前年は5日間で完売！阪神百貨店で行列の「シュトーレン」特集、その人気の理由とは？

百貨店「阪神梅田本店」（大阪市北区）1階の「食祭テラス」で2025年12月3日（水）、クリスマス企画『パン＆シュトーレンクリスマス2025』がスタートしました。初日から大勢の人が棚の前でシュトーレンを吟味しており、午後には売り切れや品薄になる商品が出るほどの人気です。

◆ドイツの伝統菓子・シュトーレンとは？

シュトーレンとはドイツの伝統的な発酵菓子で、バターがたっぷりと入った生地に、ドライフルーツやナッツ、スパイスなどを練り込み焼いたあと、溶かしバターに浸して砂糖をまぶしたものです。

通常のパンに比べて時間をかけて贅沢（ぜいたく）に作られており、バターやドライフルーツが生地になじんで熟成していく過程も楽しめます。ドイツでは、クリスマスの約４週間前からスライスして少しずついただき、キリスト生誕の日を待ちます。

「阪神梅田本店」（大阪市北区）賑わうシュトーレン売り場（2025年12月3日撮影）

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売り場担当者は、「最近はバリエーションも増え、それに伴ってお客さまがそれぞれお好きなように召し上がっていますね。飲み物も、紅茶やコーヒーだけでなく、チョコやフルーツ多めならワインと合わせたり、ナッツ系はシングルモルトやブランデーなどの洋酒と合わせて楽しむ人も増えてきているようですよ」と話します。

◆いろんな味を楽しむ、「カット売り」スタイル。

少しずつスライスしながら食べるシュトーレンですが、日本ではより気軽に、よりバリエーション豊富に進化したことで楽しむ人が増えているようです。そのひとつが「カット売り」という、小分けにされた販売スタイルです。

「阪神梅田本店」（大阪市北区）いろいろなシュトーレンが楽しめる（2025年12月3日撮影）

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スライスしたシュトーレンを１枚ずつ購入できる「カット売り」は3年ほど前から力を入れており好評だそうです。1本あたり2,000〜4,000円ほどするため、リーズナブルな「カット売り」でいろんな味を試して、気に入ったショップのシュトーレンを再来店して１本買いすることも多いとのこと。

また、カット売りが人気の理由には、味のバリエーションが増えていることもあるようです。「最近は定番のプレーンのほか、抹茶、ほうじ茶、りんご、いちごなどの個性を出したものが増えてきています。種類が選べて自由になったことでよりシュトーレンが楽しめるようになったというのもありますね」（売り場担当者）と、「カット売り」で多彩な味を気軽に食べ比べができることも魅力になっていると分析します。

バリエーション豊富なシュトーレンを少しずつ楽しめます（左上から時計回りに、ショコラ、ベリー、ほうじ茶、いちご）

◆実は個性豊かなシュトーレン、和素材も人気。

定番のシュトーレンも、スパイスの香りや強さ、洋酒に漬け込まれたフルーツの種類や量、マジパン（アーモンドと砂糖のペースト。リッチ感がプラスされる）の有無で味が変わります。店頭には、商品ごとにシュトーレンの個性がわかりやすく書かれた説明がついています。

たとえば「パティスリー　ベルクルール」（兵庫・宝塚市）の『シュトーレン』には「ラム酒の風味豊かな、マジパン入りのシュトーレン。しっとり食感に仕上げており、たっぷりのドライフルーツと馴染んだ生地は、試作を何度も重ねて完成しました」と記載されていました。

ほかにも、「トゥールブランシュ」（奈良市六条西）の『丹波黒豆と宇治抹茶の和三盆シュトーレン』には、「和の素材とオレンジ・クランベリー・レーズン・くるみとの調和に試作を重ね…」とあり、「パン屋のグロワール」（大阪市旭区）の『りんごのシュトレン』には「紅玉をドライフルーツにして洋酒に漬け込みました」と記されるなど、作り手の思いが垣間見られます。これらの説明からそれぞれの個性が読み解けるので、参考にしながら好みのタイプを探したいですね。

大阪市内から訪れたという女性は「今はシュトーレンのバラエティーが豊富になっていますね。個人的にはナッツがゴロゴロ入ったのが好きなんですけど、もともとドイツのものだから、栗（くり）とかほうじ茶とか抹茶の和の食材が気になってどれにするか迷っています」とコメント。

そして、「1本だとどっしりしていて一人では食べきれないので、一切れサイズが本当にありがたいです。少しずつカットして熟成も楽しみたいので、ハーフとカットを購入しようと思います」と話し、イベント終了までにまた来るかもしれないと笑顔で話しました。

『パン＆シュトーレンクリスマス2025』は、2025年12月3日（水）から8日（月）までの６日間開催。昨年は最終日を待たずにほぼ売り切れてしまったため、今年は3割増の在庫が用意されているそうです。とはいえ、作るのに時間がかかるシュトーレンは商品追加が難しく、売り切れ次第終了となり、カットシュトーレンはすでに品薄状態とのこと。いろいろ試してみたい方は、早めの訪問がおすすめです。

文／太田浩子
「美味しい」＆「楽しい」関西の魅力をご案内。プライベートでは和菓子にハマっています。