見てみよか

“つじつま合わせ”で伏線回収の嵐! いよいよ記憶消される吉岡里帆“廻”&永山瑛太“翔”

2023.12.13

“つじつま合わせ”で伏線回収の嵐! いよいよ記憶消される吉岡里帆“廻”&永山瑛太“翔”

『時をかけるな、恋人たち』第10話レビュー

未来の情報を過去人に売っていたのは、常盤廻(吉岡里帆)と井浦翔(永山瑛太)の同僚でタイムパトロール隊メカニック担当の八丁堀惣介(シソンヌ・じろう)であることが判明した前回の衝撃ラスト。自らの背信行為をわびながらも、「責任を共有できませんか」「AIアイドルの“はにゃたん”に恋したから課金したい」と述べ、悪びれない八丁堀の姿勢にコント劇場の幕開けを見ました。
と感じたのも束の間、八丁堀はインサイダー情報の売買にとどまらず、自然食品を密輸していた時空犯罪団をほう助していた罪も明らかに! その影響で、廻が広告ビジュアルを手がける新商品「ゆずこしょうキャラメル」の原材料である柚子の価格が高騰し、「かぼす」で代用することが決まります。当然、ポスターやPOPは「かぼすこしょうキャラメル」でつくり直し。あれ、このくだり第4話浅草デート回に登場したよね?

以前、かぼすバージョンのデザインが手違いで届いたことを思い出した廻は「あれは未来の自分による“つじつま合わせ”だったんだ!」と気づきます。そして過去に戻り「かぼすこしょうキャラメル」のデザインを正式発注しようとしますが、未来から監査員(津田寛治)が来ることもあって「これ以上の違法タイムトラベルはよくない」と隊長の和井内秀峰(石田剛太)とオペレーター天野りおん(伊藤万理華)に制止されてしまいました。
廻が過去へ行けば航時法違反の罪に問われて記憶を消され、今度こそ会うことは許されない──。その事態を阻止したい翔も、廻を必死で止めます。しかし責任者として仕事をまっとうしたい廻は「私たちだけ幸せになっても、意味ないから」と言って、タイムボードでひと月前の職場へ。これを機に、仕事以外にも次々と“つじつま合わせ”をしていくのでした。

「過去の放送回で登場したエピソードの伏線回収、全部盛りしました」といっても過言ではない廻の“つじつま合わせ”ぶりが見事な第10話。ざっと挙げるだけでも、これだけの伏線が張り巡らされていました。
#1
路上ミュージシャン(吉澤嘉代子)のCDジャケットをデザイン
#2
生徒(南出凌嘉)と禁断の恋に落ちて違法タイムトラベルをしている教師(鳴海唯)を、元いた世界の10年後に送還して生徒と同い年にさせる「タイムラグ製法」を思いつくため、柚子を仕込む
#5
バス事故に遭った妻に想いを伝えたい夫(今野浩喜)の前に現れ、人生1周目の自分を差し置いて連行
#6
恋の逃避行先は「40年前の海」と天野に書き置きを残し、自分たちを追わせる(「探さないでください」に笑いました、絶対探すやん!)
#7
廻と翔の逃避行を目撃した後輩の広瀬航(西垣匠)の前に仮面をかぶって現れ、「彼らは2013年に駆け落ちした」と言ってタイムボードを差し出す
#8
婚約していた広瀬と別れ話に発展し、暗い表情の梓若菜(田中真琴)の前に現れ、「広瀬は2013年にいる」「追いかけて」と促す
彼らをずっと見守ってきてよかった……と感じさせてくれる第10話。加えて、監査員からの追及に「分別のある2人が出会ったんです」「恋は理屈じゃない、因果を超えるんです!」と激昂する翔のセリフが沁みました。暴れ回っても逮捕される悲しい現実を前に、ついに記憶を消すフォゲッターを頭に装着されてしまう廻と翔。エンディングでは、これまでの楽しい思い出が走馬灯のように呼び覚まされ……あかん、これは泣くやつ! 案の定、初見では涙があふれました。でも2度目の視聴で新たな発見が! ところどころモヤはかかるものの、廻の記憶、消えてなくない? ちょっと、最終回まで待ちきれないんですけど!

見逃し配信はこちら(カンテレドーガ)
見逃し配信はこちら(TVer)

文:岡山朋代
編集・ライター。ぴあ、朝日新聞社「好書好日」など主にエンタメ系メディアで取材・執筆を手がける。
miyoka
0