紅葉狩りなど、そろそろ秋のおでかけを計画されている方も多いのではないでしょうか。今回はおでかけ先の候補として、秋限定のすてきな御朱印を授与している関西の5寺社をご紹介。各寺社がオリジナルの限定御朱印を用意するに至った思いもお伝えしますので、参考にしてください。(画像は全て各寺社より提供)
ゆかりの梅型切り絵御朱印に、秋の新色「大阪天満宮」(大阪市北区)
千年以上の歴史がある「大阪天満宮」は、天神祭でよく知られており、「天神さん」と親しみを込めて関西の人に呼ばれています。主祭神は、学問の神様として広く信仰を集める菅原道真公です。菅原道真公は、5歳の時に庭の紅梅を見て歌を詠み、11歳で漢詩「月夜見梅花」を詠んでいます。
そんな同社が授与している御朱印は、天神様に縁の深い梅の持つ繊細さを表現した梅型に色箔(いろはく)を施し、季節ごとに季語を添えた『梅型切り絵朱印』です。
「コロナ禍の規制が緩和されてご参拝なさる方々が平素の状況に戻りつつある中で、その当時は神社仏閣への参拝記念に御朱印を収集するという機運が高まっておりましたので、御参詣のみなさまにお喜びいただければという想いで考案いたしました」
「『梅型切り絵朱印』頒布の始まりは令和6年(2024年)4月からではありますが、当宮ではこちらの切り絵朱印だけではなく多種にわたる限定朱印を頒布して参りました。これより後も益々にみなさまの心が煌(きら)めくような御朱印を考えて参りますので、ご参拝にあわせてお楽しみいただければと思います」(大阪天満宮)
梅型の御朱印は、四季・梅の季節・お正月と季節ごとに6種類あり、隔年で色の変更も検討されています。参拝の記念に全色を集められてはいかがでしょうか。
【基本情報】
所在地:大阪市北区天神橋2-1-8
拝観時間:自由参拝
御朱印初穂料:1000円(郵送不可)
秋御朱印授与期間:通年(なくなり次第終了)
御朱印好きが集まる「南宮宇佐八幡神社」(脇浜神社)(神戸市中央区)
1336年創建で通称・脇浜神社として知られる「南宮宇佐八幡神社」で、毎月用意される限定御朱印が、御朱印好きに人気です。11月は、紅葉が美しい見開き手書き御朱印のほか、もみじやイチョウが舞う透明御朱印など全5種類が用意されています。
ただし、御朱印を授与所でいただけるのは、毎月“ついたち”のみ。つまり、11月の御朱印は11月1日にいただけます。この日に参拝ができなくても、11月15日までに現金書留で申し込めば郵送の対応もしてもらえます。毎月魅力的な御朱印が用意されますので、次は12月1日に授与される冬の御朱印を目指しましょう。
「当社では毎月季節に合わせたデザインに変わる御朱印をご用意しております。そのうちの一つが、令和3年(2021年)4月から開始した透明の用紙を使用した御朱印です。『美しいデザインに仕上げれば、お参りにきてくださる方が喜んでくれるかな?』と考えて、試行錯誤の末に完成させました。最初は紙以外のものを御朱印として出すことに緊張しましたが、今では多くの神社が透明御朱印を取り入れてくださるのを見て世間に受け入れられたことをうれしく思います」(南宮宇佐八幡神社)
「南宮宇佐八幡神社」(神戸市中央区)ハートの御神木とハートの木のお守り
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ハートの形のクスノキの御神木を背景に、御朱印の写真を撮るのもおすすめです。この御神木は、2本の枝に茂った葉で自然にハートの形になりました。現在は真心を込めて手入れをしながら多少整えているそうです。
「(神社の)近くには安藤忠雄氏の設計である兵庫県立美術館やアート作品が点在する海沿いのなぎさ公園などがあり、お参りだけでなく“芸術の秋”も合わせて楽しめるエリアです。授与所が開くのは1日だけですが、参拝はいつでも可能ですので、ぜひハートの木を見にお越しください」(南宮宇佐八幡神社)
【基本情報】
所在地:兵庫県神戸市中央区脇浜町2-3-6
拝観時間:自由参拝
御朱印初穂料:①見開き御朱印…1,000円、②透明御朱印1…500円、③透明御朱印2…500円、④黒御朱印…500円、⑤切り絵御朱印秋…1,000円
11月御朱印授与期間:授与所は11月1日のみ、11月15日までは郵送受付
『恋人の聖地』で実りの御朱印「露天神社(お初天神)」(大阪市北区)
1200年の歴史があり、「お初天神」の名で有名な「露天(つゆのてん)神社」は、大阪・梅田から徒歩圏にある街中の神社です。映画『国宝』で再注目されている近松門左衛門の歌舞伎・人形浄瑠璃『曽根崎心中』で、主人公のお初と徳兵衛が心中した場所としても知られています。
