行ってみよか

天才音楽家・坂本龍一を作った「プロセス」、その一端を知る企画展が大阪で開幕

2025.08.29

天才音楽家・坂本龍一を作った「プロセス」、その一端を知る企画展が大阪で開幕
「坂本龍一は不世出の天才だ」と、彼を凡人とは違う宇宙人のように見ている人にこそ、ぜひ観ていただきたい企画があります。2025年8月30日(土)から、JR大阪駅すぐの「うめきた公園」にあるクリエイティブスペース「VS.」(大阪市北区)でおこなわれる『sakamotocommon OSAKA 1970/2025/大阪/坂本龍一』です。

【オススメ動画】■よ~いドン!【出演:円広志ほか】

◆日本音楽史でひときわ輝く、「教授」の功績。

東京藝術大在学中に、プロ音楽家としてのキャリアをスタートした坂本龍一。以降、YMOの革新的音楽におけるカルチャーアイコン化、映画「ラストエンペラー」で日本人初となる米アカデミー賞・作曲賞の受賞、ダウンタウンによる音楽ユニット・GEISHA GIRLSのプロデュース、CMソングとして人気を得た『energy flow』による空前の癒やしブーム、などなど。大ネタだけでも、その功績は枚挙に暇がありません。
会場のオリジナルグッズ売り場より、ポストカード『ニューバランスと坂本龍一』(220円)

会場のオリジナルグッズ売り場より、ポストカード『ニューバランスと坂本龍一』(220円)

生前からレジェンドとして数々の音楽家に影響を与え、「教授」「世界のサカモト」と称されてきた坂本龍一。若くして音楽的成功を収めてきましたが、まるで雨後のタケノコの如く、誰も真似できない音楽が勝手に生まれてきたわけではありません。天才ではあるけれども、誰よりも、誰よりも試行錯誤を繰り返してきました。

◆作品、ではなく「プロセス」の展示。

タイトルにもある「sakamotocommon」(サカモトコモン)」とは、音楽家・坂本龍一が遺した知的・物質的遺産を共有化する試みで、未来のクリエイターのために利活用することを目指しているといいます。彼自身が、完成した作品よりも「プロセスが面白い」と語るように、音楽的な煌(きら)めきや発見は試行錯誤から誕生してきました。
『sakamotocommon OSAKA 1970/2025/大阪/坂本龍一』ポスタービジュアル

『sakamotocommon OSAKA 1970/2025/大阪/坂本龍一』ポスタービジュアル

この企画展では、彼がなにかをインプットして、それがどのように思考を巡り、ふつふつと悩み、そして、なにを音楽作品としてアウトプットしてきたか。その回路の一端を知ることができます。特にこの大阪では、創作活動に深い影響を与えた1970年の『大阪万博』との関わり合いもフィーチャー、34万人が訪れた展覧会『坂本龍一|音を視る 時を聴く』(東京都現代美術館)と異なる内容となっています。

◆後世に残したい「アーカイブ」共有の場。

大阪で初めて開催されるこの企画展では、『大阪万博』で展示されたサウンドアーティストのフランソワ・バシェによる音響彫刻(音を奏でるオブジェ)と、修復チームが坂本のために制作した新たな音響彫刻の展示のほか、坂本が愛用したグランドピアノで過去の演奏データを再生するプログラム、完全予約制で運用する文化資材共有のための読書空間「坂本図書」の再現、周辺をスピーカーで巡らせた立体的な音場体験「360 Reality Audio」などを展示。
ありがちな作品羅列では見えてこない、まさに完成するまでの「プロセス」に迫るコーナー展開となっており、坂本龍一の音楽活動が楽譜と楽器演奏による音楽作品から、音そのものへの追求、環境による受容の変化、それが織りなす影響などに次第に比重が移っていくのが見てとれて、とても興味深い。まさに開放された坂本龍一アーカイブの共有の場、といった趣となっています。

◆限定グッズや関連イベントにも注目。

会場では、バシェ音響彫刻の音源を収録したLP盤『Ryuichi Sakamoto: Playing the Baschet』(数量限定、会場限定)のほか、吉田カバンの「LIFE STYLE」をコンセプトにしたブランド「POTR」とのコラボアイテム、坂本龍一にまつわる数々のグッズなどを販売。また、灰野敬二やジム・オルーク、石橋英子、蓮沼執太、小山田圭吾ら、坂本龍一の音楽に共鳴するアーティストらによる関連イベントも予定されています(詳細は公式サイトにて)。
期間は2025年8月30日(土)〜9月27日(土)、時間は10時〜20時(最終入場19時30分)。入場は事前オンライン予約制で、 日時指定枠に空きがある場合は、当日窓口にてチケット購入可。一般2,200円(当日2,500円)、18歳以下1,100円(当日同額)、大学生・専門学校生1,800円(当日2,000円)、障がい者割引1,100円(同伴者1名まで同額)、未就学児無料(予約不要)。

『sakamotocommon OSAKA 1970/2025/大阪/坂本龍一』公式サイト
https://vsvs.jp/exhibitions/sakamotocommon-osaka/

取材・文:服部崇(di;hype)
関西在住のウェブディレクター&編集者。音楽や映画のインタビューやイベントの企画立案なども。
miyoka
0