2024年12月13日、阪急京都河原町駅からすぐの場所にある、RAU(ラウ・京都市下京区河原町通)がショップリニューアルしました。
5年前のオープン時より、スタイリッシュなデセール(ケーキ)が話題のRAUは「情景を、形状に。」というコンセプトで、シェフパティシエたちが実際に見た情景から受けるインスピレーションをデセールで表現してきました。
松下裕介シェフはマレーシアの5つ星ホテルのシェフパティシエとして、高木幸世シェフはパリの2つ星レストランでシェフパティシエールとして活躍。チョコレート業界・最高峰の世界大会「ワールド チョコレート マスターズ'22」のアーティスティックスキル部門で審査員長も務めた二人が手掛けるデセールはこれまでのケーキの概念を変えるものです。
そのコンセプトにもう一つ、「ケ(日常)」の積み重ねが「ハレ(特別)」につながるという思想を取り入れ、これまでの華やかなデセールに加えて、今回からフィナンシェやマドレーヌなど伝統的な焼き菓子を大幅に増やしました。
リニューアルオープンに合わせて新しく発表されたデセールは「Halle(ハレ)」。稲穂が飾られた花瓶の形になっています。花瓶の模様は片面が田んぼ、もう一方にはお米を表現するラインが入っています。側面にはヘブライ語で「ハレルヤ」。
お米、みかん、梅に加えて、豆腐、紅しょうがなど日本にある身近な食材を使い、とても感動的なデセールに仕立てられています。
表面はかなり薄い板状のホワイトチョコレートなのですが、その上にグレー(ケ/日常)の色と、さくら色(ハレ/特別)を重ねたニュアンスカラーになっています。中はぬか漬けにしたみかん果皮のジュレやジャム、豆腐や梅で作ったクリームなど、私たちにとって身近な食材の魅力を新たに引き出す工夫があちらこちらに散りばめられています。
甘酸っぱさやほろ苦さ、華やかな香り、まろやかさにサクサク感など多層的な風味と食感が五感を満足させてくれます。
大阪人のソウルフード・紅しょうがですらデセールの材料になりうるという、新しい可能性を導き出す手腕はお見事です。「先人たちが紅しょうがを作った必然があるはず。そのおいしさの理由を探りました。まだまだ日本人しか知らない食材もあり、そういったものが姿を変えておいしいスイーツになると和食材に興味津々の世界が驚くのですよね。ただ奇をてらうのではなく、意外性とおいしさのバランスを考えています」(高木シェフ)
北欧の凜とした森の寒さを表現するのにミョウガを使用するなど、情景から受けるインスピレーションと食材の組み合わせが光るRAU。
ある時は粘土で、またあるときは紙などで型を作り、身近な食材から情景を彷彿(ほうふつ)とさせる風味を作り出し、物語性のある唯一無二のデセールが生まれるのです。
今回、新たにパティスリーで提供されるのは焼き立てのフィナンシェ。
なんといっても香りが豊かで幸せを感じます。バターや小麦の甘くリッチな香りはいうまでもなく、驚くのは口に入れた瞬間の食感のギャップです。
最初に表面がカリッと、中はしっとりなめらかで口溶けがとてもいいのにびっくり。使用するバターを選び抜き、焼き立てで表面のカリカリ感を堪能できるようにしているそうです。さらに使用する糖や粉を選びぬき、配合割合や、ひと手間加えることでしっとり感を導き出したとのこと。見た目に美しい「ハレ」のデセールに対して、焼き菓子は気負いなくパクッと食べられる「ケ」のお菓子ですが、同時に「ケ」の積み重ねの結果「ハレ」に昇華された、非常に完成度の高いフィナンシェです。
松下シェフは「こういう何気ない日常的なお菓子を食べていただき、RAUのこだわりに気づいていただけたらうれしいです」と語ります。
「日々の繰り返しの中で自分たちのスタイルを作り出せる、そういったケの積み重ねがハレに繋がっていくのですよね」と語る二人。お菓子を通じて後進やお客さまへエールを送っているようにも感じます。
ショップではデセールやジェラートのイートインに加えてベイカリーや焼き菓子、チョコレート菓子などが購入できます。
店舗情報
RAU Patisserie&Chocolate (ラウ パティスリーアンドショコラティエ)
京都市下京区河原町通四条下ル2丁目稲荷町318番6 GOOD NARURE STATION 3F
11:00-19:00(カフェLO18:30) 不定休
https://rau-kyoto.com/
https://www.instagram.com/rau_kyoto/
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