齊藤京子×水野美紀 W主演『娘の命を奪ったヤツを殺すのは罪ですか?』第5話 レビュー
ママ友いじめによって娘の優奈(大友花恋)を失った55歳の母親・玲子(水野美紀)が全身整形で25歳の新米ママ・レイコ(齊藤京子)に生まれ変わり、ママ友たちに復讐(ふくしゅう)してゆく——というぶっ飛んだストーリーと俳優陣の渾身(こんしん)の演技に中毒者続出中のドラマ『
娘の命を奪ったヤツを殺すのは罪ですか?』(カンテレ・フジテレビ系/毎週火曜よる11時~放送)。
第4話のラストでは、玲子の夫で優奈の父・井上健司(津田寛治)が刑務所から出所するシーンが描かれたが、第5話ではさらに健司の起こした事件の詳細とともに、玲子/レイコ(水野美紀/齊藤京子)一家の秘められた過去が明かされてゆく。
▶健気すぎる!優奈の“秘密”に涙腺崩壊
実は玲子はもともと健司と幸福な家庭を築き、幼い優奈と3人で仲睦まじく暮らしていた。しかしある日、健司が勤めていた建設会社の金を横領した上、社長を殺害した罪で逮捕されるという事件が起こる。
優奈に“殺人犯の娘”という十字架を背負わせたくなかった玲子は、健司と絶縁する道を選び、「父は死んだ」と伝えて育ててきたのだ。
それゆえ、健司が優奈の亡くなった場所で手を合わせる姿を見かけたレイコ/玲子は激しく動揺。健司がなぜ優奈の死を知ったのか探るため、優奈の友人を名乗って声を掛ける。
そこで健司の口から語られた“優奈のある秘密”によって、レイコ/玲子は優奈の自分に対する気遣いと家族への深い思いを知る。
優奈が高校生のときの、とある回想シーン。優奈のなにげない言葉に込められた母への思い。自分には何も言わず、黙っていた娘の気持ちを思うと…。大友花恋のピュアで愛らしい笑顔もあいまって、「優奈、いい子すぎるやろ~」と筆者の涙腺が崩壊!
気づかなかった自分、救えなかった自分を悔いても悔いきれない玲子の喪失感がひしひしと胸に迫る。
▶名バイプレイヤーが演じる父親の知られざる愛と悲哀
第4話の登場シーンでは、険しい顔つきで玲子と優奈を不幸に陥れた“悪者”オーラをビンビンに振りまいていた健司だが、優奈の秘密によって、レイコは彼が家族のことを思い続けながら獄中生活に耐えていたことを知る。
そんな“残虐な殺人犯”と“家族思いのよき夫・父親”という二つの顔を巧みに演じるのは、名バイプレイヤーの津田寛治。
もともとコミカルな役をやらせたらピカイチの人だが、本作ではその持ち味を封印。寡黙な演技を通して、家族のために黙って耐える男の悲哀がヒシヒシと迫ってくる。
▶空のネグレクト母の不穏な企みにゾワゾワ
また、レイコ/玲子が息子として育てる空(佐藤大空)の実の母親のさち(加藤小夏)も見逃せない。
当初はモブキャラ(一瞬だけ登場するキャラクター)かと思われたさちが、偶然レイコを見かけて「近くに住んでたんだ、いいこと考えた」と不穏な笑みを浮かべるシーンも、気になるチェックポイントだ。
ネグレクトしていた空を厄介払いできて喜んでいたネグレクトママ、さちを演じる加藤小夏は、ドラマ『鎌倉殿の13人』で大河初出演を果たし、主演ドラマ『ススキノ・インターン』が2025年の「東京ドラマアウォード」を受賞するなど、女優としても存在感を発揮しつつあるだけに、今後どんなふうにレイコに絡んでくるのか?要注目だ。
ちなみに第5話ラストでは、健司が怪しい男たちに襲われたことを不審に思った成瀬(白岩瑠姫)の調査により、横領殺人事件の驚愕(きょうがく)の真相が発覚! 意外な点と点がつながり、意外な人物たちが重奏的に絡み始めた『娘の命』。単なる「ママ友復讐モノ」では終わらない、スリリングな展開に期待したい。
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