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吉岡里帆“廻”&永山瑛太“翔”による恋の超展開に決着、もはや「時をかけろ、恋人たち」

2023.12.20

吉岡里帆“廻”&永山瑛太“翔”による恋の超展開に決着、もはや「時をかけろ、恋人たち」

『時をかけるな、恋人たち』第11話(最終回)レビュー

未来からやって来た監査員(津田寛治)に捕えられ、ついに記憶を消すフォゲッターにかけられた常盤廻(吉岡里帆)と未来人の井浦翔(永山瑛太)。X(旧Twitter)でも「超展開の恋が終わっちゃった……うわわわわわぁぁぁあーん(;ω;)」をはじめ、阿鼻(あび)叫喚の声にあふれていました。そりゃそうだよ、好きな人と過ごしたいとおしい日々が、記憶を消されたら最初から存在しなかったことになるもんね。切ない。

2人の大切な思い出を“剥がされた”翔は、廻の呼びかけに素通りして未来へ送還される。胸が押しつぶされる思いになりながらも、「会えてよかった」「忘れないから」という翔の言葉を信じて、自身もフォゲッターに身を委ねる廻。ところが目を開けると……記憶、消えてない! 廻&翔と一緒にタイムパトロール隊として働いていた同僚のオペレーター天野りおん(伊藤万理華)、メカニック担当の八丁堀惣介(シソンヌ・じろう)、隊長の和井内秀峰(石田剛太)がフォゲッターに細工をしたですって!? グッジョブすぎるぜ!
にしても、8の字型トレーニングチューブと割れたタブレット端末を見て「“八”丁堀さんに『機械を壊せ』と言っている、井浦さんからのメッセージでは」と読み取った天野の考察力に脱帽&大笑い。ちなみにこの8の字型チューブ、第1話で廻がタイムパトロール基地に連行された時に翔がしていたトレーニンググッズだったの覚えていますか? 同じく8の字型の“あのグミ”にも似ていますよね。日本グミ協会の名誉会員である“廻”吉岡さんのアイディアでしょうか。気になる!

廻との別れを惜しむ天野と和井内のティータイムに、あのチョコレート菓子を模した「ラッキー」やロングセラーチューブ型氷菓を登場させるなど、最終回まで美術スタッフの遊び心がさく裂しています! 広告代理店でアートディレクターをしている廻が、後輩・広瀬航(西垣匠)と商品化に奔走した「ゆずこしょうキャラメル」改め「かぼすこしょうキャラメル」も含めて、お菓子の小道具や設定に並々ならぬ情熱がうかがえました。
「離れても、過去と未来でも、それぞれの時間で生きている」「だからタイムパトロールがなくても……」とモノローグで強がってみせる廻。基地へ向かうための“時計”を返し日常へ戻ると、廻の部屋にある“キットキャットクロック”が大映しされました。SF映画の金字塔『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のオープニングに登場する小道具を、時計つながりでここへしのばせてくるか! 畳みかける小道具合戦に、思わずうなります。

広瀬と広告代理店の受付・梓若菜(田中真琴)の結婚式帰りに、チョコミントアイスの看板を見て切なくなる廻。翔と出会った日におねだりしたパフェ(第8話)、タイムパトロール任務中に翔が差し入れたコーンアイス(頬にアイスがついた廻を見て、翔が「ゴメ〜ン!デモカワイイ……」と言った第2話)、チョコミントアイスには翔との楽しい思い出があふれているんですよね。

基地へつながる公園のベンチに座って、廻が「記憶を消されるのもツライけど、残っているのもツライ」と感じていると、不意に現れる翔。いつ出られるかわからない「時の牢獄」へ収監された翔もまた記憶が消えておらず、毎日廻の幻を見続けていたんだそう。時空犯罪者マギー&キケロが起こしたテロに乗じて脱獄した、という翔を廻がとがめると、気持ちが高ぶった翔は「目の前に廻(の幻)がいるのに会えないんだよ?」「(このツラさ)わかる?」と訴えます。ヤバイ、思い出したらまた涙腺ゆるんできた。
あまりの狂気に「いっそ廻のこと、キライになればよかった」と訴えながらも、「真面目で、お人よしで、おっちょこちょいで、かわいくて……好き、いやキライ!!!」と廻への想いがあふれ出す翔、かわいいかよ!「SJ(しゃくし定規の意:未来語)で、ストヘ(石頭の意:未来語)で、邪道なもんばっかり好き(チョコミントアイスのこと)で」とディスり続ける翔を、廻が抱きしめる。理屈なんていらない。ただ目の前に恋人がいてくれたら、それでいい。言葉すら超える恋の“超”展開が実ったこのシーン、めっちゃ染みました。

するとベンチが沈み、2人は再び基地へ。そこでとある事実が判明し、廻と翔は再び「時をかける」ことに──。折しも最終回のサブタイトルは「時をかけろ、恋人たち」。これまで名作SF映画のタイトルをオマージュしてきたサブタイトルでしたが、ここへ来てドラマのタイトル『時をかけるな、恋人たち』そのものをモチーフにするとは。謎に包まれていたマギー&キケロの正体も判明するし、脚本・上田誠さんの見事な伏線回収劇に膝を打ちまくって割れる勢いの楽しい3ヵ月でした。全11回、ありがとうございました!

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文:岡山朋代
編集・ライター。ぴあ、朝日新聞社「好書好日」など主にエンタメ系メディアで取材・執筆を手がける。
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