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「カワイイ!」が詰まった竹久夢二の世界

2025.01.19

「カワイイ!」が詰まった竹久夢二の世界
竹久夢二(1884-1934)。大正ロマンを代表する芸術家です。
「大正ロマン」とは、明治時代に伝わった西洋文化が日本の伝統文化と融合し、大正時代に花開いた文化、思想、芸術のこと。夢二は明治から昭和前期に至る日本近代芸術・文化の円熟した魅力を最も醸し出した芸術家でした。
夢二が描く美人画は大きな瞳、色白のうりざね顔、憂いを帯びた表情にきゃしゃで曲線的な肢体の描き方が特徴的で、「夢二式美人」と呼ばれる独自のスタイルで一世風靡します。
そんな夢二の、近年発見された幻の油彩画やスケッチなども展示される「生誕140年 YUMEJI展 大正浪漫と新しい世界」が2025年1月18日(土)~3月16日(日)の期間、あべのハルカス美術館で開催されています。
会場入り口を入るとすぐにフォトスポットが設置されています。
真紅のビロードが張られたレトロなベンチと、壁には竹久夢二の写真が飾られています。パチっと一枚撮ったらいざ、大正ロマンの世界へ誘われましょう。
夢二が爆発的な人気を得たのは1909年に刊行した「夢二画集 春の巻」がきっかけとなります。
ベストセラーとなった、夢二自ら装幀を手がけた画集が展示されています。なんとも淡い色合い、模写のデザイン性など、今の時代でも「カワイイ!」と思わず声をあげそうになります。

《夢二画集 夏の巻》 1910年再販/1910年初版 夢二郷土美術館蔵/ほか

結婚後、封筒や半襟、千代紙などをオリジナルに作って販売する「港屋絵草紙店(港屋)」を開店します。
そのデザインも「カワイイ!」。後で紹介しますが、デルフォニックスの人気アイテム、ロルバーンとコラボしたグッズも販売されていて、物欲を刺激されるのでご注意を。

千代紙「きのこ」(みなとや版)大正 木版、紙 夢二郷土美術館蔵/ほか

また着物ガールには喉から手が出るほど欲しい夢二デザインの帯《いちご》も展示されています。ちゃっかり帯の下部に金糸で「MINATOYA」と店名を刺繍しているところもニクいですね。大正のメディア王と呼ばせてもらいます。

帯「いちご」 大正前期 油彩、絹 夢二郷土美術館蔵

夢二のイメージは水彩画とか版画だったりするのですが、油彩も手掛けていたのですね。
現存する油彩画は約30点と少ないのですが、この展覧会ではその中の13点が展示されています。
中でも目玉は《アマリリス》。東京の菊富士ホテルの応接間にかけられていたこの絵は、1945年ごろホテルが閉館するとともに所在がわからなくなっていました。2022年に情報がもたらされ、夢二郷土美術館のコレクションとして再び人々の目に触れることになったのです。約80年の時を経て新発見された本作品は関西初公開となります。
大きなアマリリスを女性の前に配置した大胆な構図は西洋美術の影響も感じられますが、女性の少し憂いを帯びた表情や細長い顔に夢二らしさを感じます。

《アマリリス》1919年頃 油彩、カンヴァス 夢二郷土美術館蔵

また夢二は1931年に『週刊朝日』の編集長とアメリカに船で渡り、その後ヨーロッパを周り1933年に帰国します。外遊中のアメリカで描いた油彩画の一つが《西海岸の裸婦》です。
憂いを含んだ表情は夢二が描く女性共通ですが、乳白色の肌の色やポーズ、そして女性の体の流れと平行するように描かれるストライプの背景などは、それまでの作風とは違った趣があります。

《西海岸の裸婦》1931―32年 油彩、カンヴァス 夢二郷土美術館蔵

展示はその他、雑誌『大大阪』や『婦人画報』『婦人グラフ』などの表紙や楽譜の表紙など、誰もが夢ニをイメージする作品が並びます。大正デモクラシーの中で女性が自己の解放に向けて力強く生きている様子が描かれています。着物から洋服へ、または和洋ミックスのモガスタイルに。ファッションとともに時代の変化を感じます。

《勇敢な恋人》雑誌「婦人グラフ」第1巻第4号挿絵 1924年 木版、紙 夢二郷土美術館蔵/ほか

展覧会を全て見終わると、待ち構えているグッズ売り場。
大正ロマンの「カワイイ!」がたくさん詰まったグッズに目移りしちゃいます。
生誕140年 YUMEJI展 大正浪漫と新しい世界
【日程】2025年1月18日(土)~3月16日(日)
【開館時間】火~金 10:00~20:00、月土日祝 10:00~18:00(入館は閉館30分前まで)
※会期中無休
【会場】あべのハルカス美術館(大阪市阿倍野区阿倍野筋1-1-43 あべのハルカス16階)
【料金】一般:1,700円/大高生:1,300円/中小生:500円
https://www.ktv.jp/event/yumeji2025/
miyoka
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