北海道・余市町の「
Domaine Takahiko(ドメーヌ・タカヒコ)」で栽培醸造する曽我貴彦さんのワインはノルウェーのnoma(ノーマ)という「世界一」といわれたレストランにオンリストされるなど、海外でもその名を轟かせています。
余市町は「ラ・フェット」という、ワインブドウ生産者たちの畑でワインを飲むイベントを開催するなどワインツーリズムに力を入れていて、ワイングラスカンパニーのリーデル社と包括連携協定や世界有数の銘醸地であるフランス・ブルゴーニュのジュヴレ・シャンベルタン村と親善都市協定を結ぶなど、自治体と生産者が一体となってワイン産業に力を入れています。
「日本固有ブドウ品種にも素晴らしいものがある。まずは比較しやすい国際品種で世界に認められて、日本ワインが面白いって思ってもらえたら、きっとその次には日本固有品種に興味を持ってもらえるはず。そうやって日本ワインが世界で評価されたら、また日本でもファンが増えますよね」。
曽我さんは、世界がまねできない、日本独特の、北海道でしか出せない風味のワインで世界と勝負するために、あえてブルゴーニュスタイルで土地の個性を生かしたワインを作るという戦略を立てています。
これまで輸出に興味がなかったという曽我さんは、地域振興において自分が何をするべきなのか、何に誇りを持ってとり組むべきなのかを考える中で、グローバルな視点を持つことの大切さに気づいたと言います。スーパーで海外のワインが1,000円で買えるなか、日本ワインの価格はやや高く感じます。しかし品質が世界レベルに到達した今、どんな付加価値をつけるのかということが大事だと思っています。
「世界はきっと土地が狭い日本のワインに安さは求めていないと思うんです。私たちには世界中が憧れる、まねできない食文化がある。日本の食に一番寄り添えるのは日本独特の風味がするワイン。雨と土を生かして作ったどこの国にも作ることができない個性あるワインに自信を持つことで、ワクワクする世界がもっと広がる予感があります」と目を輝かせます。