パラレル夫婦 死んだ“僕と妻”の真実 最終話レビュー
ついに迎えた最終回、幹太(伊野尾 慧)サイドでは、何やら田村(松倉海斗)と幹太が険悪ムード。トースターを壊して「はじめからそんなのなかった。夢だと思えばいい」と急に諦めたような幹太を、田村はどうしても許せないようです。田村の気持ちはよくわかります。なつめは田村にとっても大事な仲間。幹太のこともなつめ(伊原六花)のこともなんとかしたい、と彼なりに必死だったのでしょう。
一体幹太はどうしてトースターを壊してしまったのでしょうか。丸山(野村康太)のバーでなつめが好きだったカクテルを飲みながら、幹太は「子どもの顔を見たらふんぎりつかなくなると思った。なつめが前を向いて生きていくにはこうするしかなかった」とつぶやきます。
いずれミックスが終わってしまうなら、潔く終えてしまったほうがなつめのためになると考えたのでしょうか。だけど幹太は、立ち寄ったベビー用品店で子どものおもちゃを買ったり、ベビーベッドのことを気にしたり……なつめと子どものことが気になって仕方ないように見えます。
そんな幹太を見守る莉子(齊藤なぎさ)、守谷部長(八嶋智人)、今井(岐洲匠)たちはなんとかトースターを直せないか奔走するものの、方法は見つかりません。幹太を許すことができず、かたくなに協力を拒んでいた田村でしたが、守谷部長から「幹太は一緒に飲みに行っても絶対に11時22分に間に合うように帰ってしまう」と聞き、何かに気づいたような表情に。
そんなある夜、丸山のバーで、莉子たちがトースターを直そうとしていることを聞いた幹太。急いで会社へ戻ると、莉子、守谷部長、今井がトースター修理の状況を話し合っているところでした。3人の優しさを知った幹太は、トースターを壊した理由を「なつめが前に進めるように、未練を断ち切るために壊した」のだと語りました。「でも未練しかない。本当は会いたい」とポロポロ涙をこぼします。なつめのことが大好きすぎる幹太の涙、とても切なかったです。
するとそこへ、大急ぎで駆けつけた田村。手には修理されたらしいトースターを抱えています。「ゴッドハンドの修理工のじいさんに直してもらった」というのです。行きつけのインド料理屋の店長と仲よしだったり、近所にゴッドハンドの修理工がいたり、田村の交友関係の広さには驚きです! ともあれ、田村は「これをもって早く行け!」と幹太を応援し、幹太は走って自宅へ向かいました。
帰宅してすぐに電源をつなぐと、ちょうど時刻は11時22分。なんと、数カ月ぶりのミックスが起こりました。田村、グッジョブ!!!
現れたなつめはソファで生まれたばかりの赤ちゃんを抱いています。「予定日より1週間早く破水して生まれた」とほほ笑むなつめは、すっかりお母さんの雰囲気。赤ちゃんを抱っこして笑顔になる幹太を見て、涙するなつめ。このシーン、涙なしでは見られませんでした。なつめも、いきなりミックスが起こらなくなって不安だったでしょう。「毎晩幹太の夢を見たよ」のなつめの言葉に涙腺崩壊しました。家族3人がやっと一緒の時間を過ごせて、本当によかった〜。
幹太となつめは愛を伝えあい、最後に優しいキスを交わします。そしてこれが最後のミックスに。幹太となつめの世界はつながることなく、それぞれの世界を生きる結末を迎えました。それでも、これからは心の中にある確かな夫婦愛に支えられ続けるのだと思います。
それにしても、不倫に殺人、元カノ疑惑、父親との和解、ミックスの謎……と盛りだくさんの内容だった『パラレル夫婦』。いろんな出来事が起こる中で、3分しか会えない夫婦だったからこそ、相手を思いやったり、本音を伝えて絆を深められたのかもしれない、と感じました。いつか、何十年後かにまた奇跡のミックスが起きて幹太となつめが会えたら楽しそうです。
3カ月間、これまでにないパラレルワールドを生きる夫婦の物語を楽しむことができました。ありがとうございました!
文:早川奈緒子
川崎市在住のフリーランスライター。10代の子ども3人の母。子育て系やエンタメ系記事の取材・ライティングを行う。
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