露天神社の秋季限定御朱印は、「実りの稲穂を金箔にて表現いたしました。稲穂を描くということで、当社境内末社の『開運稲荷社』を背景とし、社殿の軒には2匹のキツネが、お初・徳兵衛を見守っています。この御朱印は、当社『お守り札』の台紙ともなっております」とのこと。
限定御朱印は、10年ほど前から授与されていて、「月替わり」と「年始限定」があります。春は桜・夏は祭り・秋は月に実り・冬は雪景色などの季節が感じられる御朱印になっています。
「当社は『梅田・曽根崎』地域の総鎮守として1200年の歴史を有しますが、現在では大阪『キタ』のビル街に囲まれる立地となっております。自然あふれる風光明媚(ふうこうめいび)な場所ではありませんが、ほっと一息つける都心のオアシス的存在と言われております。また夜間には、神社が面する御堂筋で葉を落とした銀杏の木など全ての街路樹に、イルミネーションが輝き、それに負けじと境内でもカラー提灯に点灯するなど(17時頃~21時頃まで)、工夫を凝らした様々な照明で彩りを加えております」(露天神社)
【基本情報】
所在地:大阪市北区曽根崎2-5-4
拝観時間:自由参拝
御朱印初穂料:1,000円(郵送不可)
秋季御朱印授与期間: 10月下旬から1000枚限定(なくなり次第終了)
吉野山の秋はうさぎとともに「吉野神宮」(奈良県吉野町)
明治天皇により明治22年(1889年)に創建された奈良の「吉野神宮」は、檜(ひのき)造りの立派な本殿や拝殿が建立されています。吉野山の景色は、桜の時期だけでなく紅葉も素晴らしく秋のおでかけにもぴったりです。
そんな同社の御朱印は、美しい紅葉とうさぎがモチーフになっています。切り絵タイプは、表参道をイメージした紅葉や銀杏の中にうさぎが描かれ、敷き紙で日中と月夜が表現されています。樹木や青空を透けさせて、切り絵御朱印の写真を撮るととても絵になります。
刺繍(ししゅう)タイプは、和紙にうさぎと秋の月と草花が刺繍されていて、優しさやあたたかさが感じられます。どちらも神社の職員さんがデザインしたオリジナルの御朱印です。
「お参りに来られた方の思い出のひとつになればと思い平成30年(2018年)頃より、季節限定の御朱印の授与を始めました。ご縁の動物であるうさぎと、吉野のお山に住んでいる鹿や季節のモチーフを取り入れ、見返した時に訪れた季節や旅の出来事など思いを寄せられるものになればと思い描いています」(吉野神宮)
境内の大鳥居や参道には、たくさんのもみじが植えられていて、色づくと境内を鮮やかに彩り、落ち葉が錦の絨毯(じゅうたん)のように広がります。また、鶴の像があったことにちなみ折り鶴が浮かべられている鶴の手水舎には、紅葉の時期はもみじをグラデーションになるように飾っているということですから必見ですね。
【基本情報】
所在地:奈良県吉野郡吉野町吉野山3226
拝観時間:自由参拝
御朱印初穂料:もみじとうさぎの切り絵御朱印…1500円、秋月とうさぎの刺繍御朱印…1300円(郵送可)
限定御朱印授与期間:切り絵御朱印11月1日から、刺繍御朱印は出来上がり次第(どちらもなくなり次第終了)
神秘的な紅葉の御朱印「高砂神社」(兵庫県高砂市)
境内に能舞台がある兵庫の「高砂神社」は、赤松と黒松が根を共にして支えあっている「相生松(あいおいまつ)」で有名で、能・謡曲「髙砂」の舞台として知られています。夫婦円満や縁結び、商売繁盛、五穀豊穣(ごこくほうじょう)などの御利益があるとされ、多くの人が日々参拝しています。
月ごとの参拝の印(しるし)として、御朱印からも季節感を感じることができるように準備されている11月の御朱印は、「水彩調御朱印(錦秋)」「水墨調御朱印(秋紅)」の2種類。
水彩タイプは、幻想的に紅葉で染まる森の中に佇(たたず)む雄ジカのデザインになっていて、部屋に飾りたくなります。一方、水墨タイプは水墨画の紅葉に、ゴールドの「秋紅」などの文字が書かれた落ち着いたシンプルなデザインにまとめられています。
境内には「相生松」のほか、樹齢千年を超える立派な御神木「いぶき」も。秋は、銀杏の落葉も見どころです。堂々とした本殿や、多くの摂社が点在していますので、境内をめぐってさまざまな神さまに参拝できます。
【基本情報】
所在地:兵庫県高砂市高砂町東宮町190
拝観時間:自由参拝
御朱印初穂料:水彩調御朱印(錦秋)…900円、水墨調御朱印(秋紅)…900円(郵送可)
11月御朱印授与期間: 11月1日から(なくなり次第終了)
取材・文:太田浩子
「美味しい」&「楽しい」関西の魅力をご案内。プライベートでは和菓子にハマっています。
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