【天満のひと】西天満からしゃべり続けて30年。DJ・中島ヒロトさん（FM802）
2024.01.04
「２時です！こんにちは！元気ですか？」で始まるFM802の『THE NAKAJIMA HIROTO SHOW 802 RADIO MASTERS』。2023年に15周年を迎えた人気番組のDJを務めるのは中島ヒロトさん。
西天満から約30年間 、FM802のDJとしてしゃべり続けるヒロトさんにお話を伺いました。
西天満から約30年間 、FM802のDJとしてしゃべり続けるヒロトさんにお話を伺いました。
―番組が昨年15周年を迎えました
98年から10年続いた朝の番組『HAPPY FUN RADIO』が終わった時、それが自分の最長記録だったから「これ以上長い番組はもうないだろうな」と思っていました。そのあと僕の名前が冠についた『THE NAKAJIMA HIROTO SHOW 802 RADIO MASTERS』が始まって、2023年に15周年を迎えました。1年くらい前にスタッフから「イベントやりましょう」って言われて、それまで意識していなかったけれど「あ、15年にもなるのか」って。いつの間にか自分の番組最長記録を更新していました。たくさんの方が永く聴いてくださってありがたいなと思います。
長年にわたり同じ番組で話し続ける僕の存在は「学校の先生」のようなものかなって思います。学生時代にリスナーだった人が就職で大阪を離れて、数年後に転勤で大阪に戻ってきて。そんでラジオをつけたら「あ、ヒロトだ。まだいた」ってなる。出身校を久しぶりに訪問したら「まだあの先生いるよ」みたいな感じ。「ヒロトさんまだやってたんですね」ってメッセージをもらうことがあって、そういうのってとってもうれしい。ラジオをつけたらいつも僕がいるよって。
98年から10年続いた朝の番組『HAPPY FUN RADIO』が終わった時、それが自分の最長記録だったから「これ以上長い番組はもうないだろうな」と思っていました。そのあと僕の名前が冠についた『THE NAKAJIMA HIROTO SHOW 802 RADIO MASTERS』が始まって、2023年に15周年を迎えました。1年くらい前にスタッフから「イベントやりましょう」って言われて、それまで意識していなかったけれど「あ、15年にもなるのか」って。いつの間にか自分の番組最長記録を更新していました。たくさんの方が永く聴いてくださってありがたいなと思います。
長年にわたり同じ番組で話し続ける僕の存在は「学校の先生」のようなものかなって思います。学生時代にリスナーだった人が就職で大阪を離れて、数年後に転勤で大阪に戻ってきて。そんでラジオをつけたら「あ、ヒロトだ。まだいた」ってなる。出身校を久しぶりに訪問したら「まだあの先生いるよ」みたいな感じ。「ヒロトさんまだやってたんですね」ってメッセージをもらうことがあって、そういうのってとってもうれしい。ラジオをつけたらいつも僕がいるよって。
―秋に15周年イベントを開催しましたね
「やろう」ってなったのは１年くらい前。僕自身が55歳を迎え、よく考えたら番組は15周年だからということで、スタッフが「15周年、城ホール（大阪城ホール）じゃないですか？」って提案してくれて。それで『802 RADIO MASTERS 15th Anniversary LIVE〜GO! HAPPY GO!〜』を開催しました。
50歳の時にもイベントがありましたが、今回はキャスティングや演出にも関わらせてもらいました。「これでいける」って思う日と「そんなわけない。大丈夫かな」って不安になる日が交互にやってきて、１か月くらいずっと心配でした。みんな喜んでくれるかなって。
当日は緊張しすぎて気持ち悪くなって、楽屋の中をウロウロしていました（笑）。ステージに立ってライトがついた瞬間に「もうどうでもいいや」って。それで終わった時の感動といったら…。一番うれしかったのは観客やスタッフ、キャストの笑顔でした。もう最高！ 自分が携わったイベントの中でもとびっきりの一番。人生最高のイベントでした。もう二度とできないんじゃないかな。それにあんなにドキドキするなんてもう当分いらない（笑）。でも本当に最高だった。リスナーとFM802には感謝しかないです。
「やろう」ってなったのは１年くらい前。僕自身が55歳を迎え、よく考えたら番組は15周年だからということで、スタッフが「15周年、城ホール（大阪城ホール）じゃないですか？」って提案してくれて。それで『802 RADIO MASTERS 15th Anniversary LIVE〜GO! HAPPY GO!〜』を開催しました。
