萩田(曽田陵介)の姉への執着、都築(長谷川慎)は「カオナシ」を救済できるのか【ドラマ『顔のない患者-救うか、裁くか-』】

萩田(曽田陵介)の姉への執着、都築(長谷川慎)は「カオナシ」を救済できるのか【ドラマ『顔のない患者-救うか、裁くか-』】

長谷川慎(THE RAMPAGE)主演『顔のない患者-救うか、裁くか-』 第8話レビュー

3年前の爆破事件をきっかけに、妻・美保(さかたりさ)を人質にとられた外科医・都築亮(長谷川慎)が“命の選択”を迫られていくドラマ『顔のない患者-救うか、裁くか-』(カンテレ/毎週木曜深夜0時15分~、フジテレビ/毎週木曜深夜0時45分~)。首謀者カオナシの正体が判明した衝撃の第7話を受けて、2月26日には第8話が放送されました。

(以降、第8話のネタバレを含みます)

◆病院・警察・カオナシそれぞれの思惑が交錯する第8話

前回明らかになったのは、カオナシの正体が萩田太朗(曽田陵介)であること、萩田に母の命と引き換えに協力させられていた泉みなみ(樋口日奈)の過去、そして爆弾魔・朝比奈伊織(高橋侃) だと思われていた“顔のない患者”が、まさかの都築の弟・悠人(伊藤絃)だったという事実でした。真相が一気に明るみに出たのに、カオナシ=萩田の復讐心(ふくしゅうしん)と残忍さはむしろ増していく——第8話はその延長線上で、各陣営の利害が激しくぶつかり合っていきます。

まず病院側。萩田から「都築が爆弾魔を匿っている」というリークを受けて、夏井冬馬(井上想良)が窮地に立たされます。

ドラマ『顔のない患者-救うか、裁くか-』8話 夏井冬馬(井上想良)

ひとり(都築の妻)の命よりも、病院と地域医療の未来を守るために警察に通報するべきだと主張する院長で夏井の父・達郎(戸田昌宏)。けれど、通報した瞬間に都築の妻は殺される——その可能性がちらつく以上、夏井は決断することができません。

ドラマ『顔のない患者-救うか、裁くか-』8話 夏井冬馬(井上想良)、夏井達郎(戸田昌宏)

一方で警察側も、萩田に襲われた高槙倫(梅舟惟永)が血だらけで発見され、いよいよ鷲尾和臣(飯田基祐)の怒りに火がつきます。ここまで都築の行動を「不審」と見ていた捜査線が、萩田の暴力性によって別の色を帯び始めるのもポイントでした。瀕死(ひんし)の高槙が病院内で発見されたという通報に病院は揺れ、警察は怒りで加速し、カオナシはさらに暴走していく——三つ巴(みつどもえ)の緊張が一気に高まる第8話でした。

ドラマ『顔のない患者-救うか、裁くか-』8話 坂口麻子(遊井亮子)、鷲尾和臣(飯田基祐)

◆人を信じ、医者として命を諦めない都築

妻と弟の命の選択を天秤(てんびん)にかけられる都築の苦しさは、変わらないどころか重くなる一方です。弟・悠人が“顔のない患者”だったと分かった以上、都築は医師としての倫理だけでなく、大切な家族ふたりの間で引き裂かれそうな想いでいます。それでも都築は、ようやく自分の足で立ち上がろうとします。第8話で印象的だったのは、都築が「誰かを切り捨てて成立する救い」を、もう求めないと決めていくところでした。

警察への通報を迷う夏井を前に、病院長の息子である夏井の立場を理解し、彼を責めるのではなく尊重する言葉を述べます。また、母の命を救いたい泉の気持ちに寄り添った上で彼女を信じ、弟・悠人を泉に託すのです。ここには、自分の痛みだけで世界を見ない、都築の“優しさ”と、人を信じる“強さ”を感じさせました。

ドラマ『顔のない患者-救うか、裁くか-』8話 泉みなみ(樋口日奈)

ドラマ『顔のない患者-救うか、裁くか-』8話 都築亮(長谷川慎)

大切な人の命を目の前にして、彼は揺れ惑い続けてきました。しかし“命を諦めたくない”という、医師としての信念は常に彼のなかにあるのです。
そして「弟だから条件は変わらない。弟を殺したら奥さんを返す」——そう告げたカオナシが尾形茉莉(松永有紗)の近親者ではないか、と都築と夏井は悟ります。カオナシの正体を突き止めることで、誰も殺さないで解決する道を模索するのです。どちらかの命を選択するのではなく「医者として、絶対に命を見捨てたりはしない」と決意を語る都築の顔は、迷いのない真っ直ぐな目に惹(ひ)き込まれました。自分自身が本来もつ“優しさ”と“強さ”を取り戻した都築——その清廉さに希望を感じずにはいられません。

◆都築とは対照的に猟奇性が増していく萩田

一方、都築の清廉さと反比例するように、萩田の猟奇性は加速していきます。萩田が不動産会社社長の息子であることを思えば、泉をお金で従わせられたことにも納得がいきます。脅迫に必要な金も、潜伏先も、準備も、全部が“用意できる側”の人間——だからこそ止められないのです。潜伏先に貼られた茉莉の大きなポスターや言動からしても、姉弟を超えた異常な執着——血が繋(つな)がっていないからこそ肥大した愛情や、歪(ゆが)んだ人格形成があったのではないでしょうか。

ドラマ『顔のない患者-救うか、裁くか-』8話 萩田太朗(曽田陵介)

第8話の冒頭で、悠人の顔を抉(えぐ)り、血まみれの高槙を前にしても笑顔で口笛を吹く姿には背筋が凍ります。しかも“顔のない患者”が悠人であったことを伝えながら、誘拐した美保のことも追い込んでいくのです。「他人の命を踏みにじっておいて、罪悪感もなくヘラヘラ生きている」と嘲(あざけ)る——さらに「尾形茉莉に私の代わりに死んでくれてありがとうって10回言え」と迫ります。もはや彼にとって茉莉以外は“人”ではないのでしょう。彼自身が、茉莉を失ったことによって、人の心を失くしてしまったのかもしれません。そんな萩田が看護師をしていたことにも戦慄します。そして美保も悠人も、もはやすべての人間を“人”として扱うのではなく、復讐の道具にしている冷酷さに、彼の狂気を感じます。

ドラマ『顔のない患者-救うか、裁くか-』8話 都築美保(さかたりさ)

◆次回ついに直接対決か?!萩田の復讐を止められるのか?

いよいよ“直接対決”が近づく手触りで、第8話は終わりました。ある場所へと呼び出された都築は、次回ついにカオナシ=萩田と正面から向き合うことになるでしょう。同僚として命を救ってきた看護師・萩田の“物語”を知った上で、それでも都築は命を見捨てない選択ができるのか。都築の清廉さは、復讐に支配された萩田の心に届くのか。固唾をのんで見守りたいと思います。

ドラマ『顔のない患者-救うか、裁くか-』8話 都築亮(長谷川慎)

文:鈴木まこと
編集プロダクション・広告制作会社で編集・ディレクター・ライターとして活動。年間100本以上観るほどドラマ好きで、エンタメライターとしても執筆中。
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