優等生の“闇バイト首謀者”疑惑、趣里が裁判員に涙の訴え
2024.12.02
『モンスター』第8話レビュー(Xの反応あり)
亮子(趣里)が弁護するのは、16歳の少年4人グループ。重大な強盗致傷事件として検察が管轄している事件とのことで、リーダーとされる栗本颯(坂元愛登)の両親が大草圭子法律事務所を訪ねます。4人は被害者の橘清美(石野真子)の自宅に侵入。思いがけず帰宅した清美に焦ったグループの一人、谷口優生(林裕太)が彼女を鈍器で殴り、けがを負わせたのです。
息子が闇バイトなどに手を染めるはずなどないと力説する、栗本の母親。亮子と杉浦(ジェシー)は栗本本人に話を聞きますが、発端は谷口が言い出した“闇バイトごっこ”だと説明します。なぜそんなことを?心は痛まなかったの?と杉浦が立て続けに尋ねても、少年法で守られると思ったと、谷口は虚偽の供述を続けました。
栗本颯(坂元愛登)
迎えた初回の法廷対決。今回はドラマ初の刑事事件で、裁判員裁判です。検察官・藤吉伸(近江谷太朗)は、「何がなんでも栗本たちが闇バイトに関与していたことにしたい」という腹のうちが見え見えで、不十分な証拠でも叩きつけます。その様子を傍聴席で見ていたのが、亮子の父・粒来(古田新太)。藤吉の目論見(もくろみ)は、今回の件から闇バイトの指示役である土井克也・通称“キング”を逮捕することだと亮子に告げました。助言をくれたように見えますが、粒来自身にも何か裏がありそうだと亮子は怪しみます。
栗本以外の3人は検察側との司法取引に応じ、栗本が首謀者であり、キングの指示で行動したのだと口をそろえます。栗本の母も息子の潔白を信じられなくなり、自ら検察側に有利な証拠を与えて罰を軽くできないか掛け合う始末。検察の思惑通りに人々が巻き込まれていく中、裁判の行方を大きく変えるとある人物の秘密に、亮子はたどり着きます……。
粒来春明(古田新太)、神波亮子(趣里)
勝敗の鍵を握った、清美の罪と裁判員裁判。人の心を知り尽くし、感傷的なストーリーを組み立てて運命を動かした亮子の手腕は、さすがとしか言いようがありませんでした。「使えるものは全部使う」とニンマリ笑っていた亮子が、「裁判は単なる勝ち負けのゲームじゃない!」と涙ながらに検察側に訴える。誰よりも裁判をゲーム感覚で楽しんでいる亮子の本心と正反対なセリフに、杉浦同様「え?」と漏らすお茶の間の声が聞こえてきそうでした(笑)。
今回の『モンスター』、随所に趣里さん縁のオマージュが隠されていて、とても楽しかったですね。スーパーのパート勤務の女性が口ずさむ『買物ブギー』や、買い物姿の亮子のウェーブヘア、それに鈴カステラ……趣里さんの代表作である、朝ドラ『ブギウギ』を連想させます。それに、「昨日ドラマで見た」と急に高いところから紅茶を注ぎ出す亮子の仕草、かの有名な刑事ドラマで見覚えが。圭子(YOU)が興じていたマッチングアプリ上に現れた杉浦のなりすましアカウント『Yosse』も、ほんのり誰かの影を感じさせます。制作陣の遊び心がたっぷり詰まった演出で、さまざまな視点で楽しむことができました。
橘清美(石野真子)
回を追うごとに、いったい粒来がどんな社会の“闇”に関与しているのかが気になっていきますね。次回は23年前の贋作疑惑から、いよいよ粒来の過去が明かされるようです。すっかり息が合ってきた亮子・杉浦タッグは、まさに“相棒”そのもの。2人の活躍を、来週も楽しみましょう!
神波亮子(趣里)
フリーライター 兼 一児の母。
取材・インタビュー、エンタメ記事、エッセイなど、複数媒体・分野で執筆中。
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