橋本環奈さんといえば、数々の映画やドラマやCMに出演するばかりか、昨年に引き続き今年も『NHK紅白歌合戦』の司会を務めるなど幅広い才能を開花させている国民的女優です。
今回のドラマも刑事ものとはいえ、きっと橋本環奈さんのキラキラしたかわいらしさが際立つのだろう、と勝手な思い込みで見始めましたが……あれ?キラキラしていない。画面に映るのは、髪を低い位置でひとつ結びにし、地味なグレーのスーツを着て、かかわったらちょっと面倒くさそうな女性。一円(はじめ まどか)は私のイメージする“橋本環奈”とはかけ離れていた。女優とは役によってまとう空気まで変えるものなのか!と驚きました。
第1話の冒頭シーンで目を引いたのは藤堂さゆり(松本まりか)のアクションです。取調室から逃げる容疑者の腕をつかんだかと思いきや、その腕をねじり上げ一瞬で組み伏せます。その身のこなしの軽やかさに、思わず「まりかさまかっこいい!!」と声が出てしまいました。“あざとかわいい”イメージの松本さんだが、そういえば以前トーク番組で空手の黒帯だと話していたことを思い出しました。強行犯係内では武闘派だという藤堂の、今後のアクションシーンも楽しみです。しかも藤堂はシングルマザー。子どもにとっては、強くて美しくてかっこいいママなんだろうなぁ……と藤堂家の事情も推察してしまいます。
さらにオープニング映像では、万町署(よろずまちしょ)のメンバーが転がる1円玉を追いかける様子の合間に、『SPEC』『タイタニック』『アナと雪の女王』『ショーシャンクの空に』『E.T.』などの作品がオマージュされています。オープニングを見るだけでも「おや、これはなんの作品?」とクイズに答えるような楽しみがある。X(旧Twitter)でも「名作のオマージュが渋滞している(笑)」「トクメイ!のオープニング、オマージュが斬新すぎる」「SPECとアナ雪とE.T.はわかった。あとなんだろう?」と、盛り上がりを見せていました。
円は、万町署に、捜査費用を削減するために派遣された特別会計係。刑事課のメンバーに対してしつこいほどに「経費削減!」を訴えて煙たがられます。円は経費の無駄を突き止めようとするあまり、捜査会議中に押し入るもののつまみ出されてしまいます。その様子がまた笑えるのです。小柄な円は、高身長の刑事2人に片腕ずつ抱えられると宙に浮いてしまいます。足をバタバタさせて抵抗し、何やら叫びながらつまみ出される円の姿が、とってもおもしろかわいいです。これは何度もおかわりしたいです。ぜひ毎回「円のテケテケ連行シーン」を希望します。X(旧Twitter)では「連れ去られたwww」「1話につき何回連れ去られるん?」「足バタバタする環奈ちゃんかわいかった」などのコメントがあり今後も期待されている様子です。
一方で円は、「疫病神」と呼ばれるほど運が悪い人。ペンキ塗りたてのベンチに座ってスカートを真っ白にしたり、事件現場でスプリンクラーを誤起動させ捜査員をびしょぬれにしたり……。円は不運の備えとして大量のお守りを持ち歩いていますが、それでもなお運が悪いとは、お守りのご利益のほうを疑いたくなってしまいます。円のデスクに置かれたサボテンの人形も、何やら不運に備えるためのものらしいのですが、一体どんな備えなのか……ただのかわいいマスコットなのか……今回は明かされなかったサボテンの意味も気になってしょうがないです。
さて、第1話の終盤では、凶器を持って円を狙う殺人犯と、円を助けにきた湯川(沢村一樹さん)がもみ合う派手なアクションシーンがあります。ドラマ前半で湯川のTシャツからのぞく鍛えられた上腕二頭筋はチェック済みです。湯川はきっと強いに違いありません。「よしっ!いけ!おさえろ!」と固唾を飲んで見入ります。しかし円といえば命の危険が迫る中でさえ高額な電子顕微鏡が壊されないように守ろうとします。彼女はある意味、心臓に毛が生えているのでしょう。
見ているこちらもドラマ冒頭からずっと円にお金のことを言い続けられているからか、湯川を応援する反面、「ああっ、湯川さん!そんなに暴れたら経費がっ!」と気になってしまうのでおもしろいです。
そしてラストでは、無事に事件解決……と思いきや、警察の不正を暴く「脅迫者X」の存在が提示されます。強行犯係のメンバーたちが脅迫者Xについて署内で雑談していると、なんとその様子が監視カメラでチェックされているではありませんか。監視カメラのモニターを見ているのは……円のようです。モニターを見ながら不敵な笑みを浮かべる円。もしかして円には、特別会計係だけではない別の顔もあるのでしょうか……? X(旧Twitter)でも「お仕事系ドラマかと思いきやラスト何よw」「一円には何やら裏の顔がありそう」「ラストで不敵に笑みを浮かべているシーンが怖かった」など、謎が深まる展開を楽しみにする投稿が数多く見られました。なんとも次回が気になりすぎる!
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文:早川奈緒子
川崎市在住のフリーランスライター。10代の子ども3人の母。「たまひよ」など主に子育て系メディアで取材・ライティングを行う。