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『マウンテンドクター』岡崎紗絵「山岳での緊急オペは典子のターニングポイント」

2024.07.22

『マウンテンドクター』岡崎紗絵「山岳での緊急オペは典子のターニングポイント」
ファッションモデルのみならず、俳優としても大活躍する岡崎紗絵さんが『マウンテンドクター』で麻酔科医・村松典子を演じています。MMT(マウンテン・メディカル・チーム)に加わることになった典子に、岡崎さんはどのように向き合っているのでしょうか。杉野遥亮さん演じる主人公・宮本歩の幼なじみ、典子を演じる上での工夫や、撮影現場でのエピソードを語っていただきました。

―― 村松典子は、とても明るい性格をしていますが、実はお母さんに内緒にしていることがある複雑な役どころだとお聞きしました。演じる上で心掛けていることはありますか?

典子は、自分の弱みや抱えている暗い部分をあまり表に出さないタイプの性格だととらえています。典子の弱みは一人になったときに現れるものだと思うので、MMTメンバーと接するときは、あっけらかんとした快活な女性として振る舞って、典子の弱みをあまり意識しないようにしています。
ドラマの後半に差し掛かると、親との対立など、さまざまな状況になります。そういった場面では典子の内面が表に出てくることもありますが、ドラマの序盤ではあまり表に出さないようにしています。
―― 麻酔科医としての典子の見どころは?

麻酔科医は非常に専門性の高い分野で、麻酔の入れ方や薬剤の投与方法など、手術中は患者さんの全身状態(意識、血圧、心拍数、呼吸数、体温などの患者の状態)を幅広く見ていないといけなくて、私も知らなかったんですけど、本当に広い視野が必要な仕事です。オペのシーンでは外科医のほうが華やかかもしれませんが、麻酔科医は手術中の呼吸状態や患者さんの持病など、多くの情報を把握する必要があって、モニターをずっと監視して、手術をコントロールしている。すごい技術だなと思います。
―― 典子はお母さんの思いとは裏腹に、麻酔科医の道を選んだんですね。

そうなんです。典子は親の思いを知った上で、あえて麻酔科医を選びました。典子が麻酔科医になりたかった理由はドラマの後半で明らかになります。親子の思いの違いが、ドラマ後半でぶつかり合うシーンにつながっていきます。

―― 典子は不本意ながら山岳医療に足を踏み入れていきますが、次第に山岳医療の意義や、チーム内での麻酔科医としての自分の存在意義に目覚めていくという役どころだと思います。初回と展開が進んだ先で典子が見せる成長をどのように演じていこうと考えていますか?

麻酔科医も激務なのに、そこに加えて山岳医療も、となると本当に大変です。典子が突然MMTに招集されて驚くのは当然だと思います。でも実際に山岳医療の現場に身を置いてみると、山の上でも医療が必要とされている状況があって、典子自身、そこで初めて気づくことがたくさんある。最初は本当にやる気がないんです(笑)。でも第2話で、山荘でオペをしなければ遭難者が死んでしまうような緊迫した場面を迎えます。歩だって専門は整形外科医だから、外科的処置をするなんてすごいことなんですけど、各科の垣根を越えてでもすぐに命を救おうとする、そういった状況が典子のターニングポイントになったのかなと思っています。
―― 撮影待機中のマイブームや流行っていることがあれば教えてください。

医療ドラマって、いろいろと装備品が多いんです。手術着などを付けたり外したりするのが大変で、真夏の撮影に向けて暑さ対策を考えなければと思っているところです。現場ではミニ扇風機を用意していただいていますが、冷えピタを貼るなどの工夫もしています。
それから待機中にすぐに食べられるものがほしいと思っていて、最近は干し芋を食べています。手軽だしヘルシーで気に入っています。

―― 岡崎紗絵さんはモデルとしてもカリスマ的な人気を誇っていて、さまざまなスタイルのファッションを着こなしておられますが、ファッションの観点からドラマをとらえたところがあれば教えてください。

トレッキングシューズや登山用ウェアなどの本格的な装備は初めてで、とても派手な色使いが印象的でした。遭難対策のためなのか、カラフルなグッズが多いですよね。さらにファッション性を加えるなら、例えばラインストーンを使ったトレッキングポールがあると面白いかもしれません。めちゃくちゃキラキラした(笑)。「これを持っているのはあの子だけ」とわかるような、特徴的な持ち物があると遭難対策にもいいかもですね。アイテムから気分を上げていくというのは、とても大切だと思います。

―― 登山のご経験はありますか?

撮影前に、静岡の小さな山に登りました。慣れていない身にとっては、小さな山でもかなりきつかったです。典子のように最初は大変でしたね。徐々に慣れていくんだと思いますが、自分も典子と同じだなと感じました。

―― いろんなインタビューやイベントで、ブルース・リーの「水になる」という言葉が大好きで、色や形をいかようにも変えられる水のような俳優になりたいと語っておられますが、この数年を振り返ってみていかがでしょうか?

過去の作品、特にテレビドラマでは、典子のような正義感が強くて、白黒はっきりした物おじしないまっすぐな女性を演じる機会が多かったです。
しかし、映画『緑のざわめき』で演じたストーカー役は、今までとは全く異なる役柄でした。快活ではつらつとした女性とは真逆の役で、初めての経験だったのでとても楽しかったです。ストーカーの心理を理解するのは難しかったですが、ストーカー本人は自分がストーカーだとは思っておらず、好きすぎるあまりに結果的にストーキング行為をしてしまう。今まで知らなかった感情や自分の中の新たな一面を発見できた気がします。この役は、まさに「水になる」という意味で新しい挑戦だったと思っています。
miyoka
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