聞いてみよか

林遣都×山本耕史初共演。音楽劇『浅草キッド』が生まれた理由

2023.08.18

林遣都×山本耕史初共演。音楽劇『浅草キッド』が生まれた理由
ビートたけしさん原作『浅草キッド』がこの秋音楽劇として初上演されます。この舞台を企画したカンテレ・東京コンテンツ事業部の水川薫さんに話を聞きました。

―ビートたけしさんの著書『浅草キッド』を題材にしようと思ったきっかけは?
最初に原作を読んだのはかなり前ですが、読んでいる途中から舞台化したいなと思いました。なんで今まで舞台化されていないんだろう、と不思議に思うぐらいで。
世代は離れていますが、たけしさんの番組は子供のころからやっぱり大好きでしたし、監督された映画作品も10代で夢中になって観ました。カンヌ映画祭のレッドカーペットを歩いている方が、『27時間テレビ』では“火薬田ドン”として出てくる…それがめちゃくちゃかっこよくて。
『浅草キッド』を読んで、たけしさんのかっこよさのルーツに深見千三郎師匠があるんだと思いました。のちにツービートを組むことになる二郎さんや芸人仲間、踊り子さんたち、浅草に生きる人々との交流も印象的です。
たけしさんがフランス座での下積み時代を書いた原作ですが、私にとっては物心がついたときからテレビの中の大スターのたけしさんの原点に板の上がある、ということもうれしく感じました。だからこそ、この物語を劇場でやりたいな、と。でも実現できるなんて思っていなくて、だからこそ無邪気に「浅草キッドを舞台化したい!」とあちこちで話していました。そうしたら、色々な方が協力してくださって道がひらき、たけしさん側が承諾してくださって…本当にありがたいです。やりたいことは、自分ひとりで抱えずに口にした方がいいですね。
―なぜ音楽劇にしようと?
原作に出てくる深見千三郎師匠の言葉に、「芸人てのは舞台に立つ前にやることがいっぱいあるんだよ。頭もいるし、世の中のこともいろいろ知らなきゃいけないし、タップや踊りもできなくちゃいけないし、歌もうたえなくちゃいけない。音楽だってできなくちゃいけない。芝居のセリフが喋れればいいってもんじゃないんだ」とあるのですが、その言葉をまさにたけしさんは体現されています。深見師匠がたけしさんに教えた芸人の生き様や、1970年代の浅草という街の様々を描く時に音楽が大きな力になると思いました。
脚本・演出を福原充則さんが引き受けてくださったことも大きいですね。福原さんの書く台詞はもちろん、芝居の中の音楽へのアプローチの仕方も好きで。そもそも、福原さんが参加してくださらなかったら、この企画は進めていなかったと思います。
たけしさんが作られた名曲「浅草キッド」と、益田トッシュさんによるオリジナル楽曲を交え、全編生バンドで演奏。贅沢な作品だなあと思います。
―林遣都さんが武役で出演されますね
林遣都さんの武役は念願がかないました。この作品の座長として、100%信頼できる役者さんです。生の観客の前で誰もが知っている人物を存在させるには、見た目を似せるとか決まった型を作るとかではなく、たたずまいにたけしさんの精神を宿してくれることが大事だと思います。それに加えて、福原さんは膨大なリサーチと無限の想像力を働かせて舞台脚本を書き上げています。台本が役者さんに渡るまでに結構な時間をかけました。林さんなら、福原さんが書いた青年・武という人物像に向き合い、そしゃくし、悩んで、闘ったり寄り添ったりしながら、その過程を昇華して肉体で表現してくれると思います。初めての挑戦となる音楽劇、タップダンス、漫才、コント…と本当にやることが多い作品なのですが、長い期間をかけて準備してくださっています。この作品は配信や映像化は一切ない予定なので、ぜひ劇場でご覧いただきたいです。
―山本耕史さんは師匠・深見千三郎役です
伝説の芸人と呼ばれた深見師匠は、街を歩けばあちこちから声がかかったと言われています。原作にも深見師匠の客席を圧倒する芸に加えて、お洒落さ、粋さについて書かれています。きっと、何ともいえない人をひきつける魅力や色気を身にまとっていたんだと思うんですよね。山本耕史さんの舞台作品を色々と拝見してきましたが、山本さんが登場すると本当に劇場の空気が変わるんです。山本さんにご出演いただける事も本当にうれしくて、何だかずっと夢見心地ですね。深見師匠は映像資料などがほぼなくて、武役以上に想像と創造で作り上げていく部分もありますが、山本さんが演じる深見師匠であれば、武が憧れた存在の大きさを感じさせてくれると思います。そのかっこいい師匠が物語の中でどう変わっていくのか、が見どころの一つです。
―NETFLIXの映像(2021年)も好評でした
最初の質問の答えと矛盾しますが、実は映像化もあわせてご相談したんです。カンテレの周年企画として、舞台と映像と連動できたら面白いんじゃないかと。その時点ですでに映像化は他社で進んでいるのでできないとなったのですが、しばらく経ってNETFLIXさんでと聞いて驚き、完成した映像を見てさらに驚きました。全くもって予算が違います(笑)
製作側が頑張らなければいけない部分もあるのですが、舞台はどうしても、予算、時間、空間…あれこれ制限があります。だからこそ生まれる創造性にしみじみ感動します。演劇的手法、と一言でいうのは簡単ですが、スタッフの皆さんが、これまでの経験から知恵を振り絞って色々なアイデアを出してくださっています。
ただ、映像と舞台だからということでもなく、同じ原作ですが全く違う仕上がりになると思います。ご期待ください!

音楽劇『浅草キッド』公式HP

みよか読者向け・音楽劇『浅草キッド』大阪公演チケット先行販売

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【受付期間】8月18日(金)午後12時~8月28日(月)午後6時まで
miyoka
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