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「また口説きに来て」学生だった吉岡里帆“廻”が、永山瑛太“翔”との別れ際に交わした約束

2023.11.29

「また口説きに来て」学生だった吉岡里帆“廻”が、永山瑛太“翔”との別れ際に交わした約束
『時をかけるな、恋人たち』第8話レビュー
未来人・井浦翔(永山瑛太)との「恋の逃避行」が始まり、両親のなれ初め(第6話)や自分の初恋(第7話)を見届けてきた常盤廻(吉岡里帆)。2人の恋をずっと反対してきたタイムパトロール隊の天野りおん(伊藤万理華)が応援モードに転じたいま、彼女は「タイムトラベルの研究が進み、“航時法”が変わるまで猶予を稼げば、過去人と未来人が一緒になれるかもしれない」と青写真を描きます。

そのためには、2人が時間犯罪者を捕まえ昇進することが急務。廻はコーディネーターから正隊員に、翔はタイムパトロールからタイムエージェントに。手柄を立てれば任期は延長され、廻の記憶は消されず、翔と別れる必要がなくなるという。そこで今回は、翔が「時間犯罪者の仕業と思しき事件があった」と話す時代へ。奇しくもそこは、廻と翔が出会った2013年9月14日の世田谷大学でした。
2人がキャンパス構内で怪しい人物を物色している(タイムパトロール制服姿の廻と翔がいちばん怪しい笑)と突然、廻に思いを寄せる後輩の広瀬航(西垣匠)がタイムボード姿で現れるじゃありませんか! 彼女を追って時空を超えたらしい広瀬は「聞きました。未来人との恋なんてファンタジーです。正気に戻ってください!」と訴えます。待てよ、君は誰から何を「聞いた」の? そういえば前回ラストで、廻と翔の逃避行を目撃した広瀬に忍び寄る影が映し出されていましたよね。
予期せぬライバルの登場にいらだつ翔と広瀬は口論になり、「あんたみたいなアタオカ」「常盤さんにリアコ」「ワンチャン話せると思ったけど、レベチでやべえな!」など2013年には存在しなかった令和の言葉が、集まった学生によってSNSで次々に拡散されてしまいます。さらに数日後には、言葉の発信源を突き止める潜入ミッションを課された未来の翔がキャンパスに降り立ち、廻と運命の出会いを果たすことに──。
流行語のフィールドワークにやって来た言語学専攻の学生、という設定の翔は「歩きスマホ」をしながら前方不注意気味にキャンパス内を歩いていました。そこへ何冊もの文献を抱えた廻が現れ、2人は大衝突! ラブコメの王道を行く出会い方に思わずほくそ笑んでしまいましたが、カラフルな大量の付箋が宙に舞う印象的なシーンでした。「おわびさせてください」という翔に、廻は「学食でチョコミントパフェおごって」とねだります。

これって第2話の伏線回収ですよね。覚えていますか? 違法タイムトラベラーの尾行中、チョコミントアイスを差し入れた翔に向かって「どうして私がチョコミント好きなの知ってるの?」と問いかけた、あのシーンですよ! 中断して第2話を見返したら、翔は「大学時代の廻が好きだったから」と答えているし、さらに「別れ際に君は『また口説きに来てよ』と言ったんだよ」と明かしているじゃないですか! まだ学生だった廻と翔の出会い〜別れ、いよいよ今回見届けられるってことね。俄然鼻息荒く、第8話の再生に戻りました。
今回のサブタイトルは「サマータイムパトロール・ブルース」。脚本の上田誠さんによる戯曲『サマータイムマシン・ブルース』をモチーフにしていることは言うまでもなく明らかで、廻と翔の出会いを描く第8話に上田さんの代表作タイトルが当てられたことがね……もうどうしようもなく胸アツ。ちなみに、2005年に映画化された『サマータイムマシン・ブルース』では瑛太さん(当時は苗字なし名義)が上野樹里さんとW主演を務めています。リアルとの因果もあるんですね。

『サマータイムマシン・ブルース』は、SF研究会の学生が故障前のクーラーの「リモコン」を求めてタイムマシンで過去へ戻る珍道中を描いた青春SFコメディ。で、『時をかけるな、恋人たち』第8話ではこの「リモコン」らしきアイテムで、翔が2223年のタイムパトロール基地と交信している様子が映し出されています。映画ファンにとってうれしい演出や小道具使いするなぁ、と思わず目を細めてしまいましたとさ。

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文:岡山朋代
編集・ライター。ぴあ、朝日新聞社「好書好日」など主にエンタメ系メディアで取材・執筆を手がける。
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