紗春(桜井ユキ)が娘を“虐待”?「子ども」を守りたい聖子(松下奈緒)と父の浮気を隠した息子【ドラマ『夫に間違いありません』】

紗春(桜井ユキ)が娘を“虐待”?「子ども」を守りたい聖子(松下奈緒)と父の浮気を隠した息子【ドラマ『夫に間違いありません』】

松下奈緒主演『夫に間違いありません』第9話レビュー

秘密を抱える者同士による熾烈(しれつ)な出し抜き合いに惹(ひ)きつけられる、ドラマ『夫に間違いありません』(毎週月曜よる10時~放送/カンテレ・フジテレビ系全国ネット)。その第9話が3月2日に放送されました。
遺体を行方不明の夫・一樹(安田顕)と誤認してしまい、生命保険金を受け取ってしまった妻・朝比聖子(松下奈緒)。
第8話では、保険金目当てで夫・幸雄(今里真)を橋から突き落とした葛原紗春(桜井ユキ)が、自身の過去を隠ぺいするため、一連の事件を追う週刊誌記者・天童弥生(宮沢氷魚)に協力。そして事件のキーパーソンである一樹をついに発見しますが、身柄を押さえる寸前で取り逃します。一方、聖子は、紗春が天童と組んでいたことに気づき、以前より紗春に抱いていた不信感が確信へと変わります。
『夫に間違いありません』第9話 桜井ユキ、宮沢氷魚

『夫に間違いありません』第9話 桜井ユキ、宮沢氷魚

第9話では、聖子と紗春の駆け引きがヒートアップ。聖子は、一樹が警察に捕まってしまうと、紗春のやったこともバレてしまうと指摘。聖子は「これ以上、嗅ぎ回らないって約束してくれるなら、私も紗春さんが何をしたか知らないふりをする」と“交渉”を持ち掛けます。紗春も「もし約束を破ったら、あたし、今度こそ何をするか分かんないから」と話を聞き入れます。

しかし聖子は、そんな紗春が娘の希美(磯村アメリ)を虐待しているのではないかと疑いの目を向け、再び彼女の暮らしに足を踏み入れていきます。
『夫に間違いありません』第9話 松下奈緒、磯村アメリ

『夫に間違いありません』第9話 松下奈緒、磯村アメリ

見過ごすことができなかった“子どもの悲劇”

「保険金」という分かりやすい“欲望”が表面化したことで、聖子、一樹、紗春による、身勝手さをはらんだ“大人たちの事情”が展開。筆者は第4話のレビューで、社会的に許されないことに手を染める際、「子どものために」を納得材料に動いていると記述しました。第9話ではその傾向がさらに強く感じられ、胸が痛む瞬間もありました。

特に気になったのは、紗春の娘である希美の存在です。ちなみに希美は、幸雄とその前妻の間の子ども。紗春とは血のつながりがありません。

そんな希美は、聖子の娘・亜季(吉本実由)と一緒にいるときに見せた一つの“怯(おび)え”。聖子は突然の出来事を前に驚きますが、一部始終を見ていた天童は、虐待を受けている子どもに見られる反応であると言います。実際に希美の背中には傷跡があるなどして、それらを隠すためなのか、紗春は希美に健康診断を受けさせていませんでした。
『夫に間違いありません』第9話 宮沢氷魚、松下奈緒

『夫に間違いありません』第9話 宮沢氷魚、松下奈緒

お互いの秘密を守るために、一度は紗春に干渉しないと決めた聖子でしたが、希美の状況を見過ごすことができず、児童相談所へ連絡を入れます。もちろんそれは、聖子も自分自身も窮地へと追い込む行動にもなりかねません。それでも、“子どもの悲劇”に黙ってはいられなかったのです。
『夫に間違いありません』第9話 松下奈緒

『夫に間違いありません』第9話 松下奈緒

つらくても声を上げることができない理由

声を上げることができない子どもたち――。現実社会には、そういう子どもたちも少なくありません。しかし、それぞれの家庭内で起きていることは目に見えづらく、やってあげられることが限られているのが実情です。それを思うと歯がゆいというか、自分の無力さを感じてしまいます。

一方で、つらい日常を送っていても「自分が黙っていれば」と考える子どももいるかもしれません。第9話では、ケースは違いますが、聖子の息子・栄大(山﨑真斗)はかつて、父親の一樹が知らない女性<=のちに一樹が起こした「久留川美人キャバ嬢殺害事件」の被害者・藤谷瑠美子(白宮みずほ)>と親密にしているところを目撃します。偶然目にした父親の裏切りに複雑な気持ちを覚えますが、彼はこう考えます。「誰にも言えなかった。俺が見なかったことにすれば、家族は何も変わらないと思ったから」。

子どもにとって、「いつも通りの日常」が変わるのは大きな恐怖の一つです。子どもは、自分で生活基盤を持てないので、どうしてもよりどころは「親」「家族」になります。しかし、その家族が壊れてしまったら、自分の現在や将来はどうなってしまうのか。その恐れの大きさが、自分が抱えているつらいことに蓋をしてしまい、「黙っていれば」となるのかもしれません。

たとえば聖子は幼少期に一家離散を経験し、過酷な人生を歩みました。彼女自身は、子どものときにそういった経験をしていることもあり、一樹の件についても「自分がすべてを黙っていれば、家族は壊れずに済む」と考えています。

希美が、つらい目に遭いながらも声を上げられないのは、そもそも「どうしていいのか分からないから」かもしれませんし、その先に何が待っているのか分からない恐怖もあると思います。そんな幼い子どもの気持ちを思うと、心がグッと締め付けられますし、あらためて考えさせられるものもあります。

ちなみに栄大は、一樹の不貞を知りながら声を上げなかったことに対し「あのとき、もし俺がお父さんに怒っていたら、お父さんは家を出て行かなかったかも」と自責の念を口にします。筆者はその後悔が、第10話以降の伏線になっている気がします。今後のストーリーの鍵は、栄大が握っているのではないでしょうか。
『夫に間違いありません』第9話 松下奈緒、朝加真由美、吉本実由、山﨑真斗

『夫に間違いありません』第9話 松下奈緒、朝加真由美、吉本実由、山﨑真斗

文:田辺ユウキ
芸能ライター。大阪を拠点に全国のメディアへ寄稿。お笑い、音楽、映画、舞台など芸能全般の取材や分析の記事を執筆している。
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