50歳の時にもイベントがありましたが、今回はキャスティングや演出にも関わらせてもらいました。「これでいける」って思う日と「そんなわけない。大丈夫かな」って不安になる日が交互にやってきて、１か月くらいずっと心配でした。みんな喜んでくれるかなって。
当日は緊張しすぎて気持ち悪くなって、楽屋の中をウロウロしていました（笑）。ステージに立ってライトがついた瞬間に「もうどうでもいいや」って。それで終わった時の感動といったら…。一番うれしかったのは観客やスタッフ、キャストの笑顔でした。もう最高！ 自分が携わったイベントの中でもとびっきりの一番。人生最高のイベントでした。もう二度とできないんじゃないかな。それにあんなにドキドキするなんてもう当分いらない（笑）。でも本当に最高だった。リスナーとFM802には感謝しかないです。
写真提供：FM802
―これまでの道のりは
ラジオには中学生の頃にはまって、夜10時ごろから深夜ラジオを夢中で聞いていました。
高校では放送部に入りました。帰宅部のつもりだったけれど、入学してすぐに担任の先生から「なんのクラブにも所属しない生徒は応援団に入る決まりになっている」と聞かされて。これ本当は嘘なんですけれど（笑）。「応援団は嫌だなどうしよう」って思っていたら、周りから「放送部は楽だよ。名前を登録するだけでいいらしい」って言われて入部したんですが、実はそれも嘘（笑）。入ってみたら全国でも有数の放送部で。でも作る側として放送の面白さを知ったのはその頃でした。放課後みんなで集まってラジオ番組の話をしたり、録音したものを編集してみたり。NHKの全国高校放送コンテストに出品して、高２の時に「テレビ番組部門」で優勝しました。NHKホールの表彰式に出たときに「これが仕事になったら面白いだろうな」とおぼろげに思っていました。
高校では洋楽好きの友達もできて、影響をうけましたね。FMラジオを聞いたり、レンタルレコード屋でレコードを借りてテープに録音したり、ビルボード・チャートの存在を知ってからは海外のチャートを追っかけたりしていました。当時、1980年代には「第２次ブリティッシュインヴェイジョン」といって、イギリス発の音楽がヒットチャートを賑わしていたんです。カルチャークラブやデュラン・デュランといったバンドです。でも当時は情報があまりなかったので「英語で歌っている人だ」程度の理解で、どこの国の音楽なのかはわかっていませんでした。業界に入って初めて、その頃イギリス音楽のブームがあったことを知り、僕の中に当時の影響が残っていることに気づかされました。
そのまま地元の熊本大学に進学したのですが、中退して制作会社のラジオ部門でアルバイトをはじめました。
ラジオ番組のADをしながら、その会社の社長にDJのレッスンを２年間つけてもらっていました。その後、新番組でディレクターに決まり、社長から「自分でしゃべったら？」って言われたんです。しゃべりながら選曲して、どんなコーナーを作るのかも自分で決めればいいって。そんなことを２年半くらいやらせてもらいました。
数年後、福岡のCROSS FMが音楽放送局として開局して、チーフディレクターに採用されたので福岡に引っ越しました。開局準備室に行ってみるとDJ候補のデモテープが集めてあって、そっと自分の声を吹き込んだテープも入れておいたんです。会議で「これ誰？」「それ僕です」となって、開局時にDJとしてレギュラー番組をもたせてもらいました。その後、FM802でオーディションやっているから受けてみないかと誘われて。94年のFM802のオーディションに受かって、大阪に拠点を移して３年間は熊本・福岡・大阪を往復しつつ、そんなこんなで32年間、しゃべり手としてやっています。
とにかくラジオが好きなんです。体力的にしんどいこともあるけれどマイクの前に座るとわくわくする。「今日何しゃべろうかな」って、その時の気分で、その時出た言葉で、毎日新鮮にわくわくしながらやっていることがず～っと続いている大きな要因かな。ミュージシャンのAIKOと喋っていたら「スタッフが笑顔じゃないと」と言っていたんだけれど、僕も同じ。４～５人でスタジオから放送しているけれど、そのスタッフが笑ってくれないとリスナーにも楽しんでもらえないと思ってやっています。
僕の番組ではメッセージやリクエストはフォームを使って送ってもらいます。ハガキを買ってリクエストを書くという僕たちが若いころやっていたことと同じ感じ。ひと手間かけて番組に参加してもらうということを大切にしています。Xでリスナーの反応も見ているけれど、何も意見をしないサイレントリスナーの存在もちゃんと感じてる。
ラジオには中学生の頃にはまって、夜10時ごろから深夜ラジオを夢中で聞いていました。
