『スノードロップの初恋』第3話レビュー
第3話冒頭では、スリーピーススーツをスマートに着こなし、サングラスで社内を闊歩(かっぽ)する朔弥(宮世琉弥)の姿が描かれました。朔弥のあまりのビジュアルの良さに、ざわつく社員たち。朔弥が歩くと、会社の廊下でさえ、まるでファッションショーのランウェイのようです。それほどイケメンなのに、社長室ではソファでごろ寝しながらクッキーを食べる朔弥の自由すぎるところもまた魅力的です。
そんな朔弥、前回は人間界でいろいろな感覚や感情を知り始めていましたが、第3話では“愛”について触れたようです。
1つは奈雪(小野花梨)と陸(岩瀬洋志)の家族愛について。朔弥から奈雪の死期を宣告された陸は、なんとか奈雪の運命を変えようと奮闘します。そんな陸に朔弥は「死は自然なこと。恐れることはない」と言いますが、陸は「俺は絶対に姉ちゃんの運命を変えてみせる!」と怒りを見せます。その真剣な表情から、たった1人の家族である姉を大切に思う気持ちが伝わってきました。陸が仕事に忙しい姉のために朝食を作る姿もけなげです。「無理しないで」とすねたような顔をする陸。本当にかわいい弟ですよね。
そして、FORTUNAの社長・伊勢(杉本哲太)が、長男を思う家族愛も見られました。伊勢の机には、7年前に事故で亡くなった長男の遺影が置いてあります。生きていれば会社を継ぐはずだった長男のことを、よほど大事に思っていたのでしょう。伊勢は次男の和真(曽田陵介)に対しては素っ気ない態度を取っているように見えますが、朔弥に対しては出会ったときからどこか心を開いているようです。「自分が代わりに死ねばよかったと何度も思った」と、朔弥に長男への思いを明かしますが、朔弥は伊勢に対して「その後悔は無意味だ。だれの死も代わることなどできない」と無表情のまなざしを向けます。その言葉に、意表をつかれたような伊勢の表情が印象的でした。
登場人物たちの愛に触れた朔弥の心にも、ある変化が起こったようでした。今回、奈雪の仕事が多忙をきわめたために、家で一緒に食事する機会がなくなってしまった朔弥と奈雪。朔弥は望月家で独り、奈雪が作り置きしたカレーをおいしそうにほおばりますが、しばらくして不思議そうな顔をしていました。その表情の理由がわかったのは、ドラマ終盤にさしかかったころ。仕事に行きづまった奈雪が帰路につくと、そこにはおにぎりを持った朔弥が。夕暮れの土手で、ベンチに座り並んでおにぎりを食べる2人。朔弥はそのとき「不思議だ。奈雪と食べるとなんでもおいしい」と笑顔を見せるのです。独りでカレーを食べたときに不思議そうな顔をしていたのは、2人で食べたときとの違いを感じたからなのかもしれません。たしかに、だれかと一緒に食事したほうがおいしいし、好きな人とならなおさらおいしく感じますよね。
穏やかな笑顔で奈雪と過ごす朔弥。ほかの人と話すときは無表情な朔弥ですが、奈雪と話すときだけは笑顔を浮かべているような気がします。
第3話では、奈雪が仕事に一生懸命に向き合う姿も印象的でした。開発チームのメンバーからの難しい依頼にも、嫌な顔一つせず「大丈夫です、なんとかします」と対応しようとする奈雪。急に予定のメニューが変わったり、材料費がかさみそうなときにも、チームの期待に応えようとしていました。頑張りすぎてしまった奈雪が朔弥に「全然大丈夫じゃないのに、ばかみたい」と弱音をはくと、朔弥は「大丈夫だ、君は頑張っている」と励ましの言葉をかけます。目に涙をためながら、朔弥にもらったおにぎりを口にする奈雪のひたむきさに胸を打たれました。
翌朝、鏡に向かってなにかを決意した様子の奈雪。出勤前にリビングの窓を開けると、そこには日光浴をする朔弥がいました。そしてなんと朔弥は、奈雪に「キスをしよう」と唐突に顔を近づけてきたのです。「おはよう」のあいさつと同じくらいの気軽さ。奈雪だけじゃなく見ている私までびっくりです。りゅびーずの皆さん、無事ですか? 息してますか?? ゆっくり深呼吸してください。……それにしても、朝日を浴びながらキスをせまる朔弥の横顔の美しいこと。スローでリピート再生したいくらいです。
でも、なぜ朔弥は急に奈雪にキスをしようとしたのでしょう? その理由は次回、明らかになるのでしょうか。
見逃し配信はこちら(TVer)
見逃し配信はこちら(カンテレドーガ)
文:早川奈緒子
川崎市在住のフリーランスライター。10代の子ども3人の母。「たまひよ」など主に子育て系メディアで取材・ライティングを行う。
カンテレIDにログインまたは新規登録して
コメントに参加しよう