行ってみよか

前衛の楽しみ方「走泥社再考 前衛陶芸が生まれた時代」レポート

2023.09.08

前衛の楽しみ方「走泥社再考 前衛陶芸が生まれた時代」レポート
週末は京都で1日遊ぼう
京都市営地下鉄東西線の東山駅から平安神宮に向かって8分ほど歩いたところに京都国立近代美術館があります。
鳥居に向かう神宮道は両脇にお菓子屋さんや器や小物を売るお店がたくさん並んでいて、キョロキョロしながら歩くとあっという間に到着します。
今日のお目当ては美術館で開催中の「走泥社再考 前衛陶芸が生まれた時代」。
前衛陶芸って字面から受ける印象もあって難しそうだけれど、大阪が世界に誇る「太陽の塔」の作者・岡本太郎も前衛芸術の活動のなかで陶芸作品をたくさん作っていますね。「芸術が爆発しちゃった。それが前衛かな」なんて思うとちょっと楽しくなりませんか?

八木一夫《二口壺》
1950年 京都国立近代美術館蔵

走泥社は1948年に京都・五条坂の製陶業を営む陶芸家たちで結成されたグループだそうです。当時の日本の陶芸といえば、中国や朝鮮の流れを汲んだものが多く、「そこにあんたはおるんか?」といった、自己表現よりも様式美を追求する作品が大勢を占めていた気がします。
でも、同時期に作陶していたパブロ・ピカソなんかは爆発しちゃっていて、心が赴くままに成形した土をキャンバスに見立て、絵筆を自由に走らせた作品をたくさん作っています。そんな作家たちに影響を受け、走泥社のメンバーも自身の心象風景を具象化させ、「オブジェ焼き」を世間に認知させていくのでした。
今回のこの企画展は、当時影響を与えたイサム・ノグチの作品から始まり、京都を起点に前衛陶芸が花開いた時代を振り返る展覧会になっています。

八木一夫《ザムザ氏の散歩》
1954年 京都国立近代美術館蔵

見方が難しいと思われる方は、例えば作品を先に見て、自分だったらどういう題名をつけようかを考える「タイトル付け遊び」をこっそりしてみるというのはどうでしょうか?作家の意図と自身が受けた印象が違っていても気にしない。題名を知ってまたその作品と向き合ってみたら見える風景が違ってくるなんて、2倍楽しいですよね。
会場には、曲線や直線が入り混じった花器や「え、これ何に使うの?」といったオブジェまでたくさん展示されています。正面から見て、次は横から、そして上から後ろから。360度鑑賞して自分なりの解釈で自由に楽しんでくださいね。
子どもと一緒だったら「これ何に見える?」と言った対話が生まれるのも前衛ならではの楽しみ方かもしれません。

最後の部屋は“爆発しまくり前衛陶芸の森“となっています。

鈴木治《数の土面》
1963年 福島県立美術館蔵

想像を巡らせる旅の翼を閉じた後は、1階のカフェで糖分を摂取しましょう。
cafe de 505(カフェ・ド・ゴマルゴ) 京都国立近代美術館店では、この展覧会とのコラボメニュー「抹茶ティープレート」(1,880円)を提供。
抹茶パフェに抹茶スフレと展覧会特製の走泥社どらやきがセットになっていて、ドリンクは抹茶、コーヒー、紅茶から選べます(なんとコーヒーと紅茶はおかわり自由!)。
カフェ前の緑を眺めながら、おひとり様なら「あ、あの作品好きだったな〜」とか「私はどうやって自己表現できるのかな〜」なんてことをぼんやり考えたり、子どもや友人と一緒だったら「どれが好きだった?」とか「あれはどういう意味だと思った?」といった会話と共にアフターも充実。入場券があれば100円引きになります。
そして今日と明日(9/9)は文化庁京都移転記念事業「きょう ハレの日、」として美術館がある岡崎エリアでは神宮道でのパフォーマンスや光のアートや縁日など楽しい企画がいっぱい。
美術館も「きょう ハレの日、」(https://kyo-harenohi.com/)に合わせて9/9は夜間開催(午後8時まで)されます。
まだまだ暑いですが、京都でひと足先に芸術の秋を楽しめますね。


「走泥社再考 前衛陶芸が生まれた時代」
【会期】2023年9月24日(日)まで
【開館時間】午前10時~午後6時
※金曜日と9月9日(土)は午後8時まで開館
【休館日】月曜日(ただし9月18日(月・祝)は開館)

京都国立近代美術館
京都市左京区岡崎円勝寺町26-1
075-761-4111(代表)

公式オンラインチケット
https://www.e-tix.jp/sodeisha/
HP
https://www.ktv.jp/event/sodeisha/
miyoka
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