親子対決の勝敗、亮子(趣里)が泣き叫ぶシーンは圧巻
2024.11.18
『モンスター』第6話レビュー
亮子(趣里)の父である粒来(古田新太)との対決を前に、大草圭子法律事務所では亮子と杉浦(ジェシー)・圭子(YOU)・村尾(宇野祥平)・由紀子(音月桂)の5人がお弁当を食べながら作戦会議をしていました。
簡単に考えられるような主張は、粒来によっていともたやすく覆されてしまうだろうと、勝機のある争点を亮子は探っていきます。その結果、マサル(石橋凌)から高額な寄付を受け取ったナース・梶田素子(島田桃依)が、弱っていたマサルをたぶらかしたことを証明できるかどうかが、裁判の勝敗を握ると結論づけました。この方向性に、杉浦はあまり納得できない様子。入院期間中に、杉浦はすっかり素子のファンになったようでした。
場所は変わって、亮子はいつものコンビニへ。クリニックの裏にある怪しげなコンサルティング会社を調査中、何者かに背中を押された城野(中川翼)でしたが、無事だったようで一安心。城野によると、富裕層向けツアーはこのコンサル会社が指揮をとっており、粒来はこの会社のアドバイザーを務めているのだそう。城野の身を案じた亮子は、これ以上コンサル会社の調査はしないよう、城野を止めました。
クリニックの前院長・岡本輝久(阿南健治)のもとに亮子が足を運ぶと、素子について闇深い話が。多くの患者から好評を得ていた彼女は、以前にも入院患者から金銭を受け取っていたのではと噂されていたというのです。
梶田素子(島田桃依)、マサル(石橋凌)
再びクリニックに入院し、潜入捜査をしていた杉浦。素子の姿が見えないため、担当していたナースに事情を聞くと、なんと彼女はその日アムステルダムへ渡るというのです!空港に急行した杉浦は、素子が粒来に対面している決定的瞬間に出くわしてしまいます。
裁判当日。素子への証人尋問で、亮子は気迫に満ちた様子で彼女の“闇”に迫りました。クリニックの前身である岡本病院に勤めていた頃、素子が担当した患者から遺産の相続するよう申し入れられたこと、そして生前マサルから、3億円もの寄付金を受け取ったこと。素子の表情はどんどん硬く、暗くなっていきます。
最後の切り札として、亮子は密かにロサンゼルスにわたって入手したとあるデータを提示します。それは、マサルが軽度の認知症であったという決定的証拠。つまり当時のマサルは正常な判断ができない状況であり、素子やクリニックの関連会社への寄付、そして“P2カクテル”での治療に納得していたかさえ疑わしいと、亮子は言いのけたのです。
亮子の独壇場を、無表情で眺めていた粒来。これはもう亮子の完全勝利なのでは?そう思っていた矢先、静かに粒来の反撃が始まりました。そもそも、エマ(秋元才加)の損害賠償請求は真っ当なものなのか?マサルの資産なのだから、どう使おうとマサルの勝手なのに、なぜエマが必死になって取り戻そうとするのか?
エマ(秋元才加)
事務所でのラストシーン、亮子はどんな気持ちだったのでしょうか。12年ぶりに再会した父。今さら甘えることも明るく言葉を交わすこともできず、突如決まった父との対決ではぐうの音も出ないほどの清々しい敗北。依頼者のエマが亡き父を思って浮かべた笑顔と、亮子の今にも泣き出しそうなほど切なげな笑顔が対照的で……亮子の見ているこちらがつらくなります。
Xでは、「あの映像をなぜ真っ先に家族に見せなかったんだよ…」「神波先生が悔し泣きするのもわかる。完全に子ども扱いされたわけだから。」「神波先生の悔し涙に胸が痛む」など、2人の娘に対する粒来の冷酷ささえ感じさせる戦い方への静かな怒りや、亮子の涙に対するさまざまな声が寄せられていました。趣里さんの高い演技力も相まって、多くの視聴者が心を奪われたラストだったようです。
人気弁護士に立ち止まっている時間はありません。次週は人気ドラマの聖地で起きた感電事故にまつわる訴訟のようですが、次回予告での亮子の様子がどうもおかしい……?粒来とのかかわりもなくならないようですし、裁判の結末とともに親子関係の行方も見守っていきたいところです。
フリーライター 兼 一児の母。
取材・インタビュー、エンタメ記事、エッセイなど、複数媒体・分野で執筆中。
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