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さらなる高みへ、大阪で日本ワインイベント開催される

2025.03.06

さらなる高みへ、大阪で日本ワインイベント開催される
2025年3月2日(日)〜3日(月)の2日間、大阪市大正区の京セラドーム大阪スカイホールで日本ワインのイベント「MEET  THE WINE in Osaka 2025」が開催されました。
このイベントはワインの業務卸を中心に、大阪市中央区内に島之内フジマル醸造所というワイン醸造所をもつ株式会社パピーユが開催。日本ワインだけを集めた業界向け&一般参加ありの試飲会イベントです。
京セラドーム大阪スカイホールで一般参加も入れたイベントは今年で2年目。60社ものワイナリーがブースを出し、1,000名の一般枠は早々に埋まり、参加できなかった人も多くいたようです。

「MEET THE WINE in Osaka 2025」会場の様子

メディアでも「日本ワインブーム」といった文字が踊ること久しく、なんだか気になる日本ワイン。2022年12月末の段階で日本国内においてワインを作っているのは468社(国税局調べ)。その数は年々増えています。
実は関西でもワイン作りの歴史が深い大阪の柏原市を中心に20軒ほどのワイナリーが存在します。

大阪・羽曳野市内にワイナリーを持つ「飛鳥ワイン」は開業して100年近い歴史があります。大阪の南河内と呼ばれる地域は古くから食用ブドウの栽培が盛んでした。その土地の利を生かしてワイン用ブドウを栽培し、ワインを作るのは必然だったのかもしれません。「大阪は意外に雨が少ないんです。そして温暖でブドウが育てやすい。自社畑ではデラウェアを中心に白ブドウ品種を育てています。飛鳥ワインではフランスのシャンパーニュと同じ製法で作ったスパークリングワインが一押しです。日本ワインコンクールで2年連続金賞をいただいたものもあります。“飛鳥デラウェア2024”は甘口で、ワインが苦手な方におすすめです」と飛鳥ワインの福井哲史さん。
新潟市の「カーブドッチワイナリー」で醸造を手がける掛川史人さんはワインラバーやワイン造りを目指す人たちの中では有名人です。昨春にはブドウ畑の中にテーブルと椅子をセッティングし、カーブドッチのワインとフードを楽しむイベント「ヴィンヤーズフェスタ」を開催。ワイナリーの敷地内には醸造所を中心に畑や温泉、オーベルジュ、ショップなどを併設、一大ワインテーマパークさながらです。 
掛川さんは「新潟は元々日本酒文化が根強い地域ですが、海岸近くの砂地を利用して約30年ほど前にワイナリーを開設しました。ジェラートや温泉を目的にいろんな方が訪れることでワインとの接点を広げたい。ワインは知識と経験があると面白さが深まるところがありますが、“楽しい”“幸せ”といった感情にアプローチすると、ハードルの高さを感じる人でも親しみやすくなると思っています。日本ワインのいいところは生産者と日本語で会話ができるところ。作った人の話を聞きながら飲むワインはやっぱり格別だと思います。」と語ります。

会場に来ていた20代の男性も「どうして味が違うのか作り手の方に直接お話しを聞いたら、よりおいしく感じました」とイベントを満喫している様子。
北海道・余市町の「Domaine Takahiko(ドメーヌ・タカヒコ)」で栽培醸造する曽我貴彦さんのワインはノルウェーのnoma(ノーマ)という「世界一」といわれたレストランにオンリストされるなど、海外でもその名を轟かせています。
余市町は「ラ・フェット」という、ワインブドウ生産者たちの畑でワインを飲むイベントを開催するなどワインツーリズムに力を入れていて、ワイングラスカンパニーのリーデル社と包括連携協定や世界有数の銘醸地であるフランス・ブルゴーニュのジュヴレ・シャンベルタン村と親善都市協定を結ぶなど、自治体と生産者が一体となってワイン産業に力を入れています。

「日本固有ブドウ品種にも素晴らしいものがある。まずは比較しやすい国際品種で世界に認められて、日本ワインが面白いって思ってもらえたら、きっとその次には日本固有品種に興味を持ってもらえるはず。そうやって日本ワインが世界で評価されたら、また日本でもファンが増えますよね」。
曽我さんは、世界がまねできない、日本独特の、北海道でしか出せない風味のワインで世界と勝負するために、あえてブルゴーニュスタイルで土地の個性を生かしたワインを作るという戦略を立てています。
これまで輸出に興味がなかったという曽我さんは、地域振興において自分が何をするべきなのか、何に誇りを持ってとり組むべきなのかを考える中で、グローバルな視点を持つことの大切さに気づいたと言います。スーパーで海外のワインが1,000円で買えるなか、日本ワインの価格はやや高く感じます。しかし品質が世界レベルに到達した今、どんな付加価値をつけるのかということが大事だと思っています。
「世界はきっと土地が狭い日本のワインに安さは求めていないと思うんです。私たちには世界中が憧れる、まねできない食文化がある。日本の食に一番寄り添えるのは日本独特の風味がするワイン。雨と土を生かして作ったどこの国にも作ることができない個性あるワインに自信を持つことで、ワクワクする世界がもっと広がる予感があります」と目を輝かせます。
このイベントを企画する(株)パピーユの代表取締役・藤丸智史さんは日本ワインの流通を促すとともに一般消費者と生産者の接点を作りたかったと語ります。
「醸造技術でみると日本のレベルはかなり高いと思います。栽培には年月がかかるので今からどんどんブドウの木が充実してきてさらに質が高くなると期待しています。日本らしさ、北海道らしさ、大阪らしさというワインが出てきて、もっと南北の風土の違い、それによる味の個性を楽しめるようになると思います。国内ならすぐに生産地を訪問できますし、手に取るようにその地区のワインを理解できて楽しいと思います」。

生産者と参加者が直接会話ができることがこのイベントの特徴。ワインをつくる人となりや思いが伝わってファンになってもらえたらという願いが通じたのか、どのブースも人がいっぱい。参加者全員が新しいワインとの出会いを楽しんでいるように見えました。
エチケット(ワインラベル)も個性的。ジャケ買いで日本ワインに挑戦してみるのもひとつですね。
miyoka
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