一樹(安田顕)の母・いずみは“裏回し役”?「ビオラが枯れた描写」はなぜ必要だったのか?【ドラマ『夫に間違いありません』】

一樹(安田顕)の母・いずみは“裏回し役”?「ビオラが枯れた描写」はなぜ必要だったのか?【ドラマ『夫に間違いありません』】

松下奈緒主演『夫に間違いありません』第6話レビュー

追い詰められる側と追い詰める側の心情が絶妙に絡み合うドラマ『夫に間違いありません』(毎週月曜よる10時~放送/カンテレ・フジテレビ系全国ネット)。その第6話が2月9日に放送されました。
遺体を行方不明の夫・一樹(安田顕)と誤認してしまい、生命保険金を受け取ってしまった妻・朝比聖子(松下奈緒)。
第5話では、死を偽装して生活しているだけでなく、「久留川美人キャバ嬢殺害事件」まで犯した一樹に、聖子の弟である光聖(中村海人)が絶縁を突きつけます。一方で、銀行員の光聖は、婚約者・まゆ(松井玲奈)の母親で国会議員の九条ゆり(余貴美子)に対する不正融資について、週刊誌記者・天童弥生(宮沢氷魚)に追及されることに。不正融資の件が表沙汰になると、まゆとお腹にいる子どもを守れなくなる。そう考えた光聖は、天童にある提案を持ちかけます。
『夫に間違いありません』第6話 宮沢氷魚、中村海人

『夫に間違いありません』第6話 宮沢氷魚、中村海人

そして第6話では、光聖が天童に、不正融資の記事を掲載しないことを条件に、「久留川美人キャバ嬢殺害事件」の犯人が一樹であること、そして保険金が絡んでいることもあって「死んだまま」にしていることなどを暴露します。その後、光聖はこの件を「秘密にする」という聖子との約束を破ったことへの罪悪感に苦悩します。
『夫に間違いありません』第6話 中村海人

『夫に間違いありません』第6話 中村海人

なぜ、ビオラが枯れた描写が必要だったのか?

今回は、何気ない描写でありながら見逃せない場面の意味について考察したいと思います。かなりネタバレに踏み込んだ内容になりますので、第6話未鑑賞の方はご覧になってからお読みください。また、すでに鑑賞済みの方はこの記事を読んでから、もう一度観ると良いかもしれません。

まず着目したのが第6話中盤、聖子が朝食の準備をしている場面です。聖子は、義母(一樹の実の母)・いずみ(朝加真由美)に「お義母さん、ご飯できましたよ」と呼びかけます。そうするといずみは「聖子さん、なにか植えたいものある? ビオラのお花が枯れちゃったのよ。代わりに別のものを育てようと思って」と言います。

そこで筆者がふと気になったことがあります。それは「なぜ、ビオラが枯れた描写が必要なのか」ということです。

そこで調べてみたのですが、ビオラの花言葉は「誠実」「信頼」「想い」なのだそう。それが枯れたということは「誠実さや信頼が失われた」ということ。つまり「裏切り」を示唆しているとも捉えられるのではないでしょうか。

実際に第6話では、光聖が婚約者・まゆ(松井玲奈)とお腹にいる子どもを守るために、聖子と一樹の秘密を天童に暴露します。秘密を一緒に背負うと決意していた光聖にとって、それは聖子に対する「裏切り」となり、彼は罪悪感を背負います。
『夫に間違いありません』第6話 松井玲奈、中村海人

『夫に間違いありません』第6話 松井玲奈、中村海人

また天童は、不正融資の記事掲載の取りやめと引き換えに、聖子・一樹の件を手に入れたはずでしたが、結局は不正融資の情報を報じます。その上で、聖子・一樹の件も取材を進めることに。そんな天童のやり方もまた、光聖視点では「裏切り」と取れるでしょうし、一方でそれが記者としての天童なりの「誠実さ」にも読み取れます。
『夫に間違いありません』第6話 宮沢氷魚

『夫に間違いありません』第6話 宮沢氷魚

さらにまゆも、母親のことで光聖を巻き込みたくないと考え、自分が九条ゆりの不正融資の件をマスコミにリークしたことを明かします。ただ、そのことに気づいていた九条ゆりはこう言います。「お母さんを裏切るの?」と。

こうやって見ると、ビオラが枯れた描写がいかに重要だったのか、よく分かるのではないでしょうか?

ちなみに第6話の最後には、そんなビオラの代わりに「家庭円満の象徴」というオリーブの苗木を聖子が買って帰ろうとします。しかしそれもまた……。
『夫に間違いありません』第6話 松下奈緒

『夫に間違いありません』第6話 松下奈緒

水面に波紋が広がる場面がはさみ込まれるワケ

もう一つ触れておきたいのが、いずみが葛原紗春(桜井ユキ)に対して、一樹のことを話す場面。

体調を崩している聖子の話になり、いずみが「こんなときこそ、一樹が帰ってきてくれればいいんだけど」とつぶやきます。紗春が「お婆ちゃん、一樹さんは亡くなったんですよ?」と諭すと、「そんなわけないじゃない。私、見たんだから」と一樹を目撃したときの状況を説明。そこで、水面に波紋が広がる場面がはさみ込まれるのです。
『夫に間違いありません』第6話 桜井ユキ

『夫に間違いありません』第6話 桜井ユキ

この場面があるのと、ないのとでは物語の印象が大きく変わるでしょう。まさに、小さな水滴のようないずみの一言が、いろんな影響を及ぼすことを暗示しているように映ります。一樹と同じ時期に夫が行方不明になった紗春は実際に、いずみが語った一樹の特徴を聞いて、疑念を抱くような表情を浮かべるのです。そしてその後、出来事がどんどん動いていくので、波紋の描写はその予知的な意味も含まれています。

また、この第6話を観ると、いずみが“裏回し役”のように、物語を静かに動かしている存在に思えてなりません。第1話から「何かありそうだな」と感じていたのですが、第6話でそれが確信へと近づいた気がします。第7話以降も、いずみの動向に注目したいと思います。
文:田辺ユウキ
芸能ライター。大阪を拠点に全国のメディアへ寄稿。お笑い、音楽、映画、舞台など芸能全般の取材や分析の記事を執筆している。
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