レイコ(齊藤京子)と玲子(水野美紀)の復讐劇がクライマックスへ、ボスママ・沙織(新川優愛)の末路は

2025.12.23

レイコ(齊藤京子)と玲子(水野美紀)の復讐劇がクライマックスへ、ボスママ・沙織(新川優愛)の末路は

齊藤京子×水野美紀 W主演『娘の命を奪ったヤツを殺すのは罪ですか?』第12話 レビュー

ママ友いじめによって娘の優奈(大友花恋)を失った55歳の母親・玲子(水野美紀)が、闇の外科医の成瀬(白岩瑠姫)の手による全身整形で25歳の新米ママ・レイコ(齊藤京子)に生まれ変わり、ママ友たちに復讐(ふくしゅう)してゆく——。ぶっ飛んだストーリーと俳優陣の渾身(こんしん)の演技に中毒者続出中のドラマ『娘の命を奪ったヤツを殺すのは罪ですか?』(火曜よる11時~カンテレ・フジテレビ系全国ネット)。
火ドラ★イレブン『娘の命を奪ったヤツを殺すのは罪ですか?』第11話 新川優愛

火ドラ★イレブン『娘の命を奪ったヤツを殺すのは罪ですか?』第11話 新川優愛

第11話のラストでは、優奈がボスママの新堂沙織(新川優愛)の策略にはめられ、沙織の夫で国会議員の幹久(竹財輝之助)の息がかかった不動産会社社長・影山(姜暢雄)との望まない関係を強いられていたことが発覚。玲子=レイコは「一番罪深いのは…あなたの地獄のような苦しみに気づかなかったお母さん」と自身を責め、息子として育てている空(佐藤大空)を連れて姿を消してしまう様子が描かれた。

母の捨て身の復讐劇もよもやここまで!? という状況で迎えた12月23日(火)放送の最終話。いったいどうなる!? とヤキモキしている視聴者も多いだろう。
火ドラ★イレブン『娘の命を奪ったヤツを殺すのは罪ですか?』第12話 齊藤京子

火ドラ★イレブン『娘の命を奪ったヤツを殺すのは罪ですか?』第12話 齊藤京子

ご安心あれ。一度は死を考えるものの、ここで復讐を止めるわけにはいかないと思い留まった玲子=レイコのもとに、優奈の息子・圭太(日影琉叶)の失われていた記憶が戻ったという知らせが入る。

そこで優奈の死の意外すぎる真相が明らかになり、玲子=レイコの復讐劇は、単なる「過去への後悔」から「もう罪のない誰かを苦しめることのないように」という未来への祈りへとその本質を変え、ふたたび動き始める。

▶一瞬たりとも目が離せない「 破壊力抜群」の復讐ボム

そのクライマックスとなるのが、首相指名選挙の街頭演説で新堂夫婦がそろって登壇するシーン。沙織がモンスターと化してまで手に入れようとした、最高の富と名誉がかなう寸前で、まさかの人物がまさかの方法で復讐の爆弾を落とし、新堂夫妻に”社会的死刑”を与える。この最高にスリリングで軽妙な怒涛(どとう)の展開には、本ドラマを見守ってきた全ての人が沙織の決まり文句「アンニョーン! 最高!!」と叫びたくなるはず。復讐劇のカタルシス(浄化)、ここに極まり!といった必見のシーンだ。
火ドラ★イレブン『娘の命を奪ったヤツを殺すのは罪ですか?』第12話 竹財輝之助、新川優愛

火ドラ★イレブン『娘の命を奪ったヤツを殺すのは罪ですか?』第12話 竹財輝之助、新川優愛

▶「憐れむべき犠牲者」 優奈の気高き姿が胸に迫る!

ちなみに本ドラマ中で繰り返し登場する「復讐は冷やして食べるのがいちばん美味しい」という玲子=レイコのセリフは、「復讐は冷めた料理として提供されるのが一番よい」というヨーロッパの古いことわざにちなんだもの。

そのことわざ通り、玲子=レイコは時間をかけて周到に復讐を計画するが、沙織の予想を上回るモンスターっぷりに翻弄され、怒りのあまり“熱い料理”を提供。自らも復讐の炎に焼き尽くされかける。  
火ドラ★イレブン『娘の命を奪ったヤツを殺すのは罪ですか?』第11話 水野美紀

火ドラ★イレブン『娘の命を奪ったヤツを殺すのは罪ですか?』第11話 水野美紀

そんな危機を回避した玲子=レイコが、沙織と対峙(たいじ)するシーンも必見だ。社会的死刑を与えられ、富も名誉も失くしてなお、「こんなことをしても優奈は娘は生き返らない」と言い放つ沙織に、玲子=レイコは死の直前の優奈の姿を伝える。

 富と名声、ママ友グループでのポジション、自身と夫の操。たとえ大切なものをすべてを奪ったとしても、絶対に奪えないものがある。「憐(あわ)れむべき犠牲者」として描かれてきた優奈のイメージが鮮やかに塗り替えられ、それとは対照的に沙織の惨めさと愚かさが露呈する。

神の審判ともいうべき荘厳な気高さと切なさを漂わせるシーンには、同じくヨーロッパのことわざである「優雅な生活が最大の復讐である」という言葉が脳裏によぎった。

▶「復讐」と「幸せ」を問うラストシーンを見届けるべし

 「ママ友いじめ」や「全身整形」といった扇情的なうたい文句のせいか、ドロドロ復讐劇的な側面がクローズアップされていたこのドラマ。しかし実は「理不尽な現実にぶち当たったとき、人はそれとどう向き合うべきか?」「復讐とは無意味なのか?」「真の復讐とは何なのか?」といった、人類共通の大きなテーマに対して一つ答えを示した、骨太なヒューマンドラマでもあったーーと断言しておきたい。

怒涛のジェットコースター的展開を経た末の予測不可能なエンディング。各登場人物の後日談も実に味わい深く、最後まで見続けてきてよかった!と深い満足感に浸れるはずだ。
火ドラ★イレブン『娘の命を奪ったヤツを殺すのは罪ですか?』第12話 白岩瑠姫(JO1)

火ドラ★イレブン『娘の命を奪ったヤツを殺すのは罪ですか?』第12話 白岩瑠姫(JO1)

文:井口啓子
miyoka
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