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趣里&ジェシーが大学生を装って街コン、体罰訴訟の深層探る

2024.11.04

趣里&ジェシーが大学生を装って街コン、体罰訴訟の深層探る

『モンスター』第4話レビュー

明るみに出にくい社会問題は、下手をすると当事者すら問題意識を持つことができていない場合もあります。『モンスター』第4話は、そんな隠された社会問題にメスを入れる回だったといえるでしょう。

今回舞台となるのは、サッカーの名門校・麗翔大学。練習は厳しいけれど、古くからの“伝統”として容認されてきた側面もあり、疑問を抱く部員はほとんどいませんでした。しかしある日、“部員A”と言う謎の告発者の存在により、体罰疑惑が週刊誌にスクープされてしまいます。記事を目にしたサッカー部員・神宮寺和也(夏生大湖)を筆頭に、3年生部員たちが大学に対して集団訴訟を起こす事態に至りました。

偶然にも、サッカー部コーチ・甘利弘樹(佐野岳)は杉浦(ジェシー)の高校時代の同級生だったようです。杉浦は当然自分に助けを求めて事務所を訪れたものと考えていましたが、甘利が依頼を希望したのはやはり亮子(趣里)。所長の大草圭子(YOU)やパラリーガルの村尾夫妻(宇野祥平・音月桂)も納得した様子で、眉を落とす杉浦がなんともふびんですが、そんな杉浦を眺めるのも『モンスター』の楽しみ方の1つ(?)。

武田大樹(本田響矢)、神宮寺和也(夏生大湖)

大学側は著しいイメージダウンを恐れて、記事の続報が出る前に体罰がなかったことを証明し、この騒動を巻き起こした張本人・部員Aを突き止めてほしいと亮子に訴えました。部員Aといっても、その正体が一人であるとも限らないし、現役部員であるとも、サッカー部関係者であったとも言い切ることはできない。そんなあいまいな存在に、どう辿り着けばいいのでしょうか。

亮子と杉浦は、3年生部員の中で唯一集団訴訟に参加しなかったプロ候補のゴールキーパー・武田大樹(本田響矢)に話を聞きます。武田は自身が入学金や授業料を免除されたスポーツ特待生だと明かし、大学に不利になる言動はできない立場なのだと暗に示します。

1〜2年生部員やOBたちにも事情を聞きますが、人によって“体罰”の基準はさまざまで、思うように進まない聞き取り調査。そんな中亮子が突然向かった先は……まさかの街コン!女性らしくドレスアップしたかわいらしい姿の亮子についていく杉浦まで、いつもと違うジャケパンスタイルに衣装チェンジ。その会場で、麗翔大学の野球部員や、サッカー部の3年生・内藤との接触に成功します。柄にもないぶりっ子ボイスや上目遣いも使いこなし(とてもかわいい)、今回も捜査のためなら手段を厭わない亮子の手腕がさく裂しました。

神波亮子(趣里)

後日、亮子はかつて武田と神宮寺と同じ高校でサッカーをしていたという古賀勇作(大知)にも事情を聞きますが、どうやら2人には過去にポジション争いをしていた因縁があったとのこと。古賀は、レギュラーの座を奪われた神宮寺が武田に嫉妬して訴訟を起こしたのではと自論を語ります。

サッカー部員側との交渉の日。相手方が用意した体罰の証言は、すべて亮子が事前に掌握済み。それらをひっくり返すさらなる証拠を突きつけて、見事その場を制圧しました。神宮寺以外の部員たちは事の重大さにようやく気づき、次々に訴訟を降りることに。さらに、週刊誌の出版社前で張り込みしていた城野(中川翼)が、神宮寺が出版社を訪問するのを目撃してしまいます。やはり部員Aは、訴訟の中心だった神宮寺なのでしょうか?だとすれば、彼が体罰を訴える真意とは……?

圧力というものは、必ずしも表面化されているとは限りません。その状況が“当たり前”のものとして受け入れられ、被害者すらも自分が被害を受けていると自覚していない可能性もあります。多くの学生に進学や活躍の機会を与えてくれるはずの特待生制度が、その学生の人生を狂わせてしまうなんて、あまりに皮肉な話です。

神宮寺和也(夏生大湖)

特待生制度の廃止が正解だったのか、筆者にはわかりません。それでも、目には見えない力関係に縛り付けられた部員を救い出すために立ち向かった神宮寺と、陰の立役者として顛末(てんまつ)を見守っていた甘利にとって、これが最大の“正義”だったのかもしれません。

放送後のXでは、「毎話エピソードが秀逸すぎる」など、根深い社会の“闇”へ斬り込んでいく展開への評価の声や、「最後の長セリフはSNSの悪い面への痛烈な批判」「誰もがモンスターになりうる世界。自分達も気をつけなければ」など、ドラマ終盤に亮子が放ったセリフへの共感や賞賛の声が上がっていました。

『モンスター』、毎度のことながら本当に扱うテーマが幅広く、次回予告までワクワクします。次回は有名資産家が受けた高額医療は、果たして詐欺だったのか?放送のたびに少しずつ明らかになっていく亮子の過去や、未だに謎だらけの亮子の父・粒来春明(古田新太)の存在からも目が離せません!

武田大樹(本田響矢)

文・神田 佳恵
フリーライター 兼 一児の母。
取材・インタビュー、エンタメ記事、エッセイなど、複数媒体・分野で執筆中。
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