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お天気キャスター・片平敦さんと浅田麻実さんが気になる地球温暖化

2024.01.25

お天気キャスター・片平敦さんと浅田麻実さんが気になる地球温暖化
カンテレのニュースや情報番組で天気予報をわかりやすく伝えてくれるお天気キャスターの片平敦さんと浅田麻実さん。普段の仕事の内容から気になる温暖化のことまでお話を伺います。
―気象予報士のお仕事って?
【浅田】天気図を見て、その時の天気を把握しつつ、明日、明後日の未来の天気を予想する仕事です。
【片平】そうですね。天気図を解析して、明日はどんな天気になりそうか予想をして、天気予報を出すまでが気象予報士の仕事です。それをテレビで分かりやすく説明するのがお天気キャスターの仕事。どう伝えたらわかりやすいのかなど工夫が必要です。

―天気図の解析って?
【片平】気象庁がスーパーコンピューターで計算する12時間ごとのデータが白黒の地図で提供されます。それをプリントアウトして気圧の谷に赤ペンで印を付けたり、前線を記入したりして、12時間後、24時間後、36時間後のそれぞれの動きを把握します。それで3日分の全国の天気を予想します。
近畿地方に範囲をしぼる時は、もっと細かく状況を把握するために1時間ごとのいろんなデータを見比べて、「近畿地方のどこで何時ごろから雨が降り出すのか」など、分析し判断をします。
―お二人のカンテレでのお仕事は?
【浅田】私はお昼のニュースで天気予報をお伝えするために、前日の午後に片平さんと一緒に天気図の解析をして、翌朝に当日の天気や気温の状況をみて前日のまとめた資料を微調整してお昼の天気予報に臨みます。
【片平】私も午前中は前日の自分の見立てが合っているか答え合わせします。『旬感LIVEとれたてっ!』の放送の前に気象台から最新の情報が出てきて、その分析が終わっていたら番組で最新の予報をお伝えします。分析途中に本番が始まった場合は、その途中までの予想をお伝えして、放送後に続きの分析の作業をして、『newsランナー』に臨みます。
夕方の5時に気象台が天気予報を発表するので、また答え合わせをして視聴者のみなさんにどのようにお伝えするのかを考えます。そしてダジャレも(笑)。
カンテレの夕方のニュースで天気予報をお伝えして、もう約20年になります。毎日、天気のノートをつけているのですが、見開き1ページを使うので200冊以上になりました。実はそのページの端っこにダジャレもメモしてあります(笑)。
―そんな先輩の姿を浅田さんはどう見ているのですか?
【浅田】1日中何かしら頭を働かせているのですごいな~って思っています。片平さんはいつでも話しかけたら笑って答えてくれるけれど、ダジャレを考えている時だけは余計な話をしたらだめだなって控えるようにしています(笑)。
【片平】天気の分析は難しい時がありますが、それでも結果を導き出す手順は決まっていて、時間をかけて分析するだけなんです。でもダジャレは神様が降りてこないといけないので…。斜め上45度を見上げてじ~っとしている時はダジャレを考えているときですね(笑)。

―日常の中で気温変動を感じることはありますか?
【浅田】私は趣味で季節の花の写真を撮りに行くことが多いのですが。最近は見頃の時期をよむのが難しくなってきました。ガイドブックに載っている情報とずれることが増えてきた気がします。
【片平】視聴者の方から寄せられる季節の写真も同じかも。植物や昆虫で「この時期に?」という投稿が増えてきた気がします。昆虫は直接自然の影響を受けるので、虫の世界でいつもと違うことがあったらきっと気候が影響しているんだろうな。
長いスパンで考えてみると、自分が子どもだった頃の冬はもっと寒かったです。雪が積もったし、朝はバケツに氷が張っていたし。いま、自分の子どもと一緒に近くの公園で雪合戦とか、道に張った氷を割りながら歩くなんてことをしたくても、できるチャンスがないですね。全体的に気温が底上げされている気がしています。
【浅田】花粉の飛び始めも早くなっているかな。「飛んでる?」って人から聞かれるタイミングが早くなってきているような…。これも温暖化の影響が一番大きいのかなと思います。
【片平】2023年でみてみると、大阪で氷点下の気温になったのは1日だけでした。カンテレ横の扇町公園も雪が積もらない。カンテレに通い始めた20年前は積もる日が少なくとも2~3年に1日はありました。それに、気温の上がり方が急にきつくなってきましたね。2023年の日本は年平均気温の上げ幅がこれまでと比べて断トツ一番に高い値でした。この背景にはずっと進んでいる温暖化を疑う余地はないと思います。
―温暖化が天気に与える影響もありますか?
【片平】温暖化が進むと、現象としては「線状降水帯」というような狭いエリアでの極端な天気が増える傾向にあると考えています。天気予報の精度は上がってきていますが、極端な現象をピンポイントで予測するのは難しいです。温暖化が進むと日本各地で災害をもたらすような局地的大雨が増えるので、ただ単純に暑くなるだけじゃなくて防災上でも注意が必要です。

―温暖化の進行を遅らせるにはどうすれば?
【片平】よく聞くことですが、CO2を少しでも減らすことかなと思います。それには家族団らんが一番かな。それぞれの時間も必要ですが、家族が一つの部屋に集まって一緒に食事をしたり、テレビを見たり。そういう時間を持つことで、一家で使う電気量を減らすことができますよね。
それと話をすること。どこか遠くの国の話じゃなくって、いま私たちが住んでいる町でも起きていることだって実感すること。季節外れの花や虫の話がどこのご家庭でも楽しく話題にできるといいなと思います。私も子どもと一緒に電車に乗るときや登校途中やお風呂の中でそういった話をよくします。すぐに温暖化の進行を止めるのは難しいけれど、いまおとなの私たちが話をすることで、子どもたちが大きくなった時に、また次の世代につないでくれる。そのことで地球の温暖化を止めることができると信じています。
【浅田】ほんとにそうですね。私も話題にしつづけることかなって思います。
電気を消すとかグリーンを増やすとかペーパーレスとか、いろいろありますが、なによりも身近な話題になればいいな。
【片平】それには天気予報をみてほしいですね。お伝えしている災害や防災情報の裏側には温暖化の影響があるということをみなさんにもっとお知らせしたいです。放送に時間のゆとりがある時は「なぜか」という理由も含めてわかりやすく説明するようにしていますので、ぜひ8チャンネルの天気予報を見てくださいね。
とても和やかで笑いの絶えないインタビューでしたが、地球温暖化や防災の話になるとそこはやはり真面目に丁寧にわかりやすく話をするお二人。気象予報士、防災士としての職人気質が垣間見られました。
そんな二人が3月に「はんなんSDGs未来フォーラム」に登壇します。ただいま参加者を募集中です(2/1以降も追加申し込み募集中・入場無料)。ぜひご参加くださいね。

はんなんSDGs未来フォーラム
カンテレの気象予報士とアマモ場再生のスペシャリストと一緒に学ぼう!

https://www.ktv.jp/sustainability/entries/hannan/
日時:2024年3月3日(日)午後1:30~午後3:00(受付:午後0:30~)
場所:阪南市立文化センター(サラダホール)

片平敦
2001年3月に19歳で気象予報士資格取得。お天気キャスターデビュー。
2005年3月末からカンテレのお天気キャスターとして出演
浅田麻実
2013年4月に気象予報士資格取得。2015年お天気キャスターデビュー。
2018年4月からカンテレのお天気キャスターとして出演
miyoka
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