檀れい『マウンテンドクター』で魅せる包容力と強さ
2024.09.02
―― 『美しい隣人』(2011年)以来、カンテレのドラマ出演は13年ぶりです。オファーを受けたときのお気持ちを聞かせてください。
13年ぶりということで、月日が経つのがとても早く感じました。カンテレは私が子どもの頃から親しんできた放送局で、特に宝塚に在籍していた頃は日常的に見ていましたから、オファーは大変うれしく思いました。うれしい気持ちと同時に、よいドラマにしたいなという思いが強くありました。
―― 今回は山岳医療という新しい切り口のドラマですが、台本を読んでどのように感じましたか?
まず山岳医療というテーマに新鮮さを感じました。私が演じる院長の松澤周子は、山岳の遭難者を病院で治療するのではなく、MMT(マウンテン・メディカル・チーム)を発足させ、ヘリに医師を乗せて現場で治療をしたいと考えています。でも山岳医療にはさまざまな課題があって、周子はなんとか前へ進んで可能性の扉を開こうとしています。私だったらくじけてしまうようなことでも、周子はまっすぐに立ち向かって行きます。
台本には、周子がなぜ山岳医療を推進しようとしているのか、その背景や信念が非常に興味深く書かれています。周子の思いの強さ、エネルギッシュさをひしひしと台本から感じています。これまでの医療ドラマとは一線を画す内容で、視聴者の皆さんにとっても新しい発見があるのではないでしょうか。
たまたま撮影現場の近くのビルにヘリポートがあり、ヘリが着陸する様子を目にする機会がありました。周子は山岳医療を推進する中で、病院でヘリコプターを所有したいと強く願っている役なので、ヘリに対する思いは特別なものだと考えていました。
役作りというほどのものではありませんが、ヘリがあればすぐに遭難者のもとへ医師が治療に向かえる。病院で待つのではなくて、自分で救助に行ける。そのためにヘリが必要だと考えているから、ヘリに対する思いに真実味を持たせたかったんです。
1話でヘリが病院に着陸して、歩が乗り込むシーンがあります。ヘリの大きさや爆風、迫力を直に体験して、周子のヘリへの思いや、医師を現場に向かわせる覚悟のようなものが自分の中で腑に落ちました。周子の内面をより深く理解し、演じることができたと思います。
―― 檀さん演じる松澤周子の人となりと魅力について教えてください。
周子は包容力があり、他人の失敗を包み込む強さを持つ女性です。歩に対して、普通の医師とは違って山の恐ろしさも素晴らしさも理解できる医師だと早い段階で見抜いているんですね。彼に対して、失敗したとしても「責任は自分が取るから」と背中を押してあげられる。失敗したらどうしようとか、責任を取らなければならないから失敗させられない、という自己保身的な考えの上司もいると思います。しかし周子はそうではありません。私が責任を持つからやってみなさいと背中を押すのです。その強さと包容力は、上に立つ人間として非常に魅力的だと思います。
主演の杉野くんとは以前、時代劇で共演したことがあります。その時は私が母親役で、杉野くんが息子役でした。今回は院長と新人医師という関係で、現代劇なので設定も全く違いますが、前回の共演で築いた信頼関係があるので心強いです。また一緒に新しい作品づくりができることをうれしく思っています。この作品が杉野くんにとって素晴らしいものになればいいなと思いますし、現場で彼と会うのが毎回楽しみです。
―― 杉野さんも檀さんのことが大好きだそうで、キャスティングが決まったときすごく喜ばれていたそうです。
そうなんですか?(笑)確かに現場で会うと、いつもニコニコしてくれているんです。うれしいですね。
―― 撮影現場の雰囲気はいかがですか?
とても楽しい雰囲気で、監督をはじめスタッフの皆さんが、この作品を本当に大切に扱っていらっしゃるのが伝わってきます。素晴らしい作品の現場に参加できていることに感謝しながら、毎日撮影に臨んでいます。
これまであまり知られていなかった山岳医療をテーマにした新しい医療ドラマになると思います。個性豊かなMMTメンバーたちそれぞれが抱える思いや葛藤、チームとして成長していく過程に注目していただきたいです。
―― 連日、ハードな撮影が続きますが、檀さんのリラックス方法を教えてください!
うちには猫ちゃんたちがいて、この子たちと過ごす時間がとても癒しになっています。この子たちの存在が私の癒しであり、仕事の原動力にもなっています。
―― お休みの日は、どのように過ごされていますか?檀さんのマイブームなど教えてください。
お休みの日は家で何もせずゆっくり過ごすか、スケジュールをいっぱい入れて動くか、どちらかですね。最近は紅茶にハマっていて、いろいろな種類の紅茶を買って楽しんでいます。気分によって今日はアロマティックな紅茶にしようとか、紅茶に合わせてチョコレートやドライフルーツを選ぶのも楽しいです。
―― ずっと憧れの存在です。ステキをキープする秘訣、何か一つ教えてください!
5年くらい前から取り組んでいるのは、筋膜リリースとピラティスです。筋トレしたりジムに行ったりもしていましたが、正しい姿勢を保ちつつ、長く健康的に動ける体づくりがしたくてピラティスを始めました。美しい姿勢というのは、実は体に負担がかかっていることも多いんですね。もう少し自然な、ニュートラルな状態で美しさを保てるようにしたくて。でも最初は体が硬すぎて全然できなかったんです。それで、体をほぐすためにマッサージガンなどを使って、移動中や撮影の合間にボディーケアをしています。
―― 視聴者の皆様へメッセージをお願いします。
山岳医療という医療ドラマの作品自体も楽しんでいただきたいですけど、長野県の美しい山々も見どころの一つなので、ぜひ注目していただきたいです。以前、主演映画で長野に3週間ほど滞在したことがあり、その時から長野の素晴らしさに魅了されて、長野が大好きになりました。山の持つ危険性にも目を向けていただきつつ、自然の美しさ、山岳の雄大な景色を堪能していただければと思います。
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