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見上愛、奈緒に便乗しボケる深澤辰哉にツッコミ入れる『春になったら』撮影現場

2024.01.22

見上愛、奈緒に便乗しボケる深澤辰哉にツッコミ入れる『春になったら』撮影現場
奈緒と木梨憲武がW主演を務め、親子を演じるドラマ『春になったら』。キャストの見上愛さんに話をうかがいました。

本作は、カンテレが制作する「月10ドラマ」(毎週月曜午後10時)枠で1月15日よりスタートした連続ドラマ。3ヵ月後に結婚する椎名瞳(奈緒)と、3ヵ月後にこの世を去る父・椎名雅彦(木梨)が、それぞれ「結婚までにやりたいこと」「死ぬまでにやりたいこと」をかなえていく日々を描く“ハートフル・ホームドラマ”です。
見上さんは、瞳が大学時代に所属していた写真部の親友・大里美奈子を演じます。同じ写真部の仲間だった岸圭吾(深澤辰哉)への淡い思いを胸に秘めながら、瞳に向けられた圭吾の恋愛感情にも直面する複雑な役どころ。どのように受け止めているのでしょうか。
──美奈子はどんな人物ですか? いま感じていることを教えてください。

衣装から受ける印象は「個性が強い子」ですかね。まっすぐ一本の筋が通っていて我が道を行く感じもありながら、言動はどこか不器用。瞳のことを大切に考える一方で、彼女に思いを寄せる圭吾には冷たく強く当たってしまう。そんな面がすごくいとおしい女の子です。

──美奈子にとって「恋敵」ともいえる瞳を、なぜ大切に思えるのでしょうか?

圭吾に思いを寄せられている瞳には「罪がない」といいますか。彼女はカズマルくん(濱田岳が演じる瞳の婚約者・川上一馬)のことが好きですしね。いろいろ複雑ですが瞳の幸せを考えて、圭吾のことはいったん脇に置いておく。「カズマルくんと幸せになりたい」というのが瞳の願いだから、素直に応援してあげたいのではないでしょうか。

一方で、(監督から)「瞳とカズマルくんがくっついたら、圭吾は瞳を諦めてくれるかも……みたいな期待感も抱えていてほしい」と言われていて。圭吾への思いを誰にも明かさず秘めているからこそ、瞳の味方でいられている側面もある。
友情と恋愛が目の前にあったら、美奈子は「友情」を大切にする人。だからこそ、彼女は秘めた気持ちを瞳と圭吾のどちらにも話せずにいるんだと思います。
──恋と友情を切り分けつつも、そのはざまで複雑な感情にさいなまれるような?

頭ではわかっていながら、言動にうまく表せない。そこが美奈子の不器用さですよね。彼女の複雑なキャラクターが色濃く表れています。

自分的には、美奈子を「悲劇のヒロインにしたくない」と考えていて。片想いの相手が、自分の親友に恋愛感情を抱いている状況はたしかに悲劇かもしれませんが、あまりフォーカスせずにいたいんですよね。その事実だけを受け止めて、不器用にもがきながらも強く生きようとしている女の子でいられたら。奈緒さん、深澤さんとお芝居をする中で、そういう人物像が自然とにじみ出てきているんじゃないかな、とも思います。

──3人の関係性について、監督やスタッフとキャストでお話しする機会はありましたか?

衣装合わせや本読みの時に。そこで決まったのは、あの3人は「大学の中でメインストリームにいなかった」という設定です。監督、プロデューサーさんからは「少し変わり者の3人が偶然に写真部で出会い、たまたま気が合っちゃった……みたいな運命感が欲しい」と言われました。

あと「圭吾への当たりは基本、強い方がうれしい」というリクエストもあって(笑)。仲良し3人組でも、男子1人だと肩身が狭い……みたいな。瞳と美奈子が圭吾をひたすらいじって、時には強く当たって、彼が話すことにも「はいはい」「そうだね〜」と軽くあしらう。女子2人の方が一枚上手(うわて)でオトナ、っていう関係性ですね。

──限られた撮影時間の中で、長年育んできた友人関係を表現するのは大変じゃないですか?

私も最初はそう思っていたんですが、いざ撮影に入ってみたら全然大変じゃなかったですね。現場では奈緒さんと深澤さんが「昔から仲良し」という雰囲気を醸してくださって。私もそんな気がしてくるくらいナチュラルに接してくださるから、気負うことなく同級生の友人になれています。

奈緒さんが会見でおっしゃっていましたが、深澤さんの放つ「俺のこと、いじっていいよ」オーラとか(笑)。深澤さん、そういうツッコミどころを会話の中にいつも忍ばせてくるんですよ。そこを奈緒さんと私が光の速さでツッコむ!カメラが回っていない時の連携プレーやテンポのよさが、セリフまわしにも表れている気がします。

──奈緒さんと深澤さんがボケとツッコミだったら、見上さんはどういう立ち回りで2人に接していらっしゃるんですか?

深澤さんと奈緒さんでボケとツッコミが成立するくらいバランスが取れているので、どちらかに便乗して第2のボケあるいはツッコミをする、便利なポジションに就かせてもらっています。自由に気ままに立ち回らせてもらっていますね。

──最後に。この作品が放つ魅力を、見上さんはどんな点に感じていらっしゃいますか?

やっぱり瞳と雅彦、父娘のやり取りではないでしょうか。制作発表で奈緒さんと木梨さんが醸し出していた、あのやわらかい空気感がもうひとつの「答え」といいますか。真ん中にいらっしゃる主演のお2人が何より「楽しくやろう」と感じているのが伝わりますし、もう仲のいい親子にしか見えないくらい、裏でもずっと仲良しで。そんな朗らかであたたかい雰囲気が、きっと画面越しに視聴者の皆さんにも伝わるんじゃないかと思います。
最初は、お父さんの死にフォーカスした作品だと考えていたんです。でも完成した第1話を拝見したら「生」に焦点を当てた作品なんだな、と実感して。生は死を内包するというか、「死に方を含めて“生”なんだな」と考えさせられました。人生の分岐点にどう向き合い、登場人物がどんな生き方を選ぶのか──。そういう大切なことに改めて対峙(たいじ)できるのも、このドラマの魅力だと感じています。
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取材・文:岡山朋代
編集・ライター。朝日新聞社「好書好日」、ぴあ各メディアなどで主にカルチャーやエンタメ分野の取材・インタビュー・執筆を手がける。
miyoka
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