山岳看護師として、自分に何ができるのか『マウンテンドクター』第4話の見どころ
2024.07.29
鮎川山荘で働く大学生・絵理子(工藤美桜)たちが、山荘主催の登山ツアーを計画します。そのツアーにMMTが帯同できないかと打診があり、周子(檀れい)は活動のアピールになるので引き受けるつもりだと言います。周子は歩(杉野遥亮)と玲に帯同するように言うのですが、玲は拒否します。
玲は、祖父の篤史(石丸謙二郎)に電話をして「7年前のことを忘れたわけじゃないよね?」と問い詰めます。祖父は「登山が危険だから止めるのではなく、どうしたら安全に登山を楽しめるのかを考えている」と言いますが、玲は「私はそうは思わない」と電話を切ります。
結局、登山ツアーは歩だけが帯同することに。絵理子が引率して順調に進みますが、山頂到着直前で天候が悪化。急な雷雲が発生し、絵理子は落雷で感電してしまいます。
山岳医を同行させても救命率は変わらない。医師を危険にさらすだけだと、江森はMMTの存在そのものを否定してきました。「それでもだれかがやらなければ」と反論する周子。しかし、今回ばかりは江森の主張が正しすぎました。一歩間違えれば、絵理子だけでなく歩も危険だったわけですから。
7年前、山岳看護師の認定を取ったばかりの玲は、祖父の代わりにツアーに同行すると申し出ました。国際山岳医の折原美鈴(中越典子)といっしょに登山できることを無邪気に喜ぶ玲。しかし、雪山で大変な事故が起きてしまいます。
雪山登山中、低体温症を発症した登山客がいたにもかかわらず、玲は一部の登山客と山頂を目指してしまいます。しかも、道を間違えた玲たちは遭難し、寒さに凍え、あとを追いかけてきた美鈴に救助されます。玲もまた低体温症で意識が朦朧(もうろう)としており、先に搬送されることに。
ところが残された美鈴たちのもとに、雪崩が襲ってきたのです。
美鈴は、なんと江森の婚約者でした。自分の判断ミスで尊い命が犠牲になってしまった……だから江森が山を恨んでいるのは「私のせい」だと、7年もの間、トラウマを抱えていたのですね。
それでも玲は、山を嫌いと言いながらも、山から離れられずにいました。
「本当に山が嫌いなら、MMTの仕事も引き受けないんじゃないかな」
わかったようなことを言う歩に、「なにも知らないくせに」と涙ながらに怒りをぶつける玲。
でも、歩自身も山で大切な人を亡くしています。そのことを典子(岡崎紗絵)に教えられ、玲は後日、歩に謝ります。自分はまだ向き合えていない、山が嫌いなのに離れられないと言う玲は、本当に苦しそうです。
歩は「でも、山岳看護師の仕事をいまも続けているんですよね」とそっと語りかけます。本当に嫌いなら、なぜ山岳看護師の仕事を続けているのか。本当は山が好きで、嫌いになりたくない……そんな玲の思いを引き出すかのような、優しい問いかけでした。
そこに、山荘の常連客のシゲさん(玉置孝匡)が緊急搬送されてきます。シゲさんは雷の直撃を受け、危険な状態でした。歩がシゲさんに「また登れるようになりますから。いっしょに山にのぼりましょうね」と声をかけたことをきっかけに、玲は美鈴の言葉を思い出します。
美鈴は事故の日、搬送されていく玲に優しく「またいっしょに山登ろうね。山を嫌いにならないでね」と語りかけていたのでした。この言葉が玲の心に刻まれていたからこそ、玲は山岳看護師の仕事を続けていた。自分に何ができるのか、そして登山者に山を嫌いになってほしくないという思いが湧き上がってきます。「私にできる限りのことをしたい」と、玲は前を向くことを決めたのです。
数日後、山岳ツアーへの同行を申し出た玲には、笑顔が戻っていました。山を愛する人々の笑顔をみて、ようやく一歩踏み出せたのかもしれません。
一方、江森はまだ山を恨み続けているようです。美鈴は遭難したまま見つかっておらず、見つかるまで探し続けると言います。大切な人を奪った山を恨みながら、険しい表情をしている江森。いつかまた、江森も笑える日が来るのでしょうか。
次回はさらに厳しい状況が待ち受けているようですが、歩やMMTメンバーたちがどのように向き合っていくのか、次週の放送が待ち遠しいです!
三重県在住のライター。大手Webメディアの記事執筆やコラム、メルマガ、プレスリリースなどを執筆中。
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