『御曹司に恋はムズすぎる』第9話レビュー
第8話のラストで思いが通じ合った昴(永瀬廉)とまどか(山下美月)。「これって付き合うってことでいいんだよな」と確かめる昴に、まどかはにっこりとうなずき、2人は晴れて恋人同士に。昴のうれしそうな笑顔や、2人がそっとつないだ手に幸せのおすそ分けをもらいました。
でも……そんな幸せ気分もつかの間、2人を待ち受けていたのは予想外の運命です。それは、幼いまどかを置いて家を出た母親が、実は服天の東雲社長(筒井真理子)だったこと。まどかは「いちばん憎んでいた人の会社で働いていたなんて……」と、仕事も手につかないほどショックを受けてしまいます。
傷ついたまどかの心をやさしく癒やしたのは昴でした。社員寮に戻れることになった昴とまどかは、一緒に引っ越しの片付けをしたり、買い出しに行って鍋をつついたり……さりげなくまどかを気遣う昴と過ごしながら、笑顔を取り戻したまどかは、改めて仕事を頑張ることを決意できたようです。初々しい恋人同士の甘いやりとりにも心がほんわかしました。
昴とまどかが愛を育む一方で、複雑な表情を浮かべていたのは友也(西畑大吾)です。第9話は「友也回」と言っても過言ではないでしょう。昴と友也のこれまでの絆や、親友として昴の支えになっていた友也の心情が描かれた回でした。
昴とまどかの引っ越しの日は、実は友也の誕生日。昴は「おまえの誕生日だけは毎年祝うと決めている」と言っていたのに、まどかと恋人同士になってそのことをすっかり忘れてしまったよう。
友也は昴とは親友として長年の付き合いがあるだけでなく、自分の親の会社のピンチを昴の祖父・亘(鹿賀丈史)に助けてもらったこともあり、家族以上の絆を感じていたはず。それに、友也は昴の服作りへの情熱や才能への憧れもあったのでしょう。孤独な昴を、友だち以上の存在として支えてきた友也。昴に大切な恋人ができたさみしさからか、友也は「自分がなんのためにここにいるのかわからなくなった」と悩みます。
そんなときに父親の工場が存続の危機に陥ったと知らされ、友也は亘の元へ相談に行きます。しかし、話をしようとした途端、亘が突然倒れてしまい……。実は亘は、自分が病に冒されて先が長くないことを友也に話していたのです。亘から「昴の笑顔を見ていたいから、黙っていてほしい」と頼まれ、「昴を頼む」と託された友也。親友として、昴に亘の病状を黙っておくのはきっとつらかったでしょう。
亘が搬送された病院に駆けつけた昴は「なんで言ってくれなかったんだ!」と友也を責めます。友也の物言いたげな表情に、胸が苦しくなりました。友也の優しさは、このときの昴には届きませんでした。昴もたった1人の家族である亘の命の危機に、激しく動揺していたのですから無理もありません。
行き場のない感情を抱え壁に向かって泣く友也。友也の心が折れる音が聞こえそうなほど、苦しそうです。すれ違ってしまった友也と昴の思いに、切なくて胸が締め付けられるようでした。
Xでは「泣かないで、友也」「友也くん、苦しい選択だっただろうな」「言葉にできない友也の表情に感情移入した」「昴からの誕プレを今も大切にしていて、昴のことを大切に思ってるのがわかる」と、友也に共感する声が多く投稿されていました。
これまでのラブコメから一転、ヒューマンドラマの様相を見せた第9話。亘の危機によって、服天ではなんと東雲社長が会長を兼任することになります。亘の後継者は、昴でも成田(小関裕太)でもなく、東雲社長ということ。そして第9話の最後には、友也にも驚きの変化が。人が良くいつも柔らかな笑顔を浮かべていた友也の顔から、一切の表情がなくなってしまったように見えました。友也、一体どうしてしまったの……!? 昴と友也との絆をまた取り戻してほしい、屈託なく冗談を言ってじゃれあう2人をまた見せてほしい、と願わずにいられません。
文:早川奈緒子
川崎市在住のフリーランスライター。10代の子ども1人の母。「たまひよ」など主に子育て系メディアで取材・ライティングを行う。
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