「怒りしか湧かない」一樹(安田顕)の展開はあえての仕掛け?「子どものために」嘘(うそ)をつく聖子(松下奈緒)と光聖(中村海人) ドラマ『夫に間違いありません』

「怒りしか湧かない」一樹(安田顕)の展開はあえての仕掛け?「子どものために」嘘(うそ)をつく聖子(松下奈緒)と光聖(中村海人) ドラマ『夫に間違いありません』

松下奈緒主演『夫に間違いありません』第4話レビュー

松下奈緒さんの苦悩と葛藤の演技に引き込まれる、ドラマ『夫に間違いありません』(毎週月曜よる10時~放送/カンテレ・フジテレビ系全国ネット)。その第4話が1月26日に放送されました。
夫・一樹(安田顕)の遺体を誤認し、生命保険金を受け取ってしまった妻・朝比聖子(松下奈緒)。
第3話で聖子は、一樹(安田顕)が実は生きているという事実を口外しないことと引き換えに、すべてを知るキャバクラ嬢・藤谷瑠美子(白宮みずほ)に大金を支払います。しかし瑠美子は追加で金を要求。なす術のない聖子はそれも受け入れようとします。しかし聖子への“ゆすり”は、実は瑠美子と一樹の共謀によるものでした。ただ一樹は、瑠美子が自分も騙(だま)して聖子から金を搾り取ろうとしていたことに気づきます。
『夫に間違いありません』第4話 白宮みずほ、安田顕

『夫に間違いありません』第4話 白宮みずほ、安田顕

そんな一樹が、瑠美子の命を奪うという衝撃的なラストを迎えた前話。今回の第4話では、それぞれの運命がより混迷を極めることに。すべてを警察に話そうとする聖子ですが、一樹は「聖子さえ黙ってくれればきっと逃げ切れる」「俺が捕まったら栄大(山﨑真斗)と亜季(吉本実由)は殺人犯の子どもになるんだぞ」と説得。聖子はすべてを隠し通す決意を固めます。
『夫に間違いありません』第4話 安田顕、松下奈緒

『夫に間違いありません』第4話 安田顕、松下奈緒

ただ、聖子の弟・光聖(中村海人)は彼女の異変に気付きます。一樹の遺体を誤認したこと、彼が生きていること、そして取り返しがつかない罪を犯したこと。全部を知った光聖も一度は警察に向かおうとしますが、栄大と亜季のことを思って「どんなことがあっても隠し通すんだ」と、聖子たちが抱える秘密に協力することを告げます。
『夫に間違いありません』第4話 中村海人

『夫に間違いありません』第4話 中村海人

一樹に強い怒りを覚えさせる展開は、あえての仕掛け?

視聴者の中には、一樹に強い怒りを覚えている人も多いのではないでしょうか?

なにせ1年前に家族を見捨てて行方不明になった理由が、キャバクラ嬢の瑠美子に入れ込んだことでしたから。聖子には、経営する飲食店と家族のことを守っていく責任の重さに押し潰されて家を出たと語っていました。その苦しさ自体は、まったくの嘘ではなかったのでしょう。

でも、そこで向かった先が別の女性との暮らしなワケですから同情の余地が薄くなってしまいます。しかも戻ってきたと思ったら瑠美子と手を組んで、聖子から何度も金を引き出そうとし、その結果、関係がこじれて取り返しのつかない事件を起こしてしまうのですから。
『夫に間違いありません』第4話 安田顕

『夫に間違いありません』第4話 安田顕

聖子はそれに巻き込まれてしまったので、本来なら同情の余地があります。聖子はもともと“被害者寄り”でした。でも一つの判断ミスが、次の過ちを引き寄せ、何重にも積み重なっていきます。彼女の根底にあるのは、幼少期に経験した「一家離散」。そのため、家族をつなぎとめることに人一倍、強い気持ちを持っているのです。そういった背景が判断の誤りを招いてしまいます。第1話で一樹が戻ってきたとき、夫の生存を隠し通す道を選ばなければ、日常の歯車がここまで狂うことなく家族も守ることができたはず。

以降、聖子と一樹は誤った道を進み続けてしまいます。そこでポイントとなっているのが、二人の判断軸が「子どものため」であること。視聴者の中には「子どもが一番かわいそう」と思う方もいるはずですが、物語としてあえて“そこ”に視線を向けさせているのかもしれません。

「子どものために」が自分を納得させる“材料”に

多くの親にとって子どもはなにものにも代えがたい存在であるはず。「子どものために」と考えれば、気持ちの強さが得られ、どんな難局でも乗り越えられると思えるのかもしれません。一方で聖子や一樹を見ていると、道を踏み外す自分たちを納得させる“材料”として「子どものために」を使っているようにも思えます。つまり、なにものにも代えがたい存在だからこそ、自分自身への説得材料としても“強い”のです。

第4話ではほかにも「子どものために」が散りばめられています。

たとえば銀行勤務の光聖が、婚約者・まゆ(松井玲奈)の母親で汚職疑惑のある国会議員・九条ゆり(余貴美子)から不正融資を持ちかけられる終盤の場面。光聖はかつて九条への不正融資を引き受けたのですが、良心の呵責(かしゃく)もあり、二度目の依頼は拒否します。しかし九条は、光聖に対して縁結びのお守りを渡したことを話題に出し、「縁っていうのは男女の縁だけじゃないの。あれは光聖くんと九条家の縁をしっかり結ぶためのお守り。縁を結んだら絶対に裏切ったりできないのよ」「守りたいんでしょ?まゆとおなかの子どもを」と、逃れられない言葉を突きつけるのです。
『夫に間違いありません』第4話 余 貴美子

『夫に間違いありません』第4話 余 貴美子

たしかにまゆや子どものことを考えると、光聖は「ノー」と言えないですよね。九条の卑劣さが分かるワンシーンでもあります。ここで九条の申し出を受けてしまうと、嘘に嘘を重ねて引き返せなくなります。罪も重くなります。でも、光聖がその要求を飲むのであれば、自分を納得させる言葉がやはり「子どものために」になるのではないでしょうか。
『夫に間違いありません』第4話 松井玲奈、中村海人

『夫に間違いありません』第4話 松井玲奈、中村海人

でも、第3話で栄大が聖子の言動に不信感を抱いたように、子どもは大人の“嘘”に敏感です。大人たちの行動をよく見ています。気づいていても、気づかないように振る舞っているだけなのかもしれません。そんな子どもたちのことを見くびって、大人が事あるごとに自分たちのエゴを通す際「子どものために」を持ち出していると、家族のあり方自体も取り返しがつかなくなってしまうのではないでしょうか。
文:田辺ユウキ
芸能ライター。大阪を拠点に全国のメディアへ寄稿。お笑い、音楽、映画、舞台など芸能全般の取材や分析の記事を執筆している。
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