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大阪万博つながりで人気再燃「太陽の塔」、重要文化財指定へ

2025.06.26

大阪万博つながりで人気再燃「太陽の塔」、重要文化財指定へ
大阪・関西万博(大阪市・夢洲)が開幕して早3か月を迎えようとしています。
会場を間違って千里の万博記念公園に行っちゃう方も…なんていうニュースもありました。
今は大阪・関西万博とセットで千里の万博記念公園で太陽の塔を見学する、というツアーも人気だとか。

太陽の塔は、芸術家の岡本太郎氏がデザインし、1970年に開催された日本万国博覧会のシンボルゾーンにテーマ館として建てられました。
当時は建築家・丹下健三氏が設計した「お祭り広場」の大屋根を突き破るような形で太陽の塔は建てられ、地下の展示空間から大屋根の空中展示を来場者が観覧するパビリオンでした。塔内の中心部の基底から天に向かって伸びていく「生命の樹」を見ながら来場者は上部へ、太陽の塔の右腕に設置されていたエスカレーターに乗って大屋根の空中展示まで移動していたそうです。
そしてなんといっても特徴的なのが「顔」。塔の頂部には未来を象徴する「黄金の顔」、正面には現在を象徴する「太陽の顔」、背面には過去を象徴する「黒い太陽」という3つの顔を持っています。
当時は地下の展示空間に第4の顔「地底の太陽」が展示されていたのですが、大阪万博閉幕後に行方が分からなくなり、いまも発見に至っていません。
閉幕後はほぼすべてのパビリオンが撤去され、太陽の塔も取り壊すはずでしたが、1975年には永久保存が決定されます。
しかし、その後は事実上、原則非公開としていたため内部を見ることはできませんでした。多くの市民からの声にこたえる形で耐震補強や内部の補修など施し、2018年には常設の展示施設として一般公開されることになったのです。
あわせて行方不明の「地底の太陽」も復元され、当時一緒に設置されていた世界の仮面や神像も今は展示されています。
復元された「地底の太陽」

復元された「地底の太陽」

2025年5月には重要文化財に指定するよう答申がありました。岡本太郎氏によるデザインを忠実に具現化するため、一流の学者や設計者、施工者が当時最先端の技術を結集し、巨大かつ特異な形状の構造物を実現したこと。高度経済成長期の日本を象徴する大阪万博の記念碑となる貴重なレガシーであることから、技術的に優秀なもの、歴史的価値の高いものとして評価されたことが理由です。
太陽の塔の内部、「生命の樹」

太陽の塔の内部、「生命の樹」

大阪・関西万博の年に太陽の塔の重要文化財指定の答申。
そのことを受けて、大阪府日本万国博覧会記念公園事務所の担当者は「次の50年、100年という形をつないでいくという中継点だと考えています。さらに未来につないでいく責任感を感じています。
55年前に太陽の塔が建てられて、もともとは壊される前提で作られたものが、多くの方々からの要望があり残ることになって…。その熱い思いが繋がり今回の重要文化財指定の答申につながったと思います。
大阪に住んでいたら、大阪には太陽の塔が当然あるものや、みたいな、大阪の象徴という意識をみなさん持っておられると思うんですけれども、重要文化財指定の答申を受けて、改めてその存在を再認識できているのではないかと思います」と語ります。
太陽の塔(千里万博公園)2025年6月

太陽の塔(千里万博公園)2025年6月

55年の時を経て、今また万博で盛り上がる大阪。太陽の塔が見つめた未来に近づいているでしょうか。
取材日は平日でしたが午前中の観覧枠は満員。来館にあたっては事前予約制なので、太陽の塔オフィシャルサイトから予約をして訪問してみてください。
太陽の塔 (万博記念公園内)
大阪府吹田市千里万博公園
入館料 大人720円 小中学生310円(別途、万博記念公園入園料が必要)
10:00~17:00(16:30最終受付) 毎週水曜日休み(万博記念公園に準ずる)
公式HP https://taiyounotou-expo70.jp/
miyoka
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