『転職の魔王様』第7話レビュー
1週間限定で広沢絵里香(山口紗弥加)とコンビを組むことになった未谷千晴(小芝風花)。広沢の夫が出張で、その間子供のお迎えなどで残業ができないという理由なのだが……ちょっと待て。ということは、普段のお迎えは旦那さんがやってくれているのか!?めちゃくちゃ協力的な旦那さんではないか。ワンオペ育児&家事の私からすると「なんてうらやましい環境なんだろう」と、細かな設定に突っ込むところからスタートした第7話。
今回の求職者は、新卒から8年間、製薬会社に勤めていた皆川晶穂(黒川智花)。黒川さんはドラマ『本日は大安なり』のブライダルコーディネーター役を演じていた時のかわいさに惹(ひ)かれ、その後も注目してきた俳優さんだ。個人的に好きだったのは、ドラマ『MIU404』で羽野麦役。守ってあげたくなるキャラがとても愛おしかった。今作では髪を下ろしている姿が色っぽいが、スーツ姿に一つ結びのキャリアウーマンスタイルも新鮮で素敵だった。X(旧Twitter)では「黒川智花のビジュアルと演技力がすごい」「声が透き通っていて好き」という反応があった。同クールのドラマ『ギフテッド』の4話にもゲスト出演しており、さまざまなドラマでいろいろな黒川さんを見られるのがうれしいかぎりだ。
憧れの先輩・日下部さやか(村川絵梨)が産休を取得することになり、そのサポートを引き受けることになった皆川。皆川は激務をこなしていたが、日下部が復職後も時短勤務などで状況は改善されないまま。会社側も人員追加をする気配がなく、とうとう心身ともに疲れ果て、退職を決意。「仕事自体は面白かった」と感じる一方で、自分の時間と労力を削ってまで、子育てと仕事の両立を目指す社員をサポートすることに限界を感じてしまったのかもしれない。
今、日本でも男性の育休取得を推進していたり、子育て支援を充実させたりと、安心して子育てができる環境づくりに躍起になっている印象がある。ただ、政府の方針だからといって制度を導入し、支援を受ける社員をサポートする周りの同僚たちをフォローできている企業はどのくらいあるのだろうかと感じた。第7話では「この会社は私に負担を押し付けることをなんとも思ってない」と皆川が思っていたり、「子育てしている人をみんなでサポートしよう」と口先だけの上司がいたりと、日本の課題が浮き彫りになっているようにも思えた。
そんななか、落合洋子(石田ゆり子)の「子育てする人も子育てしていない人も関係なく、みんなが働きやすい環境を整えるのが経営者の仕事だと思っている」というセリフがスッと胸に入ってきた。こういうふうに思っている経営者も一定数いると思うし、きちんと口に出すことで安心できる社員は多いだろう。
また、私自身も育児中だからこそ、仕事と育児・家事との両立にはいつも悩む。「子どもを言い訳に周りに迷惑をかけたくない」「子どもの有無に関係なく仕事はバリバリやりたい」と思う一方で、「子育てについて多少の理解がある環境で働きたい」「周りに子育て中の人がいると助かる」と思うこともある。そんな私には、来栖嵐(成田凌)の「あなたが変われば、あなたの周りの環境も変わる」「人も会社もいつだって変わることができるんです」という言葉に、勇気をもらった。どうすればみんなが気持ち良く働ける社会になるのか、正解はわからないが、まずは自分が、周りから「結婚しても子どもができても、楽しそうに働いている」と思われる存在でありたいと思った。
第7話では、皆川が退職したことがいい意味で劇薬となり、日下部を中心に会社の風土・意識改革がスタート。最後には、日下部が「晶穂ちゃんは私の大事な後輩だから、また一緒に働きたい。もう一度だけ、私のこと信じてくれないかな?」と伝え、転職ではなく、同じ会社に復職することに。X(旧Twitter)では「辞めた会社に戻るなんて…信じられない」「会社側も辞めた人のことなんか考えないでしょう」と、批判的な意見もあったが、私自身は新卒で勤めていた会社が出戻りメンバーも多かったこともあり、「なんだかんだ仕事もその会社の人も好きだったんだろうな」とすんなり受け入れられた結末だった。
それにしても、皆川の恋人の戸田優吾(入江甚儀)さんですよ。いつも皆川に寄り添っていて、自宅訪問の後は千晴と来栖を追いかけて「さっきはすいません」と謝り「晶穂の力になってやってください」と言うんですよ。もう、出来過ぎじゃないですか。最後に仕事復帰が決まった皆川から「プロポーズ、まだ有効かな?」と言われた時には「おめでとう!」と心の中で叫んでいた。皆川もだけど、戸田が幸せそうで本当に良かった!
皆川の件が一段落し、広沢からもらったクッキーを屋上で食べる千晴と来栖。「来栖さんがきてくれて、心強かったです」とエヘヘと笑う千晴、かわいい。ボソッと「幸せになってほしいだけです」と呟く来栖にもキュン。
そして、今週も謎のままだった天間聖司(白洲迅)。ため息をつく千晴の頬にペットボトルをピタって……いちいち距離が近い(笑)。エンディング前には来栖に向かって「あなたにお会いしたいと思っていました」と自己紹介。2人が接点を持った!これは次週くらいからバチバチ来るのでは?楽しみすぎます。それにしても白洲さんのグリーンスーツ姿、たまらなかった。
次週の求職者は自己評価高めのフリーライターを演じる、飯島寛騎。ちょっとチャラ目の飯島さんかっこいい〜!職業も同じということもあり、きっと次回もグサグサ刺さるんだろうなと思いつつ(笑)。次週もメンタル強めに持って視聴に挑みたいと思う!
見逃し配信はこちら(カンテレドーガ)
見逃し配信はこちら(TVer)
文:猿渡 菜都美
カンテレIDにログインまたは新規登録して
コメントに参加しよう