2026年1月6日(火)よる11時よりカンテレ・フジテレビ系“火アニバル!!”枠ほかで放送開始となったTVアニメ『真夜中ハートチューン』。
第1話は、財閥の御曹司で「完璧を約束された男」を自負する高校生・山吹有栖が、“声”だけを手がかりに、かつて毎晩聴いていたラジオ『真夜中ハートチューン』の配信者“アポロ”を探す物語だ。
女子校と男子校が合併して共学になった楓林高校で、有栖は校内放送から聞き覚えのある声を拾い、放送室で4人の少女と出会う。
完璧主義な主人公、その“面倒くささ”が物語を加速させる
第1話がまず面白いのは、有栖の“完璧主義”が、ただの設定ではなく行動として早々に暴れ出すところだ。
共学化の説明中に教師が噛(か)んだ瞬間、彼は即座に指摘し、教壇の前に立ってしまう。
「だとしたらその挨拶は完璧ではない。やり直しをするべきです」。正論ではあるが、空気を読む発想がない。しかも本人は悪気がない。このズレが、初回のテンポを一気に作っていた。
さらに彼が口にする「完璧に必要な残り1%」という言い回しも効いている。物事を100点にそろえたい気質が、妙に具体的で、妙に面倒くさい。
その面倒くささが、女子生徒に「“愛してる”と言ってくれ」と頼む場面へつながっていくのだから、初手から視聴者の心をつかむのが早い。
ただ、この突飛さが“ギャグで終わらない”のが第1話の気持ちよさだ。
「愛してる」という言葉は、有栖が中学時代に毎晩聴いていた深夜配信ラジオ『真夜中ハートチューン』の終わりに、配信者アポロが必ず添えていたフレーズだった。毎日深夜0時、他愛のない会話をして、最後に「愛してるよ」で締める。恋愛の告白というより、夜を区切る合図のように積み重なっていた言葉だからこそ、有栖の中で特別な記憶になっていることが分かる。
ところがアポロは、中学1年の終わりに突然配信をやめてしまった。顔も本名も知らない。残された手がかりは「声」だけ。その一点が、今の有栖を動かしている。
声が聞こえた瞬間、世界が変わる。個性豊かな4人のヒロイン
ここから第1話は、声が聞こえた瞬間に世界が切り替わる見せ方が上手い。食堂で昼食を取っていた有栖の耳に、校内放送で聞き覚えのある声が飛び込む。彼は迷わず放送部へ駆け込む。視聴者も同じ速度で、「いまの声は何だ?」と引っ張られる。導入回として、最も分かりやすいフックの作り方だ。
放送室で出会うのが、声に関わる仕事を夢見る4人の少女たち。歌手を目指す井ノ華六花。声優志望の日芽川寧々。VTuberとして活動する霧乃イコ。アナウンサー志望の雨月しのぶだ。
4人のキャラクター付けも、初回から声のニュアンスとして入ってくるのが魅力だ。井ノ華は明るくて学内で人気の生徒だが、小悪魔な一面もある。雨月はアナウンサー志望なのに噛み癖があり、その隙が男子生徒に好かれている。日芽川はコスプレイヤーとしても活動し、クラスの中心人物としての強さを持つ。霧乃はオタク層から支持を集め、一人称の「ボク」も含めてキャラ性が強い。4人とも声を武器にするタイプだと、説明ではなくテンポで飲み込ませてくる。
主人公の強引な言動と、過去の“誓い”
そして有栖が、放送部の空気を乱していく。「この中にアポロがいたら手を挙げてくれ」と直球で問いただすが、4人は誰も心当たりがない。強引な侵入が、きちんと拒絶されて追い出される。このちゃんと嫌がられる段取りがあるから、有栖の危うさも笑いも、どちらも強く残る。
それでも有栖は引かない。放送部が古い機材を使っていることに目をつけ、「入部させてくれるなら新機材を提供する」と交渉を持ちかける。財力とロジックを、目的のために躊躇(ちゅうちょ)なく使う。御曹司らしい説得力と、やり方の強引さが同居していて、有栖という主人公の厄介さがさらに際立っていた。
終盤、有栖がかつてアポロのプロになる夢を支えると誓ったことが示されることで、彼の行動に一本の芯が通る。第1話は、完璧主義の突拍子もない言動で笑わせながら、深夜ラジオの記憶で胸をつかみ、放送部の4人の“声の違い”で一気に画面をにぎやかにする。その手つきが丁寧で、分かりやすい。
初回から「声」をテーマにした作品としての気持ちよさが、しっかり鳴っていた。
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