作られたSNSの光と心の暗がりを映し出す『銀河の一票』第6話。「透明性」を問う暴露系YouTuberの登場と、目に見えない絆に葛藤する黒木華の現在地
都知事選に向けて物語が動き出した “選挙エンターテインメント”ドラマ『銀河の一票』(毎週月曜 午後10:00~/カンテレ・フジテレビ系全国ネット)。その第6話が5月25日に放送されました。
大物政治家の父・鷹臣(坂東彌十郎)の不正を疑ったことで秘書の仕事も家も失った星野茉莉(黒木華)が、出会ったスナックママの月岡あかり(野呂佳代)に都知事選への出馬を打診するところから始まったこのドラマ。
第5話では、「選挙の天才」と呼ばれる五十嵐隼人(岩谷健司)がかつてサポートし、無名の新人ながら西多摩市長選に当選した経験を持つ雲井蛍(シシド・カフカ)が、あかりの都知事選出馬に力を貸すことが決まりました。一方で、この都知事選で本命視されている民政党・日山流星(松下洸平)も動き出します。さらに彼を支える同党幹事長・鷹臣の影響力も政界に響き始め、茉莉の推す候補者・あかりとの対決が激しさを増します。
第5話では、「選挙の天才」と呼ばれる五十嵐隼人(岩谷健司)がかつてサポートし、無名の新人ながら西多摩市長選に当選した経験を持つ雲井蛍(シシド・カフカ)が、あかりの都知事選出馬に力を貸すことが決まりました。一方で、この都知事選で本命視されている民政党・日山流星(松下洸平)も動き出します。さらに彼を支える同党幹事長・鷹臣の影響力も政界に響き始め、茉莉の推す候補者・あかりとの対決が激しさを増します。
『銀河の一票』第5話 松下洸平
そして第6話では、出馬表明を告示日の 1週間と決めた「チームあかり」が本格始動。あかりの知名度アップのため、茉莉は「ネットでバズらせる」ことを発案。そこで、政治家への突撃取材や裏社会の闇に迫る暴露系YouTuberの透(渡邊圭祐)に協力を依頼し、“禁断のSNS戦略”に乗り出しました。
暴露系YouTuber「ブライトブラインド」の透の存在
『銀河の一票』第5話 渡邊圭祐
今の私たちの生活には、YouTube、X(旧Twitter)、Instagram、TikTokなどが浸透しています。そこには友人や知人だけではなく、有名人、見知らぬ人など様々な人の動画や写真が投稿されています。仕事の順調さや充実した暮らしぶり、豪華な食事、高価な物品などが映っていると、華やかでキラキラして見えます。でも、そうした日々を投稿していた人が、実は「金銭トラブルを抱えている」「私生活がうまくいっていない」など厳しい事情に見舞われていることも決して少なくありません。そうした“現実”が明かされると、「あんなにうまくいっているように見えたのに」と驚いてしまいます。
第6話では、そうした“見えているもの”と“見えないもの”、さらに“見えていないふりをしていたもの”について語られていました。
序盤では、様々な根回しやストーリー作りを行って連立与党からの推薦を確保するなど、都知事選に向けて順調な滑り出しを見せた日山について、東西新聞記者・雨宮楓(三浦透子)は上司とのLINEの中で「自作自演大成功すね」と皮肉を言い、上司から「お前、それ絶対言うなよ!」と電話が入ります。日山陣営が自作自演をして追い風を作ったことは、記者たちはみんな気づいています。ただ、関係性を壊さないために“見えていないふり”をしているのです。
そのような誰もが“見えていないふり”をしている出来事に切り込んでいくのが、暴露系YouTuberの透の存在です。彼はもともと目が不自由な相棒・明と、「ブライトブラインド」という名前でYouTuberとして活動。目が不自由な人の“世界”を発信して多くの視聴者を獲得しましたが、その矢先、明は事故でこの世を去ります。以降、透の動画は過激になっていきました。
「ブライトブラインド」というチャンネル名や“透”と“明”という名前自体が“透明性”を表すものとなっており、世の中の“見えているもの”はもちろん、“見えないもの”にもスポットライトを当ててつまびらかにする意味を持っています。透の暴露系の活動もまた、賛否はともかくとして、そうした意思を持つものと言えます。
キラキラ投稿と現実の落差で、憧れが失望に変わることも
『銀河の一票』第5話 渡邊圭祐
また透自身は、心の中に広がる暗がりと葛藤しながら、その見た目の良さから周りにちやほやされて生きてきました。彼は、自分に寄って来た人たちに「勝手に期待されて、勝手にがっかりされて、勝手に嫉妬されて…」と“見えているもの”と“見えないもの”のギャップを勝手に作られていたと言います。
前述したように、SNSでは他人のキラキラした生活を見ることができ、その様子に憧れる閲覧者も少なくありません。でもキラキラした投稿と現実や実態が大きく異なると、憧れは失望に変わることがあります。なにより“見えるもの”はいくらでも自作自演が可能です。私たちに“見えているもの”の中には、そうした"演出されたキラキラ”も少なからず含まれているのかもしれません。
第1話からたびたび描かれてきた、車椅子生活を送っている鷹臣の妻・星野桃花(小雪)のキラキラした SNS 投稿とそれに対する世間の反応や、このドラマのレビュー連載で何度か触れた「点字ブロックの意味」も、第6話で色濃く表現された“見えているもの”と“見えないもの”に重ねて考えると、より象徴的に感じられるのではないでしょうか。
一方で茉莉は、仲間であるはずの五十嵐に対しても心から信じきれない反応を見せます。これもまた、過去の苦い記憶もあり、仲間の絆(きずな)という“見えないもの”への疑問が拭いきれないことを表しているように見えます。そのような気持ちを“見えないふり”するのは、今の茉莉には抵抗感があるはず。それをどのように乗り越えていくのか、今後の展開が気になります。
『銀河の一票』第5話 黒木華
文:田辺ユウキ
芸能ライター。大阪を拠点に全国のメディアへ寄稿。お笑い、音楽、映画、舞台など芸能全般の取材や分析の記事を執筆している。
芸能ライター。大阪を拠点に全国のメディアへ寄稿。お笑い、音楽、映画、舞台など芸能全般の取材や分析の記事を執筆している。
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