パラレル夫婦 死んだ“僕と妻”の真実 第11話レビュー
なつめ(伊原六花)とおなかの子どものために自分にできることを考えた末、信頼する仲間たちに協力を依頼した幹太(伊野尾 慧)。すると田村(松倉海斗)は、なつめを幹太の世界に連れてこようとある作戦を思いつきます。その名も「なつめっち&幹太ベビーお迎えプロジェクト」。インドのパラレラー夫婦の記事を読んで思いついたのだという田村ですが、なつめサイドでも同じことを言っていましたよね。
田村の仮説によれば、ミックスは並川家の部屋の中だけで起こるわけではなく、トースターを中心とした半径数メートルの世界で起こるのでは、と。そしてトースターも、幹太サイドとなつめサイドの2個あるはずだと予想しました。
そこで、まずは幹太の部屋のトースターだけを抱えて部屋を出てみる作戦を実行します。続いて、両方のトースターを抱えて部屋を出てみる、トースターだけを遠くに離してみる、など、幹太は心強い仲間たちの協力を得てさまざまな実験をします。
田村の仮説は立証されたものの、どんなことを試してみても、数分でミックスは終わってしまうのです。さらにミックスの時間も数秒ずつ短くなっていることに莉子(齊藤なぎさ)も気づきます。
実験はなかなかうまくいかない一方で、少しずつ大きくなるなつめのおなかの赤ちゃん。幹太も赤ちゃんの名前候補をいくつも考えます。このままミックスが終わってしまうことは避けたいし、なんとか家族3人で過ごせる未来を実現してほしいです。
あるとき幹太はなつめの母・楓(南野陽子)に会いに行き、なつめに会いたいかとたずねました。楓の答えは意外にも「大丈夫、なつめにはいつでも会えるから」というもの。胸に手を当て「なつめはずっとここにいる」と、心の中のなつめと一緒に、前を向いて生きていくことを決心したのだと話す楓。娘の死を受け止め、前を向こうとする母の強さを感じました。そして、幹太からの「なつめもそう思ってくれてますかね」の質問に、楓は「あの子なら大丈夫。私とおんなじでけっこうたくましいの」といたずらっぽく笑います。幹太の世界では、本当ならなつめはもういないんだ、と再確認させられるような言葉でした。
楓の言葉を聞いた幹太が、その帰り道に意を決したような表情をしていることも気になりました。
夜のミックスで、幹太はなつめのために用意したケーキを差し出します。実はなつめの誕生日だったようです。ケーキをほおばるなつめと、愛おしそうに見つめる幹太。2人はドラマ開始当初より、ずっと仲よしな夫婦になりましたよね。ところが、次第に幹太の様子に変化が。妊娠中に気をつけてほしいことをなつめに話し続け、目には涙を浮かべているように見えます。まるで遠い場所に旅に出る子を案じる母親のように。ミックスが終わってなつめが消えたあとには、涙をこぼしながら「なつめ、さよなら」と口にしました。
一体どういうこと……?と思っていると、幹太が突然トースターを床に投げつけたのです。えっ?! どうした、幹太? そんなことをしたら、もうなつめに会えなくなってしまうのでは……。それとも、もうなつめに会わないと覚悟を決めた「さよなら」だったのでしょうか。インドのパラレラー夫婦のように、再び同じ世界を生きることを諦めてしまったの?
これから赤ちゃんも生まれるのに、どうして自分からなつめと会える時間をなくすようなことをしてしまったのか、幹太の行動の真意が気になります。
次回はいよいよ最終回。パラレルワールドで生きる幹太となつめは、また一緒に暮らせるようになるのでしょうか。それとも、このまま別々の世界で生き続けるのでしょうか…。
文:早川奈緒子
川崎市在住のフリーランスライター。10代の子ども3人の母。子育て系やエンタメ系記事の取材・ライティングを行う。
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