあり方に悩んでいました。
江森(大森南朋)
典子(岡崎紗絵)の母・聖子(池津祥子)は、再び周子(檀れい)のもとを訪れ、典子を内科へ転科させようと強引に働きかけます。
周子は、麻酔科医になったのは典子本人の希望であると説明しますが、聖子は山岳医療の兼務を問題視します。過重労働、パワハラだとクレームをつけ、医師の善意につけこんでいると非難します。
医師の自主性を信じていると周子は反論しますが、少し苦しい弁明でした。
そんな中、亡くなった翔の同級生・丸川聡一(森準人)が歩の自宅を訪れます。翔の命日には毎年お線香をあげに来てくれていたとのこと。そんな聡一が、週末登山に出かけ、鮎川山荘にやってきます。
山荘の当番は江森でしたが、歩はプライベートで鮎川山荘を手伝いに来ていました。
ところが聡一が霧の中で道に迷い、歩に助けを求めてきます。江森は救助隊に任せるべきだと制止しますが、今日はプライベートで来ているからと、歩は自ら救助に向かいます。
聡一は低体温症と高山病を引き起こしていました。救助隊に連絡しようにも、スマホの電波は圏外に。歩は、聡一を抱えて下山しようとしますが、これがかえって事態を悪化させます。歩は転倒して身動きがとれなくなり、なんと二次遭難となってしまったのでした。
歩(杉野遥亮)と聡一(森準人)
「救助は救助隊に任せていただきたかった」という航空隊長の言葉が、歩の胸に重くのしかかります。
歩が江森の助言に従って、聡一の救助を救助隊に任せていたら、二次遭難にはならなかった。江森は、「それでも山岳医か」と歩を激しく叱責(しっせき)。歩は、自分の行動がもたらした結果に落ち込みます。
山岳医とはいえ、山の救助はやはり救助隊がプロです。プライベートでの行動とはいえ、医師としての責任は軽くありません。
それだけでなく、SNSで聡一が書き込んだ内容が炎上し、MMTは週刊誌でも叩かれる事態に発展。「ヘリは山のタクシーじゃない」と批判され、MMTの管理体制にも疑問が投げかけられます。
救助が遅れた患者は意識不明のままで、病院内でも歩は孤立していきます。
歩(杉野遥亮)
追い詰められた歩を救ったのは、真吾でした。
歩の置かれた状況を知った真吾は、焼き鳥屋「しんちゃん」に来るように誘います。歩は、自分がいつの間にか思い上がっていたと深く反省し、圭吾を見捨てたと言われても仕方がないと謝罪します。
山好きの医者ではなくて、山の医者になること。それが歩の理想でしたが、山と向き合えば向き合うほどに、歩は理想から遠ざかり、苦しんでいました。
聡一が遭難時に語っていたように、大自然の中では人間がいかにちっぽけな存在であるかということ、自分一人の力には限界があるのだという現実を、歩も痛感したようでした。
真吾はその謝罪を受け入れ、二人は和解します。
意識不明の患者は一命をとりとめ、最悪の事態を免れることができました。改めて山岳医療への向き合い方を考える歩に、江森は「救える命、救えない命、そして救わない命を考えるべきだ」と歩に語ります。「救わない命」とは非常に重い言葉です。
ラストでは江森が突然心臓を押さえて倒れるという衝撃的な展開に!
MMTの存続や江森の容態、典子と母の確執、そして鮎川山荘はどうなるのか気になります!
江森(大森南朋)と歩(杉野遥亮)
三重県在住のライター。大手Webメディアの記事執筆やコラム、メルマガ、プレスリリースなどを執筆中。
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