高校では放送部に入りました。帰宅部のつもりだったけれど、入学してすぐに担任の先生から「なんのクラブにも所属しない生徒は応援団に入る決まりになっている」と聞かされて。これ本当は嘘なんですけれど（笑）。「応援団は嫌だなどうしよう」って思っていたら、周りから「放送部は楽だよ。名前を登録するだけでいいらしい」って言われて入部したんですが、実はそれも嘘（笑）。入ってみたら全国でも有数の放送部で。でも作る側として放送の面白さを知ったのはその頃でした。放課後みんなで集まってラジオ番組の話をしたり、録音したものを編集してみたり。NHKの全国高校放送コンテストに出品して、高２の時に「テレビ番組部門」で優勝しました。NHKホールの表彰式に出たときに「これが仕事になったら面白いだろうな」とおぼろげに思っていました。
高校では洋楽好きの友達もできて、影響をうけましたね。FMラジオを聞いたり、レンタルレコード屋でレコードを借りてテープに録音したり、ビルボード・チャートの存在を知ってからは海外のチャートを追っかけたりしていました。当時、1980年代には「第２次ブリティッシュインヴェイジョン」といって、イギリス発の音楽がヒットチャートを賑わしていたんです。カルチャークラブやデュラン・デュランといったバンドです。でも当時は情報があまりなかったので「英語で歌っている人だ」程度の理解で、どこの国の音楽なのかはわかっていませんでした。業界に入って初めて、その頃イギリス音楽のブームがあったことを知り、僕の中に当時の影響が残っていることに気づかされました。
そのまま地元の熊本大学に進学したのですが、中退して制作会社のラジオ部門でアルバイトをはじめました。
ラジオ番組のADをしながら、その会社の社長にDJのレッスンを２年間つけてもらっていました。その後、新番組でディレクターに決まり、社長から「自分でしゃべったら？」って言われたんです。しゃべりながら選曲して、どんなコーナーを作るのかも自分で決めればいいって。そんなことを２年半くらいやらせてもらいました。
数年後、福岡のCROSS FMが音楽放送局として開局して、チーフディレクターに採用されたので福岡に引っ越しました。開局準備室に行ってみるとDJ候補のデモテープが集めてあって、そっと自分の声を吹き込んだテープも入れておいたんです。会議で「これ誰？」「それ僕です」となって、開局時にDJとしてレギュラー番組をもたせてもらいました。その後、FM802でオーディションやっているから受けてみないかと誘われて。94年のFM802のオーディションに受かって、大阪に拠点を移して３年間は熊本・福岡・大阪を往復しつつ、そんなこんなで32年間、しゃべり手としてやっています。
とにかくラジオが好きなんです。体力的にしんどいこともあるけれどマイクの前に座るとわくわくする。「今日何しゃべろうかな」って、その時の気分で、その時出た言葉で、毎日新鮮にわくわくしながらやっていることがず～っと続いている大きな要因かな。ミュージシャンのAIKOと喋っていたら「スタッフが笑顔じゃないと」と言っていたんだけれど、僕も同じ。４～５人でスタジオから放送しているけれど、そのスタッフが笑ってくれないとリスナーにも楽しんでもらえないと思ってやっています。
僕の番組ではメッセージやリクエストはフォームを使って送ってもらいます。ハガキを買ってリクエストを書くという僕たちが若いころやっていたことと同じ感じ。ひと手間かけて番組に参加してもらうということを大切にしています。Xでリスナーの反応も見ているけれど、何も意見をしないサイレントリスナーの存在もちゃんと感じてる。
―ヒロトさんの目に映る天満は？
94年から大阪に引っ越してきて今は天満界隈に住んでいます。
大阪に来て、趣味を通じてできた友達がいるんです。彼は子供のころから天満が地元で。出会った頃は天満の良さをこんこんと聞かされていました。一見では入りにくいお店にもガンガン入っていくんですよ。よく連れて行ってもらってマスターに紹介してもらって。彼のおかげで今では１年間のうち７割は天満で飲んでいます（笑）。
大阪に来た当時からみると商店街のお店は変わったりしているけれど、雰囲気は変わらないかな。
安いし旨いし愛想がいい。安心感があって居心地がいいんですよね。『RADIO MASTERS』を聞きながら仕込みをやっているのか、初めて入ったお店で「マスター注文いいですか」っていうと「あ、中島ヒロトさんですか」って言われることもあります。お店の常連さん同士が「○○のあの子が今度結婚するんだよね。残念だけど、まあ決まってよかった」なんて共通の知り合いの話題で盛り上がっていることも。お店の人やお客さん同士の距離感の近さに心地良さを感じます。
それに何といっても商店街の中にある放送局っていうのがFM802のいいところ。毎年必ず正月から「春の海」が聴こえてくるような商店街のビルを上がったら、最新の音楽番組を放送してるっていうギャップがカッコいいと思いませんか？
