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妊娠を学校に伝えた福(桜田ひより)の日常は変わり始めて…

2024.09.10

妊娠を学校に伝えた福(桜田ひより)の日常は変わり始めて…

『あの子の子ども』 第11話レビュー

福が担任の沖田(橋本淳)に妊娠したことを報告し、通学を続けて高校を卒業したいと希望を伝えたシーンから始まった11話。このとき沖田が言った「すごいな、川上。わかってから4日でそこまで考えるなんて」との言葉に、驚きました。「ここまでたった4日間の話だったの!」 と。妊娠がわかってから、本当にいろんなことがありすぎました。福も宝もたった4日の間で、悩んで涙して受け止めて話し合って……頑張りましたよね。
沖田は福が卒業する方法を探ろうと、生活指導の山田(松角洋平)と養護教諭の足立(菊池亜希子)にも事情を伝えます。このとき集まった大人たちの意見は三者三様でした。担任の沖田は福の希望を尊重したいと言い、足立は福の体調を気遣いながら、病院と連携を取って支えると言います。しかし山田は福が学校に残ることに反対し、自主退学・休学・定時制か通信制に転学、の3つの選択肢を提示します。
山田が「卒業はあきらめろ」と言うのは、学校や周りの生徒に影響を及ぼすという理由が一つ、そしてもう一つは、福が周囲の人たちの好奇の目にさらされてしまうことでした。山田の発言は一方的ではありますが、生徒たちに妊娠のうわさが広まってしまったら、福が傷つくことを心配しているようにも思えました。もしかすると山田が提示した選択肢は、福が心と体の健康を保ちながら妊娠を継続するための現実的な方法であるのかもしれません。山田の意見を感情的にならずに受け止めようとする福の表情が印象的でした。

さらに山田は福に「このことを誰にも言うな。大事な友だちなら尚更巻き込むな」と念を押します。福は矢沢(茅島みずき)にだけは自分の口で伝えたいはずなのに、それを我慢してしまいます。
一方、陸上部に退部届を出した宝(細田 佳央太)は、親友でありライバルの隼人(前田旺志郎)にだけ、退部する理由を打ち明けました。関東大会を目前にして部活を辞めるのは「もし勝ったら続けたくなるから」。そして退部届を出す前に隼人に言えなかったのは、「話したらずっと隼人と一緒に走りたいと思ってしまうから」だと。だれにも言わないと決めたその言葉に、宝の責任と覚悟を感じて涙が出ました。
その日の放課後、コンビニの前でヒヨコラムネの当たりカードを探す矢沢。そこへ飯田(河野純喜)もやってきて2人でラムネの箱を開けていると、飯田のSNSの通知音が。SNSを開いた矢沢と飯田の目に入ったのは、ある写真。その写真で矢沢と飯田は、福が妊娠したらしいこと、そしてそれがSNSで拡散され始めてしまったことを知ります。

どうやらクラスメートのだれかが、福が教室に置いたままにしていたスマホに、福の母・晴美(石田ひかり)からつわりを心配するメールが届いていたのを見てしまったようなのです。
公園のベンチで1人考え事をする福に、矢沢のスマホを使って飯田から着信があり、飯田は福に「SNSのアカウントを消すか、鍵をかけるように」と慌てた様子で伝えます。不思議に思った福がSNSアプリを開くと、次々にフォローやコメントの通知が来ていました。これが、山田が言っていた「うわさが広まる」ということか、とゾッとしました。
翌日登校した福は、クラスメートたちの視線の変化に気づきます。そして、机にはあるものが置かれていました。逃げるように教室を飛び出した福は、階段で登校してきた矢沢と出会いますが、矢沢は何も言わずに通り過ぎていってしまいます。

福はどうしてこんなふうに傷つかなければならないのか……胸がぎゅっと締め付けられるようでした。ついに次回は最終話。産んで育てることを選んだ福が、どうか笑顔ですごせますように、と願わずにいられません。
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文:早川奈緒子
川崎市在住のフリーランスライター。10代の子ども3人の母。「たまひよ」など主に子育て系メディアで取材・ライティングを行う。
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