齊藤京子×水野美紀 W主演『娘の命を奪ったヤツを殺すのは罪ですか?』第11話 レビュー
ママ友いじめによって娘の優奈(大友花恋)を失い、孫の圭太が意識不明の重体となった55歳の母親・玲子(水野美紀)が、闇医者の成瀬(白岩瑠姫)の手による全身整形で25歳の新米ママ・レイコ(齊藤京子)に生まれ変わり、ママ友たちに復讐(ふくしゅう)してゆくーー。ぶっ飛んだストーリーと俳優陣の渾身(こんしん)の演技に中毒者続出中のドラマ『娘の命を奪ったヤツを殺すのは罪ですか?』(火曜よる11時~カンテレ・フジテレビ系全国ネット)。
12月9日(火)放送の第10話では、優奈の夫・明彦(内藤秀一郎)が優奈をいじめたボスママ沙織(新川優愛)と親密な関係にあったことが発覚。明彦の裏切りに憤ったレイコは明彦を監禁。ナイフを振り下ろそうとした瞬間、「おばあちゃん、やめて!」という声が聞こえ、直後に病院から圭太が意識を取り戻したことを告げる電話が入るーー。
▶愛しい孫に会うこともできない「失ったものの大きさ」にがく然
明彦を解放した後、安堵(あんど)の涙を流し、元気になった孫を一目見たいと病院に駆けつける玲子=レイコ。明彦からも「圭太に会っていただけませんか」と連絡を受けるが、別人となった今の姿で会えるわけもなく、影からこっそり見守ることしかできない。
昔の自分には二度と戻れない、愛しい孫を抱きしめることもできない。復讐のために自分を殺した玲子=レイコの覚悟を知っているからこそ、彼女が失ったものの大きさにがく然とせずにいられない!
▶「本当は55歳のおばさん!」真のモンスターは自分だった…!?
さらに第11話の最大の見せ場となるのが、玲子=レイコの正体を突き止めた沙織が幼稚園でそれを暴露するシーンだ。
美しい成瀬に興味を抱いた沙織は、成瀬とレイコの関係を探るうちに2人の秘密に気付き、レイコの正体が亡くなった優奈の母・玲子であることを突き止める。
それを暴露する沙織の台詞がまた強烈だ。登園してきた玲子=レイコに「あなた本当は55歳のおばさんなんでしょ。全身整形で見た目年齢、30歳も若返ったのよね」と唐突に言い放ち、どよめくママたちを「新堂沙織がウソをつくわけないでしょ。さあ、近くで見てみなさい!」と扇動する。
身も蓋もないというか、これじゃあ、玲子=レイコが復讐のために全身整形をしたというシリアスさが全く伝わらないどころか、美容整形のステマかよ!と、ツッコミどころ満載。ママたちの「えー、どこでやったの?」「いくらかかったの?」という間抜けな歓声も相まって、なんとも本ドラマらしいカオスな破壊力あふれるシーンだ。
▶亡き娘の秘密を知った玲子=レイコのうつろな表情の演技がすごい!
ついに正体を暴かれ、「私たちを逆恨みするなんて、とんだモンスターね。モンスターはあなたよ、あなたのせいで優奈は死んだのよ」という沙織の言葉に言い返す気力もなく打ちのめされる玲子=レイコ。
そんなレイコをあざ笑うように、さらに沙織は玲子=レイコにLINEで“ある動画”を送りつける。これまで本ドラマをウォッチしてきた人なら、なるほど、あの設定はこのためだったのか…と腑(ふ)に落ちると同時にそもそもは沙織が仕掛けた罠(わな)なのに、コレはないやろ…と絶句せずにいられない!もし自分の娘のこんな動画を見てしまったら…。想像するだけで、子を持つ親でなくとも胸が張り裂けそうな展開だ。
この際のレイコの姿を長回しで捉えたショットがまた、なんとも印象深い。いぶかしがりつつも動画を再生した瞬間、息を呑(の)み、驚き、怒り、悲しみ、絶望がない交ぜになった、うつろな表情を浮かべたままフリーズする。決して大げさではない、ほとんど無表情にも見える玲子=レイコの表情の雄弁さといったら…。齊藤京子のキャリアの中でも一世一代の名演技ではないだろうか。
復讐を遂げる前にすべて暴露され、偽りの人生を生きる意味を失った玲子=レイコ。一番罪深いのは沙織ではなく、娘が地獄のような苦しみに喘(あえ)いでいたことに気付けなかった自分だったと絶望した彼女がたどる運命とは!?
ついにクライマックスを迎えた『娘の命』。ヘビーな展開を、しかと受け止めるべく、背筋を正してウォッチしたい。
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