94年から大阪に引っ越してきて今は天満界隈に住んでいます。
大阪に来て、趣味を通じてできた友達がいるんです。彼は子供のころから天満が地元で。出会った頃は天満の良さをこんこんと聞かされていました。一見では入りにくいお店にもガンガン入っていくんですよ。よく連れて行ってもらってマスターに紹介してもらって。彼のおかげで今では１年間のうち７割は天満で飲んでいます（笑）。
大阪に来た当時からみると商店街のお店は変わったりしているけれど、雰囲気は変わらないかな。
安いし旨いし愛想がいい。安心感があって居心地がいいんですよね。『RADIO MASTERS』を聞きながら仕込みをやっているのか、初めて入ったお店で「マスター注文いいですか」っていうと「あ、中島ヒロトさんですか」って言われることもあります。お店の常連さん同士が「○○のあの子が今度結婚するんだよね。残念だけど、まあ決まってよかった」なんて共通の知り合いの話題で盛り上がっていることも。お店の人やお客さん同士の距離感の近さに心地良さを感じます。
それに何といっても商店街の中にある放送局っていうのがFM802のいいところ。毎年必ず正月から「春の海」が聴こえてくるような商店街のビルを上がったら、最新の音楽番組を放送してるっていうギャップがカッコいいと思いませんか？
―今後はどのような活動をされたいですか？
番組を15年やっていて「飽きる」ことは絶対避けたいと思っています。僕のしゃべりと曲を聞くだけで「面白かったな」って思ってもらうためにスキルアップは絶対にしなきゃって思うんですよね。しゃべるスキル、選曲するスキルということではなく、もっとリスナーと近くなれるにはどうすればいいのかということを掘り下げていきたい。日々の情報も仕入れるし、音楽の情報もアップデートするけれど、最も僕がやらないといけないことは面白く楽しくしゃべること。ず～っと現役のDJとしてやっていきたいと思っています。
そのために少しずつ整えていくことも必要だなって思うんですよね。歯医者さんで「このままだと活舌が悪くなるよ」と言われて、今まで放置していた治療を始めてみたり、お酒もちょっと控えてみたり。声量、声、活舌、フィーリングを持続させたいです。楽しいことをしていないと元気も出ないから、仲間ともっとキャンプや低山ハイキングに行きたいです。遊ぶけれど、それがやっぱり仕事につながって。音楽を流す間の３分間くらいのしゃべりだけれど、例えば山の上で感じたことをどれだけ表現できるのかを極めていきたい。ちゃんと言葉にしてリスナーに伝えられるDJでいたいと思っています。
番組を15年やっていて「飽きる」ことは絶対避けたいと思っています。僕のしゃべりと曲を聞くだけで「面白かったな」って思ってもらうためにスキルアップは絶対にしなきゃって思うんですよね。しゃべるスキル、選曲するスキルということではなく、もっとリスナーと近くなれるにはどうすればいいのかということを掘り下げていきたい。日々の情報も仕入れるし、音楽の情報もアップデートするけれど、最も僕がやらないといけないことは面白く楽しくしゃべること。ず～っと現役のDJとしてやっていきたいと思っています。
そのために少しずつ整えていくことも必要だなって思うんですよね。歯医者さんで「このままだと活舌が悪くなるよ」と言われて、今まで放置していた治療を始めてみたり、お酒もちょっと控えてみたり。声量、声、活舌、フィーリングを持続させたいです。楽しいことをしていないと元気も出ないから、仲間ともっとキャンプや低山ハイキングに行きたいです。遊ぶけれど、それがやっぱり仕事につながって。音楽を流す間の３分間くらいのしゃべりだけれど、例えば山の上で感じたことをどれだけ表現できるのかを極めていきたい。ちゃんと言葉にしてリスナーに伝えられるDJでいたいと思っています。
中島ヒロト
5月23日生まれ A型。 23歳の時、地元熊本でラジオDJデビュー。1994年10月、FM802のDJとなる。
FM802『THE NAKAJIMA HIROTO SHOW 802 RADIO MASTERS』 https://funky802.com/masters/
毎週月～木曜日 午後２時～５時51分 ON AIR
5月23日生まれ A型。 23歳の時、地元熊本でラジオDJデビュー。1994年10月、FM802のDJとなる。
FM802『THE NAKAJIMA HIROTO SHOW 802 RADIO MASTERS』 https://funky802.com/masters/
毎週月～木曜日 午後２時～５時51分 ON AIR
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