集団行動って一種の暴力!?町中華のランチタイムに見えた人間模様──年末年始の作り置きに便利!和・洋・中アレンジ自在の「鶏むね肉のハム」レシピ【わかぎゑふの料理コラム】

2025.12.24

集団行動って一種の暴力!?町中華のランチタイムに見えた人間模様──年末年始の作り置きに便利!和・洋・中アレンジ自在の「鶏むね肉のハム」レシピ【わかぎゑふの料理コラム】

「ランチタイムの世界」

 先日、近所の中華屋さんでランチを食べた時の事です。餃子(ぎょうざ)がめちゃくちゃ美味しいことで有名な店で、10数年前に中国人のマスターご夫婦がその店を居ぬきで買った時から通っています。でもランチに行ったことはありませんでした。

 美味しい店のランチというのは人もたくさん来るし、慌ただしい感じがして気が引けます。その店も向かいに大きな会社があって、そこの社員さんが集団で来るので、一人の私にはハードル高めなのですが…どうしても麻婆豆腐が食べたい欲求に勝てずに行きました。

▶定食派VS単品派、円卓で浮かび上がるランチの個性

  店に入ると大きな円卓に座るように指示がありました。中華料理のお店によくあるテーブルです。詰めると座れる人が増えるので円卓は実に便利ですよね。そこには私と同じようにおひとり様ランチを食べに来ている人ばかりが座っていました。もちろん待望の麻婆豆腐ランチを頼みました。ランチはスープ、サラダ、白ご飯、小さい杏仁豆腐(あんにんどうふ)がセットになっています。
 ふと隣の女性を見ると中華焼きそばのセットが運ばれてきました。彼女はその焼そばをハグハグと一心に食べていましたが…白ご飯にはいっさい手を付けませんでした。私はそれを見ながら「どうした?セットと思ってなかったのか?単品で頼めばええのに」と心の中でツッコミをいれていました。そしてとうとうその焼そばを完食してしまったではありませんか。「白ご飯もったいないやん」と思っていると、なんとそう思った瞬間、彼女がその白ご飯を食べ始めたのです。
 「え?白ご飯だけ食べ始めた…嘘(うそ)やん。おかずないのに…ひょっとしてその方が好きなのか?」と妄想が広がっていったのですが、二口ほど食べるとそれもやめてしまい、結局残して行きました。「なんなんや?お店に悪いと思ったのか、はたまた勿体(もったい)ないと思って頑張ったけどもうお腹一杯やったんか?」私の妄想はとめどなく沸いてきて、しばらくランチの食べ方から彼女の思考を考えてしまったほどです。

そして彼女が去ると、今度は男性が座り「餃子(ぎょうざ)2皿」を注文しました。「な、なんと単品で?セットにしたらご飯とスープが付くのに」と今度は彼の動向に目が行ってしまいました。「水と餃子(ぎょうざ)だけで昼食を済ますとは、それほど好きなのか?それとも節約?いやいや2人前頼んでるしな…」とドキドキして見ていたら、今度は「すみません、春巻き追加でお願いします」と言い放ったのです。餃子(ぎょうざ)2人前と春巻きと水、なかなか個性的なランチを食す人でした。
 もちろん私はその間に麻婆豆腐ランチを美味しく食べましたよ。マンウォッチングに行ったわけではありませんので。心の中で「みんな定食まともに食べようよ」と思いながらお会計を済ませて、出て行こうとしたのですが…。

▶ランチタイムで学ぶ「集団行動」のちょっとした気配り

 ちょうど数人の男性が店に入って来るところで、彼らを優先して待っていました。ところが入って来るわ、入って来るわ先頭の男性が「10人やねんけど」とニコニコ笑いながら店の人に告げていました。ズラリと列をなした10人の男の人たちは店の中から玄関の外まで溜(た)まって案内を待っている状態です。私はその様子を少し待っていましたが、誰ひとりとして、店を出ようとしている私を気にもせずに玄関付近をふさいでいたのです。
 「すみません、出たいんですけど」と言うと「あぁ」と一人が少し脇にずれてくれました。「通ります~」とわざと大きめの声で言いましたが、誰も「すみません」とも「どうぞ」とも言いませんでした。私は心の中で「優しくないおっさんどもめ、この会社使えん奴ばっかりやな」とつぶやいて店を後にしました。「集団行動って一種の暴力やな、劇団とかで行動してるときは気を付けよう」と反面教師として忘れないようにしようと思った次第です。その日のランチタイムは人間模様の濃さに圧倒される経験でした。ある意味楽しかったです。

▶和・洋・中アレンジ自在!年末年始の作り置きに役立つ「鶏むね肉のハム」レシピ

さて、そんな中華屋さんの話でしたが、今日ご紹介するのは「鶏のむね肉のハム」です。掛けるソースによって洋風にも和風にも、中華にも変身するあっさり味のハムなので作り置きしておくととても便利です。年末年始のオードブルにも活用できますよ。今回はリンゴを使ったソースもご紹介します。
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年末年始の作り置きに便利!和・洋・中アレンジ自在の「鶏むね肉のハム」レシピ/わかぎゑふの料理コラム

(材料)
・鶏むね肉200~300グラム
・リンゴ1個
・塩少々
・みりん少々
・赤ワインなど

(作り方)

①リンゴをすりおろします。

②むね肉をそぎ切りにして平たい状態にし、塩を振ってしばらく置きます。

③そのむね肉をすったリンゴに浸してください。パサパサするむね肉ですが、リンゴの酸味でしっとりとなります。

④冷蔵庫で1時間~2時間置いて、リンゴをキッチンペーパーなどでふき取ってください。
 リンゴはソースに使うので捨てないように。
⑤お湯を沸かして、むね肉を入れ沸騰したら火を止めてそのまま放置します。
⑥残ったリンゴはみりん、赤ワイン、醤油(しょうゆ)などで味を調えソースにします。
⑦お湯がすっかり冷めたらむね肉を取り出して、切り分けたり、筋に沿って裂いて食べやすい大きさにしてください。盛り付けたらプチオードブルの完成です。
わかぎ ゑふ(劇作家・演出家)大阪府出身。
関西小劇場界の老舗劇団、「リリパットアーミーII」2代目座長。
芝居制作処、玉造小劇店の代表。
大阪弁のオリジナル人情劇を数多く手掛けている。古典への造詣の深さも有名で
落語、歌舞伎、新作狂言の作、演出や衣裳デザインなども手掛ける。
小劇場から大劇場まで縦横無尽に活躍する数少ない女性演出家の一人。
エッセイも多数出版。2023年には大阪市民表彰を受賞した。
miyoka
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