パリコレの舞台で異例のタッグ アンリアレイジが障害のある作家たちと込めた想い 「人と違うは価値がある」ファッションの世界をヘラルボニーと超える【カンテレ海外特派員リポート】

2025.10.24

パリコレの舞台で異例のタッグ アンリアレイジが障害のある作家たちと込めた想い 「人と違うは価値がある」ファッションの世界をヘラルボニーと超える【カンテレ海外特派員リポート】

パリコレの舞台で異例のタッグ アンリアレイジが障害のある作家たちと込めた想い 「人と違うは価値がある」ファッションの世界をヘラルボニーと超える

 「ファッションにおいて“人と違う”ことがすごく価値があって輝いていて。そういう土壌がファッションにはあるので、今回の取り組みを通して今まで自分が経験したことと全く違う世界を見せてもらったと思っています。」

 こう語るのは、ファッションとテクノロジーを融合させた革新的な表現を世の中に提示してきたブランド「ANREALAGE(アンリアレイジ)」のデザイナー・森永邦彦さんです。アーティスト・ビヨンセのワールドツアーの衣装を手掛けるなど、今世界から注目されています。

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「パリのファッションウィークは、世界中からわずか70ぐらいのブランドがファッションショーをやるための期間です。どのブランドも“自分たちの美しさ”を追求していて、“みんなと同じ美しさ”ではないのです。」(森永邦彦氏)

9月29日に開幕したPARIS FASHION WEEK(パリファッションウィーク)。通称“パリコレ”でタッグを組むのは、障害に対する社会の視線を変えること「異彩を、放て。」をミッションに掲げる日本発のスタートアップ企業HERALBONY(ヘラルボニー)です。
HERALBONY(ヘラルボニー)は、障害のある作家が描くアートの収益化に取り組んでいて2,000点以上の作品をデータ化し、そのライセンスを管理しています。その作品データをもとに企業と商品開発などを行い、アートの使用料を作家本人に支払うビジネスモデルを確立しました。
今回HERALBONY(ヘラルボニー)と契約している障害のある18人の作家の21作品が起用され、ANREALAGE(アンリアレイジ)のパリコレのステージで披露されることになったのです。

「ファッションの世界にはすごく境界があって、メンズとレディースもありますし、洋服によって職業の境界もできますし、服はたくさん人を分けてきたと思っています。そういう境界を1つ1つ超えようと僕らのブランドは20年以上やってきました。まだ超えられていないものは、健常者と障害者の間にある目に見えない大きな境界だと思っています。今回ファッションショーを通じて発表することで、まずそういう人たちが存在することを知ってもらって、その世界が自分たちから見たこともないほど強く、美しく、ドキドキさせてくれるような世界だというのを1人でも知ってもらえたらいいなと思います。」(森永邦彦氏)
HERALBONY(ヘラルボニー)の共同代表、双子の松田崇弥さんと松田文登さんは、創業のきっかけとなった4つ年上の自閉症のお兄さんの話を交えて、今回のパリコレを通じて社会に届けたい思いを話してくれました。

「私たちの目的は、“障害=欠落”ではなくて、“障害=多様な生き方や違いがあること”で、そういったものが肯定されて未来を強く作っていくと思っているので、色々な入り口の扉の1つがHERALBONY(ヘラルボニー)によって開かれて誰かが生きやすくなったとか、一歩踏み出しやすくなったと言われる1つの点が打てたらうれしいなと思います。

自分の兄が小さい頃から色眼鏡的に見られる瞬間もすごく多かったので、兄にとって好きなことだったり色々なものが存在している中で肯定していきたいなと思っていますし、好きは好きでいいじゃんみたいな。シンプルにかっこいいはかっこいいでいいじゃないかということ。それが“障害”という言葉が入った途端に難しくなるというのがあるなと思った時に、圧倒的な、潜在的な美が存在していると思うので、根源的な美を社会に提唱していって、作家だけではなくて周りの色々な人たちの意識が変わっていくような一助になれていたらうれしいと思います。」(松田崇弥氏、文登氏)

取材:カンテレパリ支局・原 佑輔

パリコレの舞台で異例のタッグ アンリアレイジが障害のある作家たちと込めた想い 「人と違うは価値がある」ファッションの世界をヘラルボニーと超える〈カンテレNEWS〉

miyoka
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