「オオカミに変身する」紗春(桜井ユキ)の裏の顔が怖すぎる【松下奈緒主演 ドラマ『夫に間違いありません』】

「オオカミに変身する」紗春(桜井ユキ)の裏の顔が怖すぎる【松下奈緒主演 ドラマ『夫に間違いありません』】

松下奈緒主演『夫に間違いありません』第7話レビュー

急転直下の展開の連続で視聴者を惹(ひ)きつけるドラマ『夫に間違いありません』(毎週月曜よる10時~放送/カンテレ・フジテレビ系全国ネット)。その第7話が2月16日に放送されました。
遺体を行方不明の夫・一樹(安田顕)と誤認してしまい、生命保険金を受け取ってしまった妻・朝比聖子(松下奈緒)。
第6話では、週刊誌記者・天童弥生(宮沢氷魚)が、1年前に遺体で発見されたと思われていた一樹が実は生きていることや、「久留川美人キャバ嬢殺害事件」の犯人が一樹であることに加えて聖子も彼の死の偽装を手伝っていることなどを突き止めました。さらに、聖子が営む飲食店で働く葛原紗春(桜井ユキ)の失踪中の夫・幸雄(今里真)との関連もつかんでいきます。

天童の動向次第では、朝比家は崩壊の危機に立たされますが、ただ天童は「どんなことをしてでもスクープを手に入れたい」というタイプ。彼自身はそれを「正義」だと信じている節もありますが、警察すらも出し抜こうとする記者としての執念から通報はせず、すべての真相を自分の手中に収めたままにします。そこがこのドラマのキャラクター設定のうまさでもあります。
『夫に間違いありません』第7話 宮沢氷魚

『夫に間違いありません』第7話 宮沢氷魚

第7話でも、警察は「久留川美人キャバ嬢殺害事件」の犯人(=一樹)の捜査が難航し、目撃証言をもとにした似顔絵を公開するに留まっています。一方で天童は、警察より前に事件の真相に迫り「紗春と行方不明中の幸雄こそが、一連の出来事の鍵を握っている」と推察。そんなおり、聖子のもとに一樹から電話が。その内容は2024年12月24日に、一樹が紗春や幸雄と接触した記憶があるというもの。聖子は、一樹の記憶と、紗春が以前話していた「幸雄が失踪した日のこと」の合致と矛盾に気づきます。
『夫に間違いありません』第7話 松下奈緒

『夫に間違いありません』第7話 松下奈緒

バスケチームの勝敗で気持ちが変化する紗春

その人が、その人でなくなる瞬間――。なにかをきっかけに気持ちのスイッチが切り替わってしまうことは、多かれ少なかれ、誰にでもあるのではないでしょうか。スイッチが切り替わることで前向きな方へ進むこともあれば、そうではない方へ行ってしまうこともあります。

第7話では、紗春の人物像にグッと寄って物語が展開していきました。そんな彼女のスイッチが切り替わる瞬間。それは応援しているバスケットボールチーム、常陸モンキーズの勝敗です。モンキーズが勝てば機嫌が良く、負ければ荒れてしまい、それが行動に出てしまう。
『夫に間違いありません』第7話 今里 真、磯村アメリ、桜井ユキ

『夫に間違いありません』第7話 今里 真、磯村アメリ、桜井ユキ

彼女もそのことを自覚しているようで、「負けたら今日1日、地獄ですから」と口にし、「気分ぐらいならいいんですけど」「オオカミ男って満月の日になるとオオカミに変身するっていうじゃないですか? それと同じ感じです」と言います。つまり、分かっていても止められないのです。

実際に第7話では、テレビ中継で熱心にモンキーズを応援している紗春の姿と、モンキーズが敗れたときの荒れた部屋の様子が映し出されます。ついつい、「えっ、それくらいのことで?」と思ってしまいそうですが、前述したようにスイッチが切り替わる瞬間は人それぞれにあり、危険なゾーンに入ってしまうと、湧き上がる衝動が抑えられなくなってしまうのです。

第7話を見る限りでは、紗春にはそういう傾向が強くあるように思えます。
『夫に間違いありません』第7話 桜井ユキ、松下奈緒

『夫に間違いありません』第7話 桜井ユキ、松下奈緒

気持ちのスイッチをコントロールするのは難しい

ただ、スイッチの切り替わりによって豹変(ひょうへん)するのは紗春だけの特性というわけではありません。このドラマにおいては、形は違えど、理性を上書きしてしまう引き金という意味でのスイッチの切り替わりが描かれてきました。

聖子は、「家族」の存在が頭をよぎると、どんなことをしてでもそれを守ろうとします。それが一樹の死を偽装することに繋(つな)がります。一樹は、やはり「欲」でしょう。キャバクラ嬢の藤谷瑠美子(白宮みずほ)に入れ込んで家族を見捨て、さらに金にも翻弄されます。
『夫に間違いありません』第7話 松下奈緒

『夫に間違いありません』第7話 松下奈緒

天童は、「スクープ」が目の前をチラつくと、躊躇(ちゅうちょ)なく倫理を飛び越えます。たとえ重大な事件性があっても警察には伝えませんし、身分を偽装して情報収集もします。第6話で描かれていたように、相手の信頼を平気で裏切ります。ほかにも、聖子の弟で銀行員の光聖(中村海人)は婚約者・まゆ(松井玲奈)とお腹の子どものために不正融資に手を染めますし、聖子の息子・栄大(山﨑真斗)の同級生・藤木快斗(二井景彪)は、勉強で栄大を上回るために、様々な“いやがらせ”を仕掛けます。一樹の手によって命を落とした瑠美子の根底には、金がありました。
『夫に間違いありません』第7話 宮沢氷魚、松下奈緒

『夫に間違いありません』第7話 宮沢氷魚、松下奈緒

このように登場人物みんな、自分にとってのトリガー(引き金)がなんであるか薄々分かっていながら、スイッチの切り替わりをコントロールできないでいるのです。

一方で、なんとか自分をコントロールできているのが、栄大ではないでしょうか。聖子が見せる不審な動き、信頼していた光聖が不正融資で逮捕されてしまったこと、藤木からかけられる“圧力”。精神的にきつい状況に襲われながらも、聖子の期待に応えるため、自分の将来のため、そして家族のために勉強をがんばり、進学校を目指します。その姿に心を打たれます。
『夫に間違いありません』第7話 松下奈緒、山﨑真斗

『夫に間違いありません』第7話 松下奈緒、山﨑真斗

ただそんな栄大もきっと、気持ちのスイッチは抱えているはず。今後、それが切り替わるかもしれないことを思うと、なんだかやりきれなくなります。“親心”に似た感覚で、第8話以降の栄大の運命を見守りたいと思います。
文:田辺ユウキ
芸能ライター。大阪を拠点に全国のメディアへ寄稿。お笑い、音楽、映画、舞台など芸能全般の取材や分析の記事を執筆している。
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