行ってみよか

万博・ハンガリー館「ことばの壁」を超える生歌に思わず涙

2025.06.17

万博・ハンガリー館「ことばの壁」を超える生歌に思わず涙
大阪・関西万博(主催:2025年日本国際博覧会協会)のハンガリーパビリオンでは、現地の方によるハンガリー民謡のライブパフォーマンスが毎日行なわれています。

Xでは「ハンガリーの民族音楽の生歌聴けてめちゃよかったよ」「絶対に行くべき」「個人的ベストパビリオン」と評価が高く、生歌唱を聴くためにハンガリー館を訪れる人も多いようです。何故か懐かしい気持ちになる旋律を聴いて、泣いてしまったという人も。

星の輝きのような照明とともに聴く神秘的な旋律

生歌が披露される没入型シアタースペースは、黒い空間と照明だけのシンプルな作り。中に入ると、白い民族衣装をまとった女性がスポットライトに照らされています。本来、ハンガリーの民族衣装は色づかいが派手とのことですが、この万博のために、特別につくられたものだそうです。
歌う曲は、イギリス出身の伝説的なロックバンド「クイーン」が1986年に、ハンガリー・ブダペストのライブで歌ったとされる「Tavaszi szél vizet áraszt(春の風は水を溢れさせる)」で、ハンガリーでは誰もが知っている民謡のひとつです。
歌詞の中で「virágom(ヴィラーゴム)」という言葉が何度も出てくるのですが、これは“私の花”という意味で、大切な人や恋人などに親しみを込めて呼ぶときの愛称でもあります。

ハンガリー民謡で感動を与える Marianna Balogh(マリアンナ・バログ)さん

ステキな歌声を披露してくれる歌手のひとりである、Marianna Balogh(マリアンナ・バログ)さんにお話を聞きました。

- 母国で歌手として活動されていますか?

現在、ブダペストのリスト音楽院(Franz Liszt Academy of Music)の4年生で、民族音楽と器楽を専攻しています。そのため、歌は私の人生の一部となっています。学業に加えて、ソロシンガーとして活動したり、さまざまな弦楽アンサンブルを率いたりしています。主にハンガリーの伝統的な民謡を歌っています。また、ピアノ用にアレンジした独自の民謡も弾いています。ハンガリーは、民謡の宝庫で、広大で尽きることがなく、常に新しい発見があります。

- 万博で歌うと知ったとき、どう思いましたか?

正直なところ、どんな感じになるのか想像もつきませんでした。このようなイベントでハンガリーを代表できることは、大変光栄なことです。そして、本当に好きなことを仕事にできるのは、何よりの特権です。ハンガリーの民謡は、自然の中の、素朴でシンプルなところや非常に古く、深いところから生まれています。3ヶ月間、美しいハンガリーの民謡を、これほどたくさんの方にお見せできることに感謝しています。すべてがとても刺激的で、まだ自分がここにいることを実感できていません。

- 日本は初めてですか?日本の印象は?

はい。ヨーロッパ以外の国には、行ったことがありません。日本は魅力的です。食の多様性、何千年もの歴史、洗練された文化と芸術、そしてたくさんの水。たくさんの水がある光景にはいつも圧倒されます。どこに行っても人々はオープンで、好奇心旺盛で、親切です。例えば、地下鉄で私が迷子になってもすぐに気づいてくれて声をかけてくれます。オフの時間をつかって、日本を探検するのが本当に楽しみです。

-「Tavaszi szél vizet áraszt」はどんな曲ですか?

モルダヴィア地方(ルーマニア、モルドバ共和国、ウクライナにまたがる地方)に住むハンガリー系のチャングー民族に伝わる民謡です。

この歌は愛とパートナー探しをテーマにしており、シンプルな自然の情景と感情を結びつけています。春の風と湧き上がる水は、再生と希望の自然の象徴です。他の多くのハンガリー民謡と同様に、シンプルなメロディーと頻繁に繰り返される歌詞の部分があり、覚えやすいです。

- 日本での休暇はどのように過ごしていますか?

これまでは、主にショッピングや身近な場所を知ることで休みを過ごしてきました。今後は、たくさん旅行して写真を撮りたいと思っています。日本でつくられた1984年製のアナログカメラを持っていて、フィルムも400本ほど持っています。それらを全部使い切らなければなりません。日本の友だちを作って、彼らの世界の本質を直接体験し、ハンガリーに招待したいと思っています。これからの3か月間は、学びを得て、成長していくような気がします。
miyoka
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