「カワイイ!」が詰まった竹久夢二の世界
2025.01.19
「大正ロマン」とは、明治時代に伝わった西洋文化が日本の伝統文化と融合し、大正時代に花開いた文化、思想、芸術のこと。夢二は明治から昭和前期に至る日本近代芸術・文化の円熟した魅力を最も醸し出した芸術家でした。
夢二が描く美人画は大きな瞳、色白のうりざね顔、憂いを帯びた表情にきゃしゃで曲線的な肢体の描き方が特徴的で、「夢二式美人」と呼ばれる独自のスタイルで一世風靡します。
そんな夢二の、近年発見された幻の油彩画やスケッチなども展示される「生誕140年 YUMEJI展 大正浪漫と新しい世界」が2025年1月18日(土)~3月16日(日)の期間、あべのハルカス美術館で開催されています。
真紅のビロードが張られたレトロなベンチと、壁には竹久夢二の写真が飾られています。パチっと一枚撮ったらいざ、大正ロマンの世界へ誘われましょう。
ベストセラーとなった、夢二自ら装幀を手がけた画集が展示されています。なんとも淡い色合い、模写のデザイン性など、今の時代でも「カワイイ!」と思わず声をあげそうになります。
《夢二画集 夏の巻》 1910年再販/1910年初版 夢二郷土美術館蔵/ほか
そのデザインも「カワイイ!」。後で紹介しますが、デルフォニックスの人気アイテム、ロルバーンとコラボしたグッズも販売されていて、物欲を刺激されるのでご注意を。
千代紙「きのこ」(みなとや版)大正 木版、紙 夢二郷土美術館蔵/ほか
帯「いちご」 大正前期 油彩、絹 夢二郷土美術館蔵
現存する油彩画は約30点と少ないのですが、この展覧会ではその中の13点が展示されています。
中でも目玉は《アマリリス》。東京の菊富士ホテルの応接間にかけられていたこの絵は、1945年ごろホテルが閉館するとともに所在がわからなくなっていました。2022年に情報がもたらされ、夢二郷土美術館のコレクションとして再び人々の目に触れることになったのです。約80年の時を経て新発見された本作品は関西初公開となります。
大きなアマリリスを女性の前に配置した大胆な構図は西洋美術の影響も感じられますが、女性の少し憂いを帯びた表情や細長い顔に夢二らしさを感じます。
《アマリリス》1919年頃 油彩、カンヴァス 夢二郷土美術館蔵
憂いを含んだ表情は夢二が描く女性共通ですが、乳白色の肌の色やポーズ、そして女性の体の流れと平行するように描かれるストライプの背景などは、それまでの作風とは違った趣があります。
《西海岸の裸婦》1931―32年 油彩、カンヴァス 夢二郷土美術館蔵
《勇敢な恋人》雑誌「婦人グラフ」第1巻第4号挿絵 1924年 木版、紙 夢二郷土美術館蔵/ほか
大正ロマンの「カワイイ!」がたくさん詰まったグッズに目移りしちゃいます。
【日程】2025年1月18日(土)~3月16日(日)
【開館時間】火~金 10:00~20:00、月土日祝 10:00~18:00(入館は閉館30分前まで)
※会期中無休
【会場】あべのハルカス美術館(大阪市阿倍野区阿倍野筋1-1-43 あべのハルカス16階)
【料金】一般:1,700円/大高生:1,300円/中小生:500円
https://www.ktv.jp/event/yumeji2025/
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