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時空を超えた駆け落ちをパトロールする吉岡里帆に、永山瑛太が「カワイイ……」とデレデレ

2023.10.18

時空を超えた駆け落ちをパトロールする吉岡里帆に、永山瑛太が「カワイイ……」とデレデレ

『時をかけるな、恋人たち』第2話レビュー

第1話ラストで「僕は再び君に会うために、この時代へやって来た」と言って、廻(吉岡里帆)を抱きしめた未来人の翔(永山瑛太)。
第2話は、気になっていたその続きから始まります! タイムパトロール中に大学生の廻と恋に落ちたものの、過去に影響を与えることは規律違反。そのため、翔は廻の記憶を消したことを打ち明けるのでした。当時の記憶がよみがえって感極まる翔をよそに、まったく身に覚えのない廻。「公私混同じゃない?」と軽くあしらいます。

ここで気になったのは、なぜ翔の記憶は消えていないのか──。未来人と過去人が恋愛したら、両者の記憶はパトロール基地にあるフォゲッターによって消されるはず。前回のエピソードで繰り広げられたルールから、なぜ翔は逸脱しているんでしょうね? この理由、今後描かれる“恋の超展開”に関係してくるのでしょうか。めっちゃ気になる!
さて、今回の違法トラベラーは23世紀からやって来た家出少年・古市ヒロキ(南出凌嘉)。翔たちの仲間で、タイムパトロール少年課のリリリー(夏子)によれば、ヒロキの両親はAIに相性が悪いと判定されたにも関わらず結婚。その後、家庭環境が悪化して息子のヒロキにも影響を及ぼしたのだそう。恋愛や結婚生活の相性をAIに判定してもらう世界って……。個人的になんだかイヤだなぁ。抵抗感を示す廻に共感していると、翔とリリリーはAIによる相性スコアが抜群によく、婚約者同士である事実がもたらされました。マジか! 慌てて弁解する翔をよそに、廻に敵意むき出しのリリリー。時空を超えた三角関係、勃発ですか?
廻と翔はヒロキの張り込みを開始。すると、ヒロキは深い仲になった担任教師の西キョウカ(鳴海唯)と一緒に暮らしていることが判明します。駆け落ちによる違法タイムトラベルを悪びれる様子もなくあっさり認めたヒロキに対して、大人としての責任を痛感するキョウカは「彼を23世紀へ送還してください」とひと言。納得できないヒロキは、過去に暮らした痕跡を消そうとするキョウカの前に再び現れるんですよね。リリリーに、キョウカとはAIの相性スコアが悪いと煽られても「関係ない!」と強く遮って。

それでも「あなたは若く、これからいろんな出会いがある中で本当の恋をするはず」とヒロキをたしなめ、別れようとするキョウカ。その様子を見かねた翔は思わず「年齢や立場を超えて、やっと出会えた2人じゃないですか!」「本気の恋なら2人で生きていきましょうよ!」と職務を超えた提案をする。これきっと、生徒と教師による“禁断の恋”に、かつての自分と廻を重ねたからこそ飛び出た本音ですよね。翔の真剣な眼差しは、間違いなく第2話のハイライトと言えそう。
そう感じるのは、翔がいつもトボけたおかしみを醸しているから。パトロール制服姿に合わせているのはビーチサンダルだし、たまにカタコト(英語のみルー大柴的に流暢)になるし。第2話では、チョコミントのアイスクリームで両頬を汚してしまった廻を見て「ゴメ〜ン、デモカワイイ……」とデレデレに。「リリリーって同じ文字が3連続する名前ってどうなの?」といら立つ廻に対して、「樹木希林、おのののかだっているじゃん」と真顔でボケ返す様には声を出して笑ってしまいました。彼が普段シュールであればあるほど、廻や違法タイムトラベラーにかける真摯(しんし)な言葉とのギャップに魅せられるんだろうな。
思えば、永山さんはシリアスもコミカルも両方上手な役者さんですよね。今回の『時をかけるな、恋人たち』で演じている翔のように、非現実的なキャラクターであっても「実在しているのでは」と思わせるほどの説得力と愛嬌(あいきょう)がにじみ出る。それはドラマ『最高の離婚』(2013年)でも感じていました。神経質で理屈っぽく、デリカシーのない発言で妻を怒らせる夫。でもなぜか憎めない、という人物像に毎週ひきつけられていたのを思い出します。初回放送日に行われた会見で、ご本人は翔について「今まで自分が俳優をやってきた中でいちばん難しかった役」とおっしゃったそうですが、廻との“恋の超展開”をチャーミングに展開してくれること請け合いです!

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文:岡山朋代
編集・ライター。ぴあ、朝日新聞社「好書好日」など主にエンタメ系メディアで取材・執筆を手がける
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