『スノードロップの初恋』第9話レビュー
自分の運命を知ってもなかなか信じられない様子の奈雪(小野花梨)でしたが、日常を明るく過ごそうと努めているようでした。そんななか、FORTUNAのクリスマス特別メニュー開発の仕事は、最終プレゼンを前にいよいよ大詰めを迎えます。
メインメニューのグラタンをめぐって、和真(曽田陵介)と伊勢(杉本哲太)がギクシャクしているのを見た朔弥(宮世琉弥)は、伊勢を屋上へ誘い出しました。これまで和真に対してはどこか冷たいような態度に見えた伊勢ですが、その理由を朔弥に話します。伊勢は、7年前に事故で亡くした長男に対して、後継者として完璧を求めて追い詰めてしまったのではないかと後悔していたのです。和真に会社を任せたいのに長男と同じ過ちを犯して失うことがこわいのだ、と。「どうすればいいかわからない」と迷う伊勢に、朔弥は「人生は有限だ、後悔のないように過ごせ」とアドバイスします。何かいいかけた伊勢の言葉を遮るように「伊勢は生きている、まだ間に合う」との朔弥の言葉が気になりました。
ところで、朔弥は、以前に奈雪にも「人生は有限だ」と言っていました。奈雪が自分にとって大切な存在だとわかった今の朔弥が、伊勢に伝える「人生は有限だ」の言葉の温度は、以前とはまったく違うように感じました。
屋上で朔弥と話した後、社内で関係各所との調整に奔走する和真を見かけた伊勢。そこへ現れた奈雪の上司・寺岡(猫背椿)から、和真が商品開発部の責任者としてチームワークを円滑にしている仕事ぶりを聞きます。伊勢は、和真なりに仕事を必死で頑張っている姿を見て何かに気づいたようでした。
クリスマスの特別メニュー開発も残すはグラタンの完成だけとなったころ、朔弥がホットコーヒーにホワイトチョコレートを入れたことがきっかけで、奈雪は父・祥平(古河耕史)の厨房にホワイトチョコレートが置いてあったことを思い出します。
ホワイトチョコレートが、創業当時のFORTUNAのグラタンを再現するカギになりそうだとわかり、開発チームのメンバーはさっそくメインのグラタンの最終調整へ。そこへ伊勢が現れ、グラタンを試食。すると伊勢は少しうるんだような目で「FORTUNAを作ったころの祥平にまた会えた気分だ」とその味を認めます。伊勢の視線の先にはかつての親友がいたように感じました。
その後伊勢は、会社の屋上で和真に自分の胸の内を伝えます。この親子のシーンが本当に感動的でした。和真を「気遣うつもりで傷つけてしまった」と謝る伊勢に、和真も「自信が持てないから期待されていないと苦しくなってしまった」のだと、打ち明け合う2人。「おまえは最初からずっと、自慢の息子だ。そのままでいいんだ」の伊勢の言葉に泣きました。ずっと伊勢に認められたいと頑張ってきた和真が認めてもらえてよかった! 涙を浮かべる和真の笑顔がまぶしく、心温まるシーンでした。
一方、望月家では、朔弥が奈雪にグラタンを作ってほしいと頼みます。やっと父の味をつかんだ奈雪が作ったグラタンをほおばる朔弥。これまでは奈雪が作る料理をひたすらおいしそうに食べていた朔弥ですが、このときは違いました。ずっと探し求めていたはずの幸せの味を口にして、朔弥はなんとぽろぽろと涙をこぼし始めたのです。そこへ和真から奈雪に着信が。留守電に入れられたメッセージは……まさかの事態が起こったと。そんな!うそだと言ってほしい! あまりに急な展開と、朔弥の涙に戸惑って、気持ちが追いつきません。
それに、そもそも朔弥はなぜ幸せの味を求めていたのでしょう? クリスマスも近づいているし、奈雪もどうなってしまうのか……。いろいろと気になり、次回が待ち遠しくてたまりません。
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文:早川奈緒子
川崎市在住のフリーランスライター。10代の子ども3人の母。「たまひよ」など主に子育て系メディアで取材・ライティングを行う。
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