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MMTに突きつけられる課題、歩を襲う悲劇『マウンテンドクター』第5話の見どころ

2024.08.06

MMTに突きつけられる課題、歩を襲う悲劇『マウンテンドクター』第5話の見どころ
5話は衝撃の展開でした。MMT(マウンテン・メディカル・チーム)の挑戦と、患者との深い絆が描かれる中で、予期せぬ悲劇が起こります。

信濃総合病院の院長・周子(檀れい)は、病院でレスキューヘリを導入できないか考えていました。しかし日本では前例がなく、国の認可を得るためにまずは県に協力を要請しているとのこと。長野県医療政策課の担当者・純家健一(松尾諭)が視察に来ますが、MMTの活動に懐疑的な様子です。

さて、1話で登場したペースメーカーを装着している宇田さん(螢雪次朗)ですが、亡き妻との思い出の場所である赤松岳を目指してリハビリに励んでいます。歩(杉野遥亮)は慎重に検査を進め、宇田さんとの絆も深めていきます。

宇田さんの誘いで、歩は焼き鳥屋しんちゃんで飲むことに。宇田さんが「娘しかいないから、息子と飲んでいる気分だ」とうれしそうに語ります。父子のように仲のよい姿に、典子(岡崎紗絵)は「あの二人、いつからあんなに仲良くなったの?」とうらやましそう。

「宇田さんみたいな人が親だったら、私の人生も変わっていたのかな」とぼやく典子。典子の母は地元では有名な内科医で、典子は麻酔科医になったことを隠しているのですが、とうとううそがばれそうな展開になってきました。

別の日に典子は偶然、真吾(向井康二)が妻子と話しているところに通りかかります。離婚後も真吾はときどき二人と会っているのでした。駅で別れた後、いつまでも子どもの背を見つめている真吾。いつも明るい真吾のさみしそうな姿に、典子は「お父さん、泣かないで」と冷やかすようにハンカチを渡します。「泣いてねえよ」と言いつつ、典子のハンカチを受け取る真吾でした。

開店前にしんちゃんへ寄った典子は「親にうそをついている」と打ち明けます。「もしばれたら、医者じゃいられなくなるような」と。お前らしくないだろ、と真吾に言われ、ため息をつく典子。典子が自分らしさを取り戻し、母親に麻酔科医になったことを打ち明けられるといいのですが……。

数日後、宇田さんの検査結果が良好だったため、歩は登山許可を出します。歩は同行を提案しますが、宇田さんは「妻とのデートなので」と一人で登ることを希望します。歩はその答えを想定していたかのようにお守りを宇田さんに渡します。ちょっとダサいカエルのお守りに、宇田さんは大笑いしながらも、とてもうれしそうでした。

登山当日、宇田さんは中林尚樹(高島豪志)・麻里子(新原ミナミ)夫妻と語り合いながら、赤松岳のテントサイトを目指します。
途中、熊出没注意の看板があり、鮎川山荘では熊の話題で持ちきりに。人間の近くに自分たちの食料があると学習した熊は、昼夜関係なく向こうから近づいてくるそうですが、熊よけの鈴を手にした夫婦は、これさえあれば大丈夫だと笑顔です。

無事にテントサイトに到着した宇田さんは、妻との思い出に浸ります。カラフルなテントがいくつも並ぶ絶景に「節子といっしょに見られたら、どんなによかったか……」と静かに感動していました。
ところがその夜、熊がテントサイトを襲い、中林夫婦は重傷を負います。宇田さんは救助隊に連絡しますが、夜間のため救助に向かえないと断られてしまいます。麻里子は頭部にけがを負い、出血が止まりません。

宇田さんは、歩を頼って電話をかけます。歩は山荘に連絡を取り救助を要請しますが、焦った宇田さんは、自ら行動を起こすことを決意。麻里子を背負い、山荘に向かって歩き始めます。ペースメーカーを装着している宇田さんにとって、これほどの身体的負担は危険なはず……。
夫婦は無事にヘリ搬送されたものの、やはり宇田さんの心臓に負担がかかったのか、心室頻拍(VT)を発症し、宇田さんは倒れてしまいます。
歩たちはすぐさまAEDを使用し蘇生を試みますが、宇田さんは帰らぬ人に……。現実を受け入れられない歩は、必死に心臓マッサージを続けます。「一緒に打ち上げしようって約束したじゃないですか」と呼びかける歩に、MMTメンバーたちは言葉も出ないまま立ち尽くすばかり。最終的に歩を止めたのは、江森(大森南朋)でした。

メンバー全員がショックを受ける中、江森は冷静に宇田さんのエコー画像を再度確認します。そして、落胆する歩に向かって「心サルコイドーシス(心臓に炎症が起こり、心臓の機能が障害を受け、心不全や不整脈を引き起こすこと)の疑いがある。これに気づいていれば、極めてリスクの高い登山だと説明できたはずだ」と指摘。さらに、歩が確証バイアス(自分の考えを肯定するために都合のよい情報だけを見ている状態)に陥っていた可能性を鋭く指摘します。

歩は愕然(がくぜん)とします。宇田さんの登山への強い思いをかなえたいがために、登山許可に必要な数値ばかりに目を向けていたのではないか。もし正確に症状を診察できていれば、冷静に登山のリスクを説明できたかもしれません。歩は、取り返しのつかない誤診をしてしまったのかと打ちのめされます。
宇田さんは亡くなる直前に「先生、ありがとう」と歩に感謝していました。歩を信頼し、お酒に誘い、登山グッズのおすすめを聞いて喜んでいた宇田さん。下山したら打ち上げをしようと歩と約束していた宇田さん。登山中、歩に何度もメッセージで報告していた宇田さん。
こんなにも自分を信頼していた人を、自分の判断ミスで失ったことを知らされ、歩は顔をくしゃくしゃにして号泣するのでした。

歩は宇田さんの死を乗り越えられるのか、MMTがどのように前に進んでいくのか、次回の展開に期待したいと思います。
文:馬場 絵美
三重県在住のライター。大手Webメディアの記事執筆やコラム、メルマガ、プレスリリースなどを執筆中。
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