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“父”木梨憲武がパーティー開催、反対だった“娘”奈緒の結婚に明るい兆し

2024.02.20

“父”木梨憲武がパーティー開催、反対だった“娘”奈緒の結婚に明るい兆し
前回ラストで、「私は、かず君と結婚しない」と父・雅彦(木梨憲武)に宣言した瞳(奈緒)。結婚を認めてもらおうと恋人・一馬(濱田岳)が芸人を辞め、その決断に反発した一馬の息子・龍之介(石塚陸翔)が家出する事態に責任を感じた瞳なりのケジメだったんでしょう。手帳に書き記した「結婚までにやりたいこと」リストの「お父さんにかず君との結婚を認めてもらう」を泣く泣く消してしまいました。

余命わずかな雅彦と過ごす時間を優先しようと、「結婚はまだ早い」という瞳の考えを尊重した一馬。ショックを受けながらも、「結婚のために大事なことを後回しにしたり、忘れちゃったりするのはよくないことだよね」と受け入れる一馬、つくづく優しい人ですよね。「大丈夫、瞳と別れるわけじゃないんだから!」と背中をさすってやりたくなります。
結局、式と披露宴はキャンセルすることに。瞳と一馬を担当していたウェディングプランナーの黒沢(西垣匠)が「振り回されるこっちの身にもなってくれよ!」とチャペルで地団駄を踏み、先輩の森野(橋本マナミ)に「やってられません!」と泣きつく姿がなんとも笑えます。このプランナー二人による掛け合い、シリアスな展開が続く『春になったら』の“清涼剤”としておなじみになってきた感がありますね。

一方で、これまでの半生を振り返り、旅立ちに向けた希望をまとめる「人生ノート」を書き終えた雅彦。「仲間と仕事ができなくなること、何より瞳と別れるのがさみしい」と緩和ケア医の阿波野(光石研)に本音をもらします。特に「いまから治療を受けたらどうなるんですかね」と尋ねる姿が切なかった。一度は受け入れたはずの死を前に、改めて戸惑いやためらいが生じているのでしょうね。

医療用麻薬を飲んで痛みをやわらげても、日増しに症状が強くなっていく自分の体。実演販売士として働く現場で後輩・加賀屋(葵揚)を指導している最中にも、痛みは容赦なく雅彦に襲いかかります。「もう隠し通せない」と感じた雅彦は、職場の上司・中井(矢柴俊博)と加賀屋に、末期の膵臓(すいぞう)がんであることを告白しました。「治療は受けない」という雅彦の覚悟に、言葉を失う二人の表情も切なかったですね。

同じころ、助産院の夜勤明けで体が疲れているにもかかわらず、ベッドに横たわっても寝つけない瞳。抑圧された感情がストレスになって、体に現れているのでしょうか。そこへ、婚約解消の報告を受けた親友・岸(深澤辰哉)が突然、瞳のもとを訪ねてきました。彼女を心配して元気づけようとする岸の優しさに触れ、一瞬だけ泣き崩れてしまうも……自らを奮い立たせ、平気なフリをしてしまう瞳。無理がたたって、ついに助産院で倒れてしまいます。
結果、瞳は入院することに。「カズマル(=一馬)に知らせなくていいのか?」と気遣う雅彦に「心配させたくないから」と断る瞳。そんな娘を思ってか、雅彦は「カズマルのこと、俺キライじゃないんだよね」「龍之介もかわいいし」「なんで結婚に反対してんのか、わかんなくなってきた」と伝えました!これまで雅彦の、一馬に対する言動がやわらかく変化していく描写はありましたが、ついに……ついに言葉になりましたよ!いち視聴者として「いまさらかよ!」とツッコミを入れつつ、「欲しかった展開キターーーーー!!!」と感激してしまいました。

ここから先は、父が娘のために開いた退院パーティーへ! 雅彦の姉で瞳のおば・まき(筒井真理子)、瞳の親友・美奈子(見上愛)と岸のほか、雅彦はきちんと一馬・龍之介親子も招いています。くしくもこの会が、雅彦の「死ぬまでにやりたいこと」リストにあった「友だち呼んでホームパーティー!」を実現することにもなっていて、胸アツでした。加えて雅彦のリスト末尾にあった「カズマルを瞳から追い払う!!」と、瞳が自分のリストから消した「お父さんにかず君との結婚を認めてもらう」の行方、ぜひ見守ってください。もうね、ガッツポーズが止まりませんから。
互いが互いを思いやるあまり、すれ違っていく様子が切なかった前回までとは打って変わって、少しだけ明るい兆しが見えた第6話。一馬は再び芸人ネタを書き始めたし、瞳に恋心を抱く岸にも「友だちとして、瞳ちゃんを支えてください」と頭を下げていました。その願いをまっすぐに聞き入れる岸。恋敵として互いを牽制(けんせい)しあうのではなく、瞳を思っての行動と伝わってきて心があたたかくなります。岸に思いを寄せる美奈子も「男なんて他にもいる」と、なんだか吹っ切れた様子を見せていましたね。

とはいえ、最期へ向かう雅彦の時間は刻一刻と進みます。予告によれば、次回は瞳のリストにあった「お父さんと2人で旅行に行く もう一度!」をかなえるキャンプ旅行へ。たき火で暖をとりながら、「死にたくないなぁ」とつぶやく雅彦の横顔に、また大きく感情を揺さぶられそうです。
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文:岡山朋代
編集・ライター。朝日新聞社「好書好日」、ぴあ各メディアなどで主にカルチャーやエンタメ分野の取材・インタビュー・執筆を手がける。
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