「行かないでどうする!」(LiLiCo) 究極の“女のマウントの取り合いドラマ”
2024.03.25
~今、なぜ『シカゴ』なのか。その魅力を解剖!~
ミュージカル『シカゴ』は、ブロードウェイのリバイバル版から27年を迎え、世界中で上演されている作品。1999年に日本初上陸し2003年には映画が公開、関西では2005年に初来阪後、日本版、宝塚OG版など上演を重ね、5年ぶりとなる来日公演です。
『シカゴ』は、これまでブロードウェイで歴代1位のロングラン記録を誇っていた『オペラ座の怪人』を抜き、史上第1位に。
「『シカゴ』がずっと上演されているのには理由があるんです」とLiLiCoさん。『シカゴ』の魅力を改めてお伝えしましょう。
「ストーリーがとってもわかりやすいこと。それと“オールザットジャズ”など番組のBGMなどで聴いたことのある名曲がいっぱいあって、生演奏。バラードから激しい曲までの流れとバランスがすごくいい。そしてフォッシーの迫力あるダンスと振付。ひとつの枠の中が刑務所や裁判の場になったりする演出もおもしろいし、エンディングの華やかさも。時代ならではの魅力的な衣装は、シンプルでありながらとってもセクシーで、フェロモンむんむん、色気に満ちてます(笑)」。LiLiCoさん、しっかり語ってくれました。
2022年来日公演より
©Tomoko Hidaki
物語の背景となる1920年代のシカゴは、禁酒法とマフィアの時代。『シカゴ』の原作は、なんと実話がベースになっているんですよ。犯罪すら娯楽になる退廃的な街・シカゴ。そこでは新たな事件が起こるたび、マスコミはこぞって取り上げ、新しいスターが誕生していた、そんな時代の物語です。
登場人物は3人に注目を。不倫していた夫と妹の射殺容疑で収監中の元ナイトクラブ・ダンサーのヴェルマ。愛人を撃ち殺した容疑で投獄された女優志願の人妻・ロキシー。そして、マスコミ操作に長け、裁判は名声を得るためのショービジネスで金儲けの手段と考えるらつ腕弁護士・ビリー。
自分の罪を正当化して出獄を願う女囚たちの中、ヴェルマはビリーの力でメディアの注目を集めています。「私も!」とビリーの協力で人気を手にするロキシー。黙ってはいないヴェルマ。その思惑と駆け引きが交錯し、名声と無罪獲得を巡って女2人の熾烈なマウント取り争いはエスカレート、法廷も巻き込んでスリリングに繰り広げられるのです。華やかで刺激的な悪の世界。スターを夢見て生きる女たちのそのしたたかさ、半端なし!
「こうしたドロドロの感じのストーリーって、関西のみなさん好きじゃないかなと思って、とても楽しみにしています(笑)。どんな職業の人でもどこか心の中で成功したいって願っていると思う。この舞台を観ると、やる気になると思いますよ。舞台ならではのみんなの汗や息遣い、その熱を是非観てほしい」とLiLiCoさん。
2022年来日公演より
©Tomoko Hidaki
らつ腕弁護士ビリー・フリン役に、ブロードウェイ・スターのマシュー・モリソン。今回『シカゴ』デビューです。海外ドラマ『glee/グリー』の先生役で世界的人気を得て、2017年からはコンサートで何度も来日、多くのファンを魅了しています。
彼に会いたい思いを募らせるLiLiCoさん。「敏腕弁護士は、やっぱりルックスが良くないと(笑)。映像も舞台も出来る方って実は意外といないんですよね。ルックスはもちろん、歌唱力は何も言うことはないです。オーラも素晴らしい。だから『シカゴ』デビューが観られることはすごくうれしいです。有名なミュージカルの作品にほぼ全部出ているので、緊張の『シカゴ』デビューではなく、安定感のある素晴らしいパフォーマンスが観られます。みなさん、マシュー・モリソンに惚れてください。私はもう惚れています(笑)」。
ヴェルマ・ケリー役は『シカゴ』の英国ツアーでヴェルマを演じたジャレンガ・スコット。ロキシー・ハート役は『シカゴ』でフェニックス劇場ほか複数のツアー公演でもロキシーを演じたサラ・ソータート。2人とも数多くのミュージカルに出演しています。
コンプライアンス、という言葉などなかった20年代のシカゴ。殺人、欲望、暴力、金儲け、裏切り、だまし合い…今ではあり得ないダーク要素が詰まった非日常の世界が、ミュージカルとなって展開します。スキャンダルはいつの時代もみんなの関心事。そのスキャンダルを逆手にとってスターダムにのし上がっていく2人の女性の姿は、セクシーできらびやかで猥雑でスタイリッシュ。窮屈な日常から開放される、おしゃれな大人テイストのミュージカルです。「パワフルな『シカゴ』を観た後は、身長が2センチぐらい伸びてると思います。かっこよく、いい姿勢で出ましょう、オリックス劇場を!」(LiLiCo)
ブロードウェイミュージカル「シカゴ」 来日公演 2024 ”CHICAGO” THE MUSICAL
【日程】2024年4月18日(木) ~21日(日)
【会場】オリックス劇場
公演詳細 https://www.ktv.jp/event/chicago/
演劇ライター・高橋晴代
兵庫県在住。多くの雑誌にエンターテインメントを紹介して40年。現在ぴあ他で執筆中。
ミュージカル『シカゴ』観劇歴:1997年ブロードウェイ公演、2005年以降の来日版・日本版の関西公演
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