ドラマの聖地で感電事故、沼落ちした堀未央奈の狂った作品愛
2024.11.26
『モンスター』第7話レビュー(Xの反応あり)
第7話は、ドラマ『君が生まれたこの街で』のワンシーンからスタートしました。人気俳優が出演したドラマのロケ地である公園に、聖地巡礼のために集う人々。足元には無数のゴミが散乱し、遊具に落書きまで。そんな状況に耐えかねた近隣住民が、大草圭子法律事務所に助けを求めてやって来ます。
真摯(しんし)に相談者の悩みに寄り添う杉浦(ジェシー)とは対照的に、亮子(趣里)は「引っ越せばいいんじゃないですか?」とらしくない返答。先週の親子対決で、戦意を失ってしまったのでしょうか。
問題のロケ地では、ドラマのプロデューサー・坂口武広(林泰文)のトークショー開催の準備が進み、いつも以上に人が溢れかえっていました。そこで物販を行っていたお店の1つが、まんじゅう屋『みやこし』。3個で1140円という高額なドラマコラボまんじゅうに呆れた様子の亮子と杉浦の目の前で、『みやこし』の従業員・前園里佳子(堀未央奈)が感電により意識を失う事態が発生します。騒然とする現場で、救急車を呼んだ杉浦が里佳子に付き添うことに。
前園里佳子(堀未央奈)、店主(ドロンズ石本)
ずさんな安全管理の原因は何か。杉浦・亮子・里佳子との協議の場で、主催者側の人間同士が責任をなすりつけ合い、不穏な空気が立ち込めます。立ち入り禁止エリアに入った理由を問われた里佳子は、コラボまんじゅうの繁盛ぶりに疲労が蓄積していたとし、『みやこし』の店主が自身に過重労働を強いたことが原因だと説明しました。その横で「なんだ、労災問題か」と胸を撫で下ろしていた役所の担当者(夙川アトム)・テレビ局の担当者(須田邦裕)に対しても、全員に責任があるとして、1億円の損害賠償を請求すると宣言したのです。
杉浦の熱心な調査の裏で、『君街』鑑賞に没頭する亮子。寝る間も惜しんでドラマを楽しんだ後は、とある考察ブログに目を通します。熱狂的なファンによる言葉なのでしょうか?作品をきちんと見た者であれば、まんじゅう屋とのコラボなど思いつくはずもないという、愛ゆえの怒りが綴(つづ)られていました。
神波亮子(趣里)、前園里佳子(堀未央奈)
坂口と里佳子の対峙(たいじ)シーン、正直ゾッとしました。作品を深く愛しすぎた里佳子が、まさかあんな闇深いことを考えていたとは。
「私の世界は作品中心に回ってる」という里佳子の言葉は、単なる妄信的なファンとも取れるかもしれません。でも、これに近い感情は誰もが心の中に抱くものだよな、とも思います。好きな芸能人がいたり、熱中する仕事があったり、心から愛する人がいたり。愛が強ければ強いほど、その対象にこうあってほしいと期待する思いも強くなる。その末路が、里佳子の大胆な行動だったのではないでしょうか。里佳子役・堀未央奈さんの迫真の演技も相まって、愛がときには狂気に変貌することを思い知らされました。
とはいえ、坂口も坂口です。『君街』がヒットして天狗になっていたのに、いざ里佳子と向き合ったときには会社からの圧力だと言い訳して。テレビ局の事業部担当者も、役所の担当者も、自分の立場が危うくなったら誰かに責任を押し付けようとする。醜(みにく)くも感じられますが、ある意味その醜(みにく)さが人間らしさでもあるのかもしれませんね。
神波亮子(趣里)
本編の途中で、粒来(古田新太)が事務所を訪れたシーンは急に空気が変わったように感じました。母のような眼差しで亮子を見守り、同時に粒来の身も案じる圭子(YOU)の存在に、穏やかな安心感を覚えます。それにしても粒来、一体裏で何をしているんでしょう。くわえて、亮子のためなら身の危険も顧みずに尾行を続ける城野(中川翼)にもなんだかキュンとしてしまうのは、筆者だけ?
次回は現実社会でも連日報道されている、闇バイトをテーマにしたストーリー。“闇バイトごっこ”なんてあまりに浅はかな遊びに手を出した学生たちが招いた最悪の事態とは?来週も一緒に、リアタイで『モンスター』を楽しみましょう!
前園里佳子(堀未央奈)
フリーライター 兼 一児の母。
取材・インタビュー、エンタメ記事、エッセイなど、複数媒体・分野で執筆中。
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