「今日で福(桜田ひより)と別れてもらう」と告げる父の本音
2024.08.27
今回はタイトルの前に突然メッセージが現れました。「私、この子にも言いたい。生まれてきてくれて、ありがとうって。」というもの。それは、福が声に出さずに飲み込んだ言葉でした。この言葉が心に浮かんだ福は、きっともう親になる一歩を踏み出しているんじゃないかな、と感じました。
その後、福が学校から帰宅すると、リビングには慶の姿が。さらに宝と直実(美村里江)も呼び出された模様です。関係者が全員そろった家族会議で、どんな修羅場になるのか、慶は激昂するのでは、とハラハラしながら見ていましたが、予想外に慶は「福は今、どうしたい?」と静かに福の気持ちを聞きます。前日に宝からも同じことを聞かれていた福は、覚悟を決めていたのか「産みたい」と答えました。それに対して意外にも「福はそういう子だ」という慶。もうなんだか、慶の言葉のすべてが予想外でした。
あまりに一方的なもの言いですが、慶が言っていることはすべてが間違っているわけではなく、娘を思う父の1つの現実的な意見だと感じました。「君たちはいまお花畑にいる」という言い方も好ましくないけれど、家族を持って、妊娠や出産や子育てを経験して、初めて知る現実の厳しさや壁というものは、たしかにあると思うからです。
慶が宝のことを知りもせずに「彼は無傷で逃げられる」なんて言うのも、すごくよくないです。だけど一方で、妊娠した女性から逃げてしまう男性がいることも事実。親として娘に傷ついてほしくない気持ちはわかります。そんな慶に対して「宝は絶対に逃げません」と反論する直実の心情を思うと、苦しい気持ちになります。直実は泣きながら川上家を出ていき、宝はそれを追いかけていきました。リビングに残った福の向こう側の壁には、幸と福の幼いころの写真が飾られているのが見えます。笑顔の家族写真から、福たちがとても大事に育てられてきたことが伝わってきました。
福の妊娠によって、手放さなくてはいけない未来や変わってしまう現状に、今はみんながつらい思いで涙を流しているけれど、でも冒頭の福のメッセージのように、みんなが生まれてくる命に「ありがとう」と言える未来がくると信じたいです。
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文:早川奈緒子
川崎市在住のフリーランスライター。10代の子ども3人の母。「たまひよ」など主に子育て系メディアで取材・ライティングを行